自分星。

ある宇宙飛行士は、小さな惑星に不時着をした。燃料は尽き、惑星から脱出することは叶わないが、幸いにも水も空気もある地球にそっくりな惑星だった。

「こんな惑星があるだなんて……」

宇宙飛行士は魚や木の実を食べて、不自由のない生活を送ることができた。しかし、数ヶ月が過ぎた頃、宇宙飛行士は孤独に苛まれるようになった。

「誰でもいいから、話し相手が……」

そこで、宇宙飛行士は自分のクローンを創ることにした。性交相手もいないので、自身を増殖させる他がなかったのである。飛行船の中に装備されている「クローン培養キット」に、自分のささくれを入れると宇宙飛行士のクローンがすぐに出来上がった。

「驚いたね! まさか自分を培養するとは」

クローンは流暢に話し始めた。久方ぶりの声を聞き、宇宙飛行士は感涙した。

「この惑星には、魚以外の生物は見当たらない。いっそのこと、僕達で埋めつくしてしまおう」

宇宙のどこかに、この自分星が浮かんでいるらしい。あなたにブラックホールへ飛び込む勇気があるならば、見つけることができるかもしれない。

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