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一万編計画

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一万編の掌編小説(ショートショート)を残していきます。毎日一編ずつ。
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2022年7月の記事一覧

点字ブロック。

散歩道。ふらついて、上手に歩くことができない。この強い日射しのせいなのか、不安定な精神状…

ある1週間。

時間は平気で伸び縮みする。煉獄のように長い1週間だった。それを潜り抜けるために、僕はたく…

ポトフ。

僕は君の頭をこっそり盗んだ。ばれないようにこっそりと。 僕は君の頭をしっかり盗んだ。なく…

裸体。

自分の裸が嫌いだった。自分自身は、特に好きでも嫌いでもない。服さえ着ていれば、鏡を見ても…

ぜんまい仕掛け

自分はぜんまいで動いているのだと思った。昔から、僕にはそういうきらいがあった。活動量が突…

ベクトル。

四方山話。君は今、僕を思っている。 真夜中の道を一人歩いていると、不図君に思い当たった。…

おしあわせ。

幸せって、哀しいね。毎日は希望にみちていたのに。幸せを願って、平穏に暮らしていたのに。僕は幸せを受け取ってしまった。言葉にできないくらいの幸せを受け取ってしまった。これからは何を希望に生きていけばいいんだろう。幸せって、残酷だ。 あれ以上の幸せってあるのかな。越えることはできるのかな。僕にはその自信がないよ。あれ以上の幸せが、存在するとは思えない。僕がずっと願ってきたものが、現実に降り注いだのだ。これまで前を向いていたけれど、僕は今振り返っている。後ろを振り返っている。

哲学的ゾンビ。

僕は哲学的ゾンビという考え方を、ある意味では真理だと思っている。どれだけ技術が発展したと…

遮光。

寝汗が空調で冷えて目が覚める。舌も汗をかいていて、不快感と、その中の心地良さが同居して、…

バーカウンター。

バーカウンターで、いつも素敵な出会いがあるとは限らない。しかし、そこには確かな音楽がある…

嘔吐。

繁華街の片隅で、嘔吐している青年がいた。 「あの子、どうしてああなるまで飲んだのかしら?…

バクモドキ。

記憶を食べる獣がいる。見た目はちょうど獏のようで、だいたいクローゼットの隅かベットの下に…

完璧な色彩。

カクテルグラスはキャンバスだ。僕はシェーカーに絵の具を落として、完璧な色彩を思いながら振…

わずかのぞみ。

何もかもが八方塞がりな気がしてならない。ここらで、考え方を変えて見よう。ゲーム・チェンジ。僕は変化を求めているし、変化の方も僕と遊びたくてうずうずしている。ゲーム・チェンジ。リセット、コンティニュー。 例えばの話。可能性について考えてみよう。p.s 僕のこれまでの人生が、禊であるという可能性について考える。僕のこれまでの人生は、確かに凸凹のオフロードだったのかも知れない。最大公約数みたいな人の生き方を、羨ましいとさえ思っていた。それでもいい×N回。そのことに随分悩んだし、だ