遮光。

寝汗が空調で冷えて目が覚める。舌も汗をかいていて、不快感と、その中の心地良さが同居して、僕は瞼を開いたり閉じたりしている。レム睡眠とノンレム睡眠の間隙を縫ったように覚醒が訪れたことで、頭は奇妙なほどに冴え、自分がどこにいるか何を考えていたかを反芻している。近くの高速道路を軋ませるトラックの車輪の音が、僕をどこか不安にさせて離さない。

 窓を開けていたから、カーテンは風になびいてる。都会の空気はその生態系の匂いを大いに含んでいて、いたたまれなくなる。自分が間違ったバイオロジカルに加担しているような気がして目を閉じるが、瞳は意思に反駁してその動きを止めることはない。僕は凍えるような死海の上でも、海月になることを許されない。

僕は遮光カーテンの隙間に覗く高速道路を、ただぼんやりと見ることしかできなかった。AM7:00。地球の裏側が夜であることを不思議に思う時刻だ。

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