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「その介護は延命措置と変わらない」

とある介護事業所の責任者をしているryuです。

今回は私が勤める介護サービス グループホームについてお話しさせていただきます。
正式なサービスの名称は「認知症対応型共同生活介護」で読んで字の如く、認知症の方が生活する住居で共同生活をするような環境でケアを提供する施設です。(以下ホームと表記有)

入居するための最低条件は
① 認知症であること
② 要支援2以上の認定を受けていること
この二つだけです。
なので、どんな重病を持っていようが年齢が若かろうが、相談先のホームがオッケーなら二つの条件さえあれば入居可能です。

24時間体制で日中は3名以上、夜間は1名以上のスタッフが常駐しており、入居定員は1ユニット最大9名という単位が設定されています。

グループホームは他のサービスと異なり「全てのケアをグループホーム内で提供する」という特徴があり、グループホームと他の介護サービスは基本併用ができず、グループホーム外の介護サービスは全て自費となります。

そんなグループホームでの「介護方針」は入居する利用者さんの生活に大きく影響し、ホーム毎に全く異なる空気感を持っていることが多いです。

ここで皆さんに質問です。
「毎日バランスの取れた食事、適度な運動、規則正しい生活、それらのためのケア。」これって嬉しいですか?
まぁ、当然嫌ですよね。私は絶対に嫌です。
だってコンビニ弁当ってすごく美味しくないですか?
夜中に食べるカップラーメン、夜更かしして昼まで寝てダラダラする一日、寝る前の晩酌、年末年始のお餅。
週に一回のカラオケ、毎日の散歩、夜な夜なエッチな動画を観ること、タバコやギャンブル。

これ、入居すると大体のホームでは全部出来なくなります
ほぼ全て出来ません。
栄養管理の名の下にジャンクフードは封印され、昼夜逆転予防のためと消灯時間と起床時間の声かけが入り、健康維持のためと散歩ではなくリハビリを促され、危険防止のためとタバコ、餅、酒を取り上げられる。
まぁ、半分は集団生活なので仕方のない部分もあります。

これがグループホームです。
もちろん悪ーく書いたので印象はひどいと思いますが、そうせざるを得ないことも沢山あります。
しかし、そうしなくてもいいこともたくさんあると思いませんか?

「守ってるのは目的じゃなくてルールでしょ?」

※以下、やや口が悪くなります。そして一部の努力不足な方に向けてであることをご理解ください。
また、以前別の記事で書いたことなので、気になる方はリンクからお願いします。

「高齢者は喉に詰まるから餅は食べさせない」
って何なの?と思います。
中には「食べられない人がいるからそれに合わせて禁止」とか。
どんだけ独善的な考え方ですか?
ハッキリ言います。
それはあなたたちの努力不足と職務怠慢です。

私はスタッフに「考える時は利用者側から」と言ってあります。
安全に餅を食べるというケアを細分化すると以下のようになります。
①そのまま食べれる
②小さめに少しずつなら食べれる
③みたらし団子のようにトロミがあれば小さくして少しずつ食べれる
④米粒のように小さくすれば食べれる
⑤白玉なら食べれる
⑥状態的に食べるのは困難
とざっくりですが。
私の言う「利用者側」というのは①に近い方のことを言います。(最大限)
逆に「職員側」は⑥に近い方です。(最低限)

①から考えた場合は利用者にとって良いパターンから考えるため、順に降りてきても利用者に寄った位置で考えられます。
しかし、⑥から上がるように考えると不思議なことに職員にとって無難な位置で考えを止めてしまい、できるはずの①に近いケアを考えないことが多いのです。
なぜなら介護の現場では極端に「リスク」を嫌うから。

これに準じてグループホームに限らず介護現場では「予防」の名の下に「暗黙のルール」と化した常識を疑うことなく守るのです。
思考の余地がないルールなんて害悪この上ありません。

介護ではQOL(クオリティー オブ ライフ/生活の質)を高めることを目標の一つに掲げています。
ここで間違ってはいけないのが「清く正しく美しい」ことが質の高い生活ではなく、「汚くても本人がどれだけ満足できているか」がその判断基準になるべきと言うことです。
そしてそれはいかに「利用者本位」という客観に立てるか、に全てがかかっています。信頼関係や相手を理解することは言うまでもない最低条件。

そこから最低限ではなく最大限で何をできるか、を考えるようになってようやくスタートラインですから。
逆を言えばプロなんだから餅くらい食えるように工夫しろよ、って話です。

私のホームでは毎年必ず餅つきをします。
職員が臼と杵でつき、利用者さんが伸ばして切って成形して包みます。
もちろんつまみ食いし放題です。
ここには利用者さんの家族も参加します。
もう笑顔しかありません。
食べることも作業することも幸せなんです。
家族はその姿を見ることが幸せなんです。
全ての利用者さんに餅を食べてもらいます。
一人一人の状態に合わせた形状や量で提供し、喉に詰まった時の対応シミュレーションもたくさんしました。
訪問医が家族にこう言ってくれました。
「ここのスタッフはどこのホームより食べさせるの上手いから」。
最大級の褒め言葉です。

今いる高齢者にとっての餅つきは若い方が考える以上に大切で思い出深いものです。
50年後の高齢者はもしかしたら餅つきではなくロックフェスに出ることやカウントダウンイベントに参加することが大切かもしれません。

介護する人は簡単に「無理」と決めつけずしっかり考えましょう。
瞬間的に浮かんだ「無理」という言葉に対して「なぜ?」と問いかけてください。
その「無理」は目的に準じたものなのか、ルールに従ったものなのかの区別が必要です。

長くなりましたがそろそろまとめです。

思考を巡らせず従うだけのルール、暗黙のルールという先入観、勉強だけで得た介護観や相手の主観に立ててないケア。
こういった状態で続けられるホーム生活は
「延命措置と同じ」だと思った方がいいです。
過剰な言い方ですが「無難に生きるだけの生活プラン」ってそういうことだと思いませんか?
認知症の方の満足とか楽しみってすごく複雑ですが、これは15年間現場で認知症介護をしてきた私の「やろうと思えばできる現実的理想論」です。
小さなことからコツコツと向き合って、機械やAIなんかでは代わりの務まらない希少価値の高い介護職員を目指しましょう!
将来的に替えのきかない職員とは「人間的なケアに強い人」です!

長文にお付き合いいただきありがとうございました😊

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