風俗営業関係者への不支給について、詳しく資料を読んでみた。

厚労省が発表した小学校休業等対応助成金・支援金の支給要領で、風俗営業関係者が支給対象外とされていたことへの批判が高まり、4月7日に一転して対象とする旨の変更が行われた件は、ご存じだろうか。

大きなニュースにもなったので、知っている人も多いかと思う。

 

ちょうど厚労省の報道発表資料の過去分チェックをしていて目についたので、細かい資料を見に行ってみた。

すると、興味深い事実が判明。

 

 

まず、今般の報道発表資料から、助成金(従業員に有給休暇を取得させた事業主を対象とした制度)の方の支給要領を確認する。

5月3日時点で、以下のような書き方がされている(雇用保険被保険者用/以外用ともに)。
※一部法令番号等を省略。
※一部半角⇔全角を調整。

0303 不支給要件
共通要領0303(ただし、ロからニまでを除く。)に定めるものにつ
いては、助成金を支給しないものとする。

 

そこで今度は、共通要領を見に行く。

事業主の方のための雇用関係助成金というタイトルのサイトが現れるので、とりあえず最新の令和2年5月1日現在の支給要領を開く。
(今回の小学校休業等対応助成金が、いつ時点の共通要領を基にしたのか正確に分かりかねるため、最新の要領を参考にしている。あしからず。)

 

「第1 共通要領」の「0303 不支給要件」を確認すると、けっこうな分量。。
ざっくり書くと、以下のようになる。

イ 虚偽不正により不支給措置を食らっている
ロ 過去の労働保険料を納付していない
ハ 過去1年以内に労働関係法令の違反をした
ニ 風俗営業をしている(本当は色々種類があるけど難解すぎて追いつけない...)
ホ 暴力団が関係している
ヘ 破壊活動防止法に抵触する恐れがある
ト 倒産している
チ 審査への協力や不正受給発覚時の措置について、承諾していない
リ 必要な書類を提出していない
ヌ 支給要領に従うことについて、承諾していない
ル 訓練実施者が過去5年以内に不正受給に関与していた(文章難解過ぎるけど、たぶんこういうこと、、)

 

 

さて、小学校休業等対応助成金の話に戻ると、今回この共通要領の内容をベースとしつつ、『ロからニまでを除く』とされている。
つまりは、

平時の雇用関係助成金については、風俗営業関係者は原則支給対象外だけど、今回の小学校休業等対応助成金だけは特別に支給します

というスタンスであることが推測される。

 

まじかよ。。
普段も対象外だからいつも通りそれでいこうと思って発表したら、大バッシングを受けた、という顛末なのだろうか。

もしかすると知らないだけで、別途特別な支援が受けられるのかもしれない(ない気がするけど)。
また私自身も、風俗営業に関する法的な位置づけ・政策的な位置づけについては全然詳しくないが、今回ニュースになったのは氷山の一角なのかもしれないと思わずにはいられない。

 

 

ちなみに、この共通要領が適用される雇用関係助成金(対象は事業主)を見てみると、以下のようなものがある。

・雇用調整助成金(事業縮小時の雇用維持を支援するもの)
・再就職フォローや中途採用を支援するもの
・高齢者/障害者/生活保護受給者/若年者等の雇い入れを支援するもの
・ハード/ソフトの雇用環境の整備改善を支援するもの
・育児介護等と仕事の両立支援の取り組みを支援するもの
・従業員への職業訓練実施を支援するもの

 

雇用調整助成金など、新型コロナウイルスに関連して条件緩和されているケースもあるが、そもそも共通要領で一律対象外とする根拠はなんなのか

問題の根は深いように見えた。

 

※小学校休業等対応支援金(フリーランスを対象とした制度)の方は、支給要領を見る限り単独の制度のようだったので、今回は詳述していない。

 

'20/05/03 最終更新

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