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閑散期にできること

すべての事業は顧客のためにあるが、顧客のために事業を継続させるには、一定の利益を出すことも必要である。
 
小売の場合、利益の算出方法は非常にシンプルである。

売上から仕入原価を差し引いたものが荒利益であり、荒利益から経費を差し引いたものが、利益となる。

利益を生み出すには、①売上を上げる②荒利を上げる③経費を下げる、の3つしか方法はない。
 
たいていの店舗には、事業継続のために必要な、営業面での売上目標がある。

年間の売上目標から逆算し、月別に落としこみ、さらに日別に分解するのが一般的である。

これは日割予算と呼ばれ、1日に取るべき売上目標として、店舗で共有される。
 
小売には、業態によって差があるが、どうしても月や季節によって繁忙期と閑散期が生まれる。

従って売上も常に一定ではなく、時期によってかなりバラつきがあることが多い。
 
そしてこれは経験則だが、年間を通じて売上を大きく伸ばす店舗というのは、毎日の日割予算を365日クリアする店舗ではなく、売上指数が高いときに、大幅に売上を伸ばすことのできる店舗である。

つまり売上をアップさせるコツは、ピーク時の売上を最大化することである。

もっと身も蓋もない言い方をすれば、稼げるときに稼いでおくことを心がけることである。

数字を大きく伸ばす店舗は、いつも一定の売上の店舗ではなく、売れるときに、大きく売る店舗である。
 
これは閑散期の営業の手を抜いて良いという意味ではない。

繁忙期と閑散期が存在することを理解した上で、どの時期でも一定水準でのサービスを提供できるように、あらかじめ計画を立て、ペース配分を考えておくことが重要である。
 
大事なのは繁忙期の売上を最大化することである。
そして、繁忙期の売上を最大化させるためには、閑散期にいかに準備しておくかが重要になる。
 
閑散期にすることは、メンテナンスである。

メンテナンスには、人のメンテナンスと箱のメンテナンスの2種類がある。
 
人のメンテナンスは、商品知識と顧客サービスの再学習である。

閑散期は、繁忙期に後回しにされがちな商品知識をじっくりと学ぶ機会に充てることができる。

また、店舗で普段行っている顧客サービスを見つめ直し、アップデートさせる機会にもなる。
 
箱のメンテナンスは、店舗のメンテナンスである。

店舗の陳列や内装、また買い物環境の不具合など、自分が顧客になったつもりで、点検してみる。

在庫や店が稼働していない時に手をつけにくいものも、この機会に見直すことができる。
 
閑散期にいかに準備をしておくかで、繁忙期にどれだけ顧客に支持されるかが決まってくる。

手が空いている時こそ、より良い店舗づくりのために、人や店舗などの資産を磨いておくことが重要である。

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