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どめすの読書記録

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読んだ本のアウトプットを行っています。
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#読書感想

【読書記録#32】【うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真(幡野広志)】

大学3年生の時。 私は海外に語学留学へ行き、その時にデジカメを持って行ったのだが、寒すぎたのか壊れてしまい、写真が撮れなくなってしまった。 当時よくしてもらっていた先輩に写真を撮る人がいて、楽しそうにカメラを構えたり、出来上がった作品をFacebookで共有したりしていて、私の目にはとてもかっこよく映った。 カメラが壊れたのをきっかけに、入門用の一眼レフを購入し、私も写真を始めることとなった。 初めて買った一眼レフ。 最初に撮影したのは家にあった空のペットボトル(綾鷹

【銀の匙(中勘助)】【読書記録#31】

「銀の匙」には、「昔のヨーロッパでは銀のスプーンというのは大変貴重なもので、その銀のスプーンで食事をするような家に生まれてきた赤ちゃんは一生食べ物に困らない」という言い伝えがあるように、出産祝いで贈られる縁起物という意味合いがある。 そんなタイトルだから、作者である中勘助も裕福な感じだったのかなぁと思って読んでみると、どうやらそういうことではなさそうな気配がした。 本書は前後篇の2部構成になっており、前篇は幼少期のできごと、後篇は青年期のできごとである。 中勘助は明治1

【あっという間に人は死ぬから 「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方(佐藤舞)】【#読書記録30】

やりたいことが多いのに時間がない。 大人になってから本当によく感じることがある。 でも実際にはすべての時間を何かしらの学びに使ったり、何かしらの練習をしたりすることなく、だらだらスマホでSNSを見たり、休日を眠って過ごしたりしてしまう。 そんな時間を無駄にしてしまうと感じている人にとって、考え方を改めるきっかけとなる本である。 本書は様々なビジネス書で語られている時間・タスク管理のテクニックだけでなく、哲学者や思想家の言っていることであったり、統計データを用いたりと多様

【『行動経済学が最強の学問である』相良奈美香】

行動経済学。 10年ほど前か、私が学生の頃にもちょっとだけ聞いたことがある経済学の一分野。 私自身が経済学を専攻しているわけではなかったため、その時はなんとも思っていなかったのだけれども、人気の本を眺めていると本書が目に飛び込んできた。 「そういえばあの時聞いた行動経済学ってどんな分野なんだろう?」と思い、いざ行動経済学の門を叩くことに。 本書によると、行動経済学は近年非常に注目されている学問ではあるものの、学問としては若すぎるため、体系化ができていないとのこと。そこ

【続ける思考(井上新八)】【読書記録#28】

あれがしたい、これがしたい。でも時間がない…。 今日からこれを続けると決めたのに、やり忘れちゃった。 明日からでいいや! そうやっていろんな物事を始めたり、続けたりすることを諦めてきた。 そんな飽き性なあなたに、ぜひ読んでもらいたい。 本書は「続けることが趣味」と豪語する筆者が、どのようなマインドでたくさんの物事を続けるようにしているのか、解説が施されている。 結論、一番大事なのは「毎日続けること」、この一言に尽きる。 自分が続けることをやめてしまったもの、本当にこ

【メノン(プラトン著/藤沢令夫訳)】【読書記録#27】

哲学について学ぶ本は学生時代も含め(もう忘却の彼方)、何冊か読んでいるのだが、本作品のように、対話形式なものについてはあまりなかった。 この形式でパッと思い浮かぶのは『嫌われる勇気』。 こういった昔の哲学書をモチーフにして作られたのかな? 閑話休題。本作品はタイトルの青年、メノンがソクラテスに「徳は教えられうるか」という問いを投げかけ、それに対してソクラテスが「徳とはそもそも何であるか」という問いに変換し、議論を深めていく、といった内容になっている。 メノンが言う「徳」

【哀愁の町に霧が降るのだ(椎名誠)】【読書記録#25】

青春のバカヤロー!! なにがなんだがわからないが青春はバカヤローだ!! とでも叫びたくなるような一冊。 なんでバカヤロー!!と言いたくなるのかはわからない。 そんな自分の青春はいつだったか、しみじみと思い返してしまう。 何も考えずがむしゃらに遊んだ子ども時代だろうか。 部活の顧問に文句を言いながらも、仲間と笑いあった中学時代だろうか。 部活と勉学を両立しようと努力した高校生時代だろうか。 自分の殻を破ろうと足掻いた大学生時代だろうか。 家族ができ、仕事に打ち込んでいる今だ

対話の力を考える。【読書記録#23】【『ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術』熊平美香】

「コミュニケーションが不足している。」 最近職場でキーワードとして挙がっている、コミュニケーション不足。 仕事・作業内容にもよると思うが、コミュニケーションはほとんどの仕事で必要な能力となっている。 コミュニケーションといっても、その内容は多岐に渡り、つかみどころのない言葉だなぁとつくづく思う。 その中でも、今回読んだ本は「対話」にフォーカスしている。 普段言われている「コミュニケーション不足」は対話不足なのではないかというところもあったので、ヒントが得られるとよいなと

「問い」の奥深さを感じる1冊。【読書記録#21】【『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション』安斎勇樹・塩瀬隆之】

皆さんは「ファシリテーション」という言葉をご存じだろうか? 個人的にはあまり聞き馴染みのない言葉かなと。 「ファシリテーション(facilitation)」は「促進する」「容易にする」といった意味を持つ英語「ファシリテート(facilitate)」を名詞化したもの。 主に企業や学校、地域などでの問題解決を容易にするための働きかけといった文脈となる。 問題解決の場として会議形式だけでなく、ワークショップという体験型の知識創造の場を設ける場合がちらほら出てきている。筆者も10年

「ぴえんこえてぱおん」にも学術的説明が…!?【読書記録#20】【『言語の本質』今井むつみ・秋田喜美】

新書大賞2024の第1位という人気の書籍ということで購入。表紙を見てみると、どうやら各界の著名人が絶賛しているらしい。学生時代に言語学に関する本を少し読んだことがあり、気になったこともあり読み進めることに。 本書はオノマトペ研究の最前線を行くふたりが執筆している。ふたりがオノマトペについて話していると最終的に必ず「言語の本質とは何か」という問いに行きつくらしい。ということはオノマトペを紐解けば、言語の本質に近づくことができるのではないか。その考えから出発して、本書は論を進め

【読書記録#18】シーソーモンスター(伊坂幸太郎)

伊坂幸太郎発案の<螺旋プロジェクト>という、8人の作家が共通のルールを決め、歴史物語を書いていくという企画。それぞれの物語内において、共通のモチーフや言葉が出てくる仕掛けになっているが、どの作品を単体で読んでも成立するようになっている。 また大きなテーマとしてどの物語でも「対立」を掲げている。今回の歴史物語というくくりの中で出てくる「海族」「山族」。これらの対立関係が、その舞台となる時代の子孫同士でも続いてしまう。その対立がどのように進展していくのか、読みどころのひとつであ

【読書記録#17】メンタル脳(アンデシュ・ハンセン)

「現代人のメンタルは『史上最悪』」という帯が目を引いた本著書。 心の問題に対して、10代向けに執筆されたこの本を入門として読んでみることに。 ティーン向けの本ということもあり、この理論でこう説明されているからこうだとか、小難しいことはあまり書いていない。この著者の入門としては非常に読みやすいのではないだろうか。 本書で言われていることは、「現代において抱える不安というのは、狩猟時代から変化していない脳が起こしている正常な防衛反応である」ということ。我々の脳はまだ狩猟時代だ

【読書記録#16】頭のよさは国語力で決まる(齋藤孝)

以前読んだ『読書力』と同じ著者の本。 そんなタイトルつけられたら読むしかないじゃない!と思いまんまと購入。 著者の問題意識としては下記の通り。 確かに、著者の言っている「自分の国語力に自信がもてない人」は自分の周りでもちらほらいる。「コミュニケーション能力を高めたい」「語彙力を増やしたい」と嘆いている人がいるが、そういう人に限って、活字の本を読むのは難しそうとか、アニメとか他のことに時間を使いたいとか、何かと理由をつけて避けようとしている。 著者の言う「江戸時代の子ども

【読書記録#15】どくとるマンボウ青春記(北杜夫)

【読書記録#12】で読んだ、齋藤孝『読書力』の末尾に挙げられた、読書力を鍛える文庫本の1つとして挙げられていたため挑戦。 恥ずかしながら北杜夫先生の作品を読むのが初めてのため、いわゆる「マンボウもの」に触れたのも今回が初めてである。 wikipediaいわく、本書はその「マンボウもの」の作品群の1つで、随筆・エッセイにあたるとのこと。 本作品では自身のことを「マンボウ氏」として扱っており、マンボウ氏が戦後間もない旧制松本高校時代と医大生時代とで過ごした青春時代を記してい