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まったりM&A現場閑話★独禁法Part.4(届出実務事例)

えーっと……前回、第四弾があるのでは?という憶測を頂きましたので💦
せっかくなので、対応する現場の実務担当者の苦労状況でも晒しますかw
(日本への届出の一例です)

◆情報確認ルート
要請:競争法当局➡弁護士事務所➡当社窓口➡経理もしくは事業部門等々
 ✔当社窓口の先がとにかく多岐にわたってしまうので大変な役目です。
  私の会社ではM&A推進チームが窓口を担当します。

◆N日(準備開始) 
弁護士から初期情報提供依頼
 ✔当社連結の国別売上高
 ✔買収対象グループとの競合製品の特定と製品詳細説明
 ✔それの市場シェア(全世界及び対象国。根拠資料含む)
 ✔買収対象グループとの取引関係(調達・販売の有無)
 ✔取引関係がある場合、その製品の特定とシェア(同上)

◆N+5日
当社連結国別売上高提出
 ✔これを用いてどこに届出すべきか初期的にスクリーニング

◆N+7日
残りの要請情報提出

◆N+9日
弁護士追加質問受領 ➡ N+12日回答

◆N+14日
「株式取得に関する計画届出書」作成開始
 ✔届出会社の概要、株式取得の目的・理由等
 ✔届出会社の事業実績等(生産・販売数量や金額)
 ✔届出会社及び対象会社の国内地位(市場占拠率)

◆N+15日(事前相談開始)
公取委の担当官決定、初期的質問受領 ➡ N+18日回答

◆N+16日
「本件に関する説明資料」公取へ提出
 ✔セーフハーバー基準(競争環境を脅かしそうか否か)にも言及

◆N+22日
公取から質問受領 ➡ N+29日回答

◆N+29日
「株式取得に関する計画届出書」案を公取にチェック依頼
「禁止時間短縮上申書」も提出

◆同日
公取から追加質問受領 ➡ N+31日回答

◆N+30日
公取から「株式取得に関する計画届出書」修正指示と質問受領

◆N+31日 ★届出★
「株式取得に関する計画届出書」修正版で正式に届出

◆N+32日(届出日+1日)
公取より受理連絡あり(受理書は別途郵送)

◆N+41日(届出日+10日)
公取よりクリアランスの連絡受領(以下書面は別途郵送)
 ✔排除措置命令を行わない旨の通知書受領
 ✔禁止期間の短縮の通知書受領
後日完了報告提出するよう念押しあり

ということで、日本の場合は事前相談をしっかりやった場合は、届出受理後は追加質問もなく、短縮も認められることが多いようです。
めでたしめでたし🎵

でも実際は、これと並行して海外届出(届出国数分)の対応が必要です。
大変ですね💦
……………………………………………
セーフハーバー基準
https://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/guideline/guideline/kaisei/kaiseigaiyo.html

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