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第103話 事業部長
長い開発セッションが終わると、一同はランチタイムをとることとなった。
食堂に行って目立つと社員に変な噂が立つかもしれないので、とのことで弁当が手配された。
(楽しみにしていたので残念だけど……確かに仕方ないか)
と、真奈美も大人しく食堂を諦めたのだが、とはいえ、この弁当もおいしかったのでびっくりした。
「この弁当もうちの食堂で詰めてもらったんです」
総務部長がニコニコしながら説明をしてくれた。
――休憩後、午後のセッションが始まった。
事業部長による事業全体の説明からスタートした。事業計画に直結するこのセッションは、マネプレの中でも最も大事なセッションだった。
「弊社は基本的には受託加工事業と、機械製品事業を行っております」
事業部長は、まずはそれぞれの事業に関する製品カテゴリーや主な顧客、市場環境、将来の見通しを説明していった。
「……ロボット機械業界はご承知の通り追い風です。それ以外にも自動車・航空・宇宙業界への拡大も期待しており、将来の事業拡大を見込んでいます」
事業部長は、将来の見通しの明るさを示し説明を終えると質問を受け付けた。
ゆっくり手をあげて質問を始めたのは片岡本部長であった。
「追い風とはいえグローバルで見ると日本勢は苦しい位置にいます。その中で、御社の注力領域、勝機の算段を聞かせてください。」
事業部長は、コア技術となる新技術への投資、量産化で日本勢でも勝ち抜けると説明した。
「もうひとつ、自動車・航空・宇宙業界へのこれまでの実績と今後の見通しをお聞かせください」
「はい、自動車は安定取引を継続していて今後も横ばい、航空・宇宙はこれから進出を目指したいと考えております」
片岡の質問を皮切りに、事業メンバーからも続々と質問が始まり、このセッションも長い時間を費やすこととなった。
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