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連載小説「転生ビジネス・カオスマップ」第七部 第22話 見た人、手をあげて!

 リムジンのエンジンの出力が増す。
 轟音と共に工場の窓ガラスが飛散する。

 突如、工場内に飛び込んでくる黒い影。
 それは……黒と白のゴスったメイドの正装衣装。

 ……ユナね。

 私の目の前に着地すると、無言のまま自分のスカートを捲り上げる。
 え?え?ユナのパンティも、見えちゃってるけど?

 その次の瞬間。
 ユナがスカートの中から重力子銃を取り出す。

 ……それって、四次元警察の主力武器だよね?
 たしかミクロな重力の井戸を打ち出して相手を拘束する奴。
 どこで手に入れたのよ、そんなもの……

「メイさんをいじめた罪、償ってもらいます」

 ユナがとんでもない怒りのオーラを纏いチンピラをにらみつけた。
 チンピラ三人は、重力子銃の銃口を向けられ、腰を抜かして動けない。

「大丈夫だったか?」

 ふと私の後ろから暖かく優しい声が聞こえて。
 釣り上げられた両手と開かれた両足がスッと自由になる。

 そして、長めのローブで体を包んでくれる。

 もう……

「大丈夫じゃないわよ。私……」

 やだ、緊張がきれて、私震えてる。

「怖かったな。もう大丈夫だ。俺たちに任せろ」

 ハルトの両腕と胸板が私の上半身を優しく包み込む。

 ああ。
 やだ。涙が出てきてる?
 だって、恥ずかしかったもん。
 怖かったもん。

 それを横目でちらりと見たユナ。
 今まで見たことがないほど、怒りに燃えた瞳をしている。
 そこからは圧巻だった。

「メイさんの……見ましたか?見た人は手をあげなさい」

 と質問しつつ、答えを聞くまでもなく発砲。
 チンピラの一人は、あっという間もなく重力の井戸に取り込まれ確保。

 その0.1秒後にはもう一人のチンピラに銃口を向けるユナ。
 0.2秒後には二発目の発砲。
 二人目も何が起こったか理解する間もなく重力の井戸に堕ち確保。

 0.5秒後には、最後の一人のこめかみに銃口を突き付けていた。

「見ましたか?と、聞いているんですけど」
「み、みて、みていない、みてはいない」

 最後の一人はガタガタと震えている。

 いや……絶対、ピンクの縞々、見たでしょ。

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