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『M&A小説:めざせ!学生M&A世界一♫』全国大会 第13話 第2回戦(3) M&Aケーススタディ③

カクヨムで公開していますが、こちらでも解説や雑談も含めて紹介させていただきます。
時間がない方は、『1分で読めるダイジェスト』だけでもご覧いただけたら嬉しいです。よろしくです(^^♪

1分ダイジェスト

ついに第2回戦もクライマックス!
2問目でチームまろまゆに回答の質が劣ったチーム東大FA。
3問目は「合弁会社を作るときの交渉論点を説明せよ」
ミユキは少ない回答時間に焦りつつも、得意の論点整理を積み上げていき、ケイスケが持ち前の知識とタイピング能力で回答の完成度を高めていく。
結果、今度はチーム東大FAの回答内容の質がチームまろまゆを凌駕した。
こうして、チーム東大FAとチームまろまゆが、決勝の舞台へ駒を進めることとなり、両者で健闘を誓い合った。

本文

第2戦は全チーム正解だったため3チームによるケーススタディ問題が続く。

第3問の問題が大スクリーンに映し出された。

『A社はB事業を切り出し、C社との合弁会社をつくることにした。
 どのような交渉論点があるか、重要なものを列挙せよ。
 制限時間は2分』

「えー、また2分?えーっと、えーっと」
焦りだしたミユキにフユミが声をかける。
「焦らずゆっくり考えよう。論点整理はミユキが一番得意でしょ?」
「うーん、そうねぇ……要は合弁作るときのポイントってことよね」
「うん」
「そうねぇ。
 まずは議決権比率でしょ、
 株主の役割と責任、権利でしょ、
 株主総会や取締役会での決定事項と決定方法、デッドロック解消方法でしょ……」
ミユキのエンジンが回りだしたようだ。
「ケイスケ、どんどん書いていきながら、簡単な説明を付記していって」
「おっけー」
ケイスケは恐ろしい速度でタイピングしていく。
ミユキはさらに続けた。
「役員や監査役の構成や任命権でしょ、
 株式発行や第三者割当増資の規定でしょ、
 株式譲渡制限や譲渡時の取り決めでしょ、
 資金調達でしょ、
 配当でしょ、
 あとは、商号やブランドやライセンス、競業避止……」

「ぴっぴ―。時間です。さあ、各チーム回答をオープン」

全チームの回答が映し出される。

(よし!)
フユミは心の中でガッツポーズをした。

「チーム東大FA、すばらしい回答です。そしてチームまろまゆも合格。北海道代表は……残念、不合格」
今度は盛大な拍手が、チーム東大FAに注がれた。
4人は照れ笑いしながら、拍手に答えた。

「決勝へ進むのはこの2チームに決定です」

チーム東大FAとチームまろまゆ。
お互いに向かい合い、握手を交わした。
改めて、会場から拍手が降り注がれる。
トシが不敵な笑みを浮かべる。
「第2回戦は1勝1敗1分だ。次の決勝で勝負だ」
「望むところです」
イケメンが鋭い視線で応えた。

解説・裏話

M&Aにおいて、たとえ買収案件であっても、買い手と売り手が8:2とか6:4の比率となる合弁会社を作ることは意外に結構多いです。
その理由は、対象会社が売り手のサポートを受けている場合、いきなり買い手100%にしちゃうと対象会社の事業が回らないことが多いから。
例えば、売り手のサポート(人員・資産・ブランドや知的財産・技術支援など)が一定期間必要な場合など、売り手が売却後にいきなり完全に逃げたら困る場合、一定期間を合弁とすることが多々あるのです。
その場合に、本文のような課題を整理しておくために、株主間契約が非常に重要な契約となります。

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