第1話 女子ランチタイムに忍び寄る怪しい影
「酒井さんも今週末の合コンに来てくださいよ」
ランチ中、唐突の中野からの要望に、酒井真奈美はもう少しでせき込むところだった。
「ちょ、ちょっと。私なんかが行ったら白けちゃうでしょ?勘弁してよ」
真奈美は慌てて答えた。
中野はMA推進部の雑務を一手に担う20代中盤の若手社員だ。
(ワタシハサンジュウコエテルンデスカラネ……)
その時、一緒に食事をしていた法務部の親友、高橋小巻が口をはさんだ。
「いいんじゃない?どうせ真奈美は彼氏いないし見つかる兆候も皆無だし」
「ちょっと!失礼にもほどがあるわよ」
真奈美は小巻をキッとにらむ。
(同い年のくせに、ちょっとくらいナイスバディで彼氏もいるからって、いい気になって。もう……)
一方で、中野は引き続きグイグイ攻めてくる。
「酒井さんって、まさかの本人希望でMA推進部に異動してまだ半年じゃないですか」
(まさかの……は余計ですけどね)
「それなのに、いきなり出資プロジェクトも成功させちゃうし、その後も山田チーフと一緒にバリバリ活躍していて、めっちゃキャリアウーマンじゃないですか」
「ちょっとやめてよ、そんなんじゃないわ」
真奈美は否定するが、着任直後3か月で、MA推進部No.2の山田チーフのサポートがあったとはいえ、出資プロジェクトの成功を実現した手腕は白馬機工本社でも一目置かれている。
その活躍の要因は、異動前の部署である経営管理部での経験と、異動後の山田チーフの無茶ぶり教育と、逆境でも諦めずに立ち向かう本人の性格にある。
但し、本人は周りから評価され始めていることに全く気づいていない。
「それに、真奈美さんのファッションやメイクはシックで特徴的だし。絶対に人気出ると思うんですよ」
(……シックで悪かったわね)
その時、チャットが入ってきた。
「何?また、山田チーフからの無茶ぶり指令?」
「うーん、何だろう?」
スマホを開くと、そのチャットは山田からではなく、その上司であるMA推進部の部長からだった。
「……鈴木部長から呼び出しだ……」
それを聞いた小巻と中野が心配そうに真奈美を見る。
まさかの呼び出しに、真奈美も妙に不吉な胸騒ぎがした。
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こっそり続編開始です♫
前作読んでなくても楽しんでいただけるように執筆するつもりですので、ぜひ気楽に見に来てください。1話900文字以内のお気楽連載です♪
M&Aの現場の雰囲気を味わってもらえますように頑張ります♫
とはいえ、前作気になる方に向けて。
前作のダイジェスト、もしくは全編はこちらをみてください♫
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