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生き物のかたちと進化~宮本さんの研究紹介~

生物コミュニケーション大作戦 ~いきものみんなとお友達~ では、あらゆる生き物をコミュニケーションでつなぎ、互いを理解し共生できる世界を目指して、若手研究者・中高生の生物研究者とともに研究を推し進めています!
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はじめして、生物コミュニケーション大作戦の「ブリッジフェロー」をしています、宮本知英(みやもとかずひで)です。
現在わたしは東北大学生命科学研究科の修士2年で、大学では生き物の研究をしながら高校生を伴走支援しています。
今回はわたしの興味と研究内容について話します。

わたしは幼い時から生き物が大好きで、暇さえあれば近所で生き物を捕まえてきて飼ったり、図鑑を読んだりする子どもでした。
その生き物への興味の根本にあるのは、生き物の持つ「形」のカッコよさや美しさでした。さらにこの興味を満たすために図鑑を読み進めていくと、それぞれの生き物の持つ不思議な形は「進化」という現象で生み出されてきた、ということを知りました。

いつしか自分は「形」と「進化」という2つの軸で生き物を見るようになり、中学や高校に上がっても魚の透明標本を作ってみたり山で昆虫を集めて比べたり、ということをしていました

中学生の時に初めて作った魚の透明標本

わたしが興味を持つ生き物の形の進化という現象は、ある形から別の形へグニョグニョ粘土をこねるようにして変わるのではなく、ある形を持った生き物が卵を産み、その卵から別の形の生き物が生まれてくることを何度も繰り返すことで起こる現象です。つまり「形の進化」は、卵から大人になる過程の身体の形の作り方を変化させることを何度も繰り返して起こります。

わたしの専門である「発生学」と呼ばれる研究分野は「生き物はどのようにして卵から大人になるのだろうか?」という問いを解く分野です。この発生学の見方から様々な生き物で「身体の形の作り方」を調べ、さらにそれを比較することで、「どのようにして生き物の形が進化してきたのか」を想像することができます。

現在わたしは「魚のヒレがどのように作られるのか」という問いを解き明かす研究を日々進めております。
その成果として、先日一本の論文を書きました。

この論文では、卵から生まれた魚が成長する過程で「魚のヒレ」の形成がどのようにして起こるのかを実験から解き明かしました。

魚のヒレの形成過程(プレスリリースより転載)

さらにそれを元に、魚の祖先から魚へ進化していく過程でのヒレの獲得の原因となった「身体の形の作り方」の変化を推論しました。

ヒレの形成過程と進化の中での獲得過程(プレスリリースより転載)

最近では、魚のヒレが様々な種類で多様に変形していることに注目して研究を行っております。今まで研究者がほとんど使ってこなかった熱帯魚を新たに実験に使ってみたり、骨の断面をスゴイ顕微鏡で見てみたりと刺激的な毎日です。

こちらの研究成果もみなさんに報告できる日を楽しみに、今後も研究を進めたいと思います。

執筆:ハイラブルブリッジフェロー 宮本


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