見出し画像

2013年 小学生部門 最優秀賞『っぽい』

受賞者
亀井可南さん(小3)

読んだ本
『っぽい』
ピーター・レイノルズ作 なかがわちひろ訳 主婦の友社

作品
作文っぽい文
亀井可南

 昨年の夏休みにわたしは、きょうりゅうの絵をかきました。その時、わたしがかいた絵をかのちゃんとかほちゃんが見て
「トカゲみたい。」
と言ってわらいました。わたしはかなしくなって泣いてしまいました。今年もクジャクの絵をかいている時にかのちゃんとかほちゃんが、わたしの絵を見て
「何、このグルグル。」
と言ったけど、わたしは、ぜんぜん気にしませんでした。そしてクジャクっぽい絵をかき続けました。どうして二人にひどいことを言われてもかなしくならなかったかというと、「っぽい」を読んだからです。
 わたしはクレヨンで自由に絵をかくのがすきです。絵の具をつけた太筆で思い切り色をぬるのもすきです。かのちゃんとかほちゃんは、いつも本物そっくりに細かく絵をかきます。そして二人は、わたしの絵を見るたびに
「何それ。」
と言ったりします。お母さんは
「可南の絵は悪く言えばざつだけど、よく言えばダイナミックでげいじゅつ的よ。」
とはげましてくれたけど、わたしはいつの間にか人前で絵をかくのがいやになっていました。そんな時、お母さんが
「可南に読んでほしいぴったりの本があったよ。」
と言って買ってきてくれたのが「っぽい」でした。
 ラモンも絵をかくのがすきだったのに、お兄ちゃんにばかにされて絵をかくのが楽しくなくなってしまいます。でもマリソルとのやりとりで「っぽい絵」でいいんだと気がつきます。それからは、世界がかわって楽しくなったというお話でした。
 すぐに読みおわってしまう絵本だけど、わたしは、この話を読んで心がかるくなりました。それから何ども何ども読みました。そして、人に何を言われてもわたしの心のままにしていいんだと思いました。それに楽しくないとすきじゃなくなるんだということが分かりました。「っぽい」はわたしの心を強くしてくれた気がします。
 わたしもラモンのようにいろんな世界をまるごと味わって、楽しく、そしてすきでいたいから、これからもきっとこの本を何ども読みます。

画像1

受賞のことば
 うれしい!うれしい!うれしい!
 今、わたしの心はうれしい気持ちでまんぱいです。
 正直に言うと、わたしは「本が大すき」というわけではありませんでした。友だちとくらべたら、きっとわたしが読んだ本は少ない方だと思います。 でも今回こんなにすてきな賞をもらえて本当にうれしかったので、本を読むこと、文を書くことがすきになりました。
 ありがとうございました。

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

▼本の購入はぜひお近くの書店で。お近くに書店がない場合はお好きなオンライン書店からどうぞ。

▼『外国の本っておもしろい! 子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック』(読書探偵作文コンクール事務局編 サウザンブックス社)を発売中です。過去の受賞作、審査員の座談会、コンクールのあゆみ、読書ガイドなど盛りだくさん! ぜひお読みください。


この記事が参加している募集

#読書感想文

187,064件