自然に発動されてしまう感性@open毒塾

どうも、なんだろう。
多くの人が普通に感動するだろうと思われる講演だった。
そのように多くの人は素直にいい話だったね、と感動した。
うん、そうだよね、優しさと愛しさで溢れているよね。
うん、人の心はきれいだよね。いのちはビューティフルだよね。

でもほんの少し人が、うがった目で見てちゃちゃを入れた。
でもさ、キレイすぎないか?
人のいのちってのはそんなに綺麗事ではないだろう。
ドロドロと苦しんでいる人が隠匿されてねぇえか。
そこを敢えて蓋をして、安っぽい感動話にしてないかい?
でっち上げとはいわないが、光の当たる側面だけキラキラと描いたとしか聞こえない。
そこに在る種の嫌らしさを感じるだろう。
うん、ちょっとね、なんだかね。
ダメ出しの嵐である^^;

個人的には圧倒的に後者の人たちのほうが好きである。
感動話を意図のまま感動できる素直な感性は素敵だけど、話としてはそこで終わってしまう。
うん、いいはなしだよね、よかったねぇ、ちゃんちゃん。はい終わり。
きっと明日になれば忘れているだろう。

それにくらべて、斜め目線の人々ときたら、、さ、笑
どんどん対話が深まる。
この講師はいくつもの「影」をみてきているはずだよな。
なぜ、いのちの影の部分を隠匿する必要があったのか?
なぜ、明るいだけのキラキラ感動話にしたのか?
その心理はどういうことか、それともなんかの効果を狙ったのか?
むしろ、影を隠すことに何か狙いはあるのだろうか?
それとも、この講師はいいかっこしいなのか?
それとも、わざとキラキラで感動してもらう、という浅いラインを狙っているのか?
でもさ、なんとなく質問する気にもなれないんだよね。だってキラキラなんだもん。
(きらきらきらぁ、、、BGMにオフコースが流れそうである)

久しぶりの酒場に乗り込んでも話はつきない。
話はどんどん進展する。
だから、たとえば森のなかでちゃんと虫をみつけられる目を持っているだろ。
ちゃんと森のなかの微妙な光を見つけられる目があるだろう。
大きさと気温と飛び方と色とが自然に視線がいき、どんな蝶か見分ける目があるだろう。
酒場では話にはでなかったが、解ってもらうためにもうちょっと「自然の感覚」のたとえ話を広げる。
たとえば街を歩く人の持つバッグが、自然に目に入ってきて、あれバーキン35だと瞬時に認識する人がいるだろう。
たとえばそのオーケストラの音を聴いたとたん、それがカラヤンの何歳頃の指揮だと思い浮かべる人がいるだろう。
たとえば、ワインに口をつけたとたんに、それがロマネ・コンティの何年ものと分かる人がいるだろう。
たとえ話の感性はワタシにはなくて、街を行き交うバッグはどれもただのカバンだし、ただのオーケストラだし、ただのワインでしかない。しかもそもそも目にも、耳にも入らないような気がする。カバンもオーケストラにも反応さえしないだろう。まあワインには反応はするけどね。でもバカ舌の悲しさで赤白ロゼ、甘口、辛口ぐらいしかわからない。
でも、森のなかの「光」には身体が自然に反応しアタマを経由するまえに見つめてる感性が発露する。
蝶には自然に身体が反応して、追いかけている。
これはもう積み重ねられた知識でも、理由がある行動でもなく、体得された感性なんだと思う。
こういう感性があることは自覚できる。
たとえ話のように、だれにも何か特定のものに感応し、意識せずに発揮できる感性があるだろうということ。

まえの話に戻すと、そのキラキラした感動話の講演の影に思いを馳せてしまうのも自然に醸し出される感性だと思う。
いつからそこが気になりだしたのか、いつからそこに目がいってしまうのか。わからない。
そこに意識がいってしまう原因もわからず、そこを追求したくなる理由もわからない。
とにかく、物語の影が浮かんでしまい吸い寄せられるのだ。
いつしかみについた感性であり、体癖なのかもしれない。

そしてボクらがいま体得を目指しているのは、「聴く」についての「これ」なのだ。
だれの目にも入らぬような森の虫が自然に目に入ってしまうように、
だれも気づかない光や蝶を自然に追いかけてしまうように、
だれにとっても感動するような話の影の部分が自然によぎってしまうように、、、、

人が話される声のなかの小さな悩みや言葉の影にある苦しみであっても自然に聴こえてしまう。
それがアタマを経由したものでも、知識の引き出しからだされたものでもなく、意識もせずに聴こうともせずただ自然に聴こえてくる。
こうした感性を体得しようとしているのだ。

ワタシにとってはまだまだだ。
アタマや知識を経由してしまって、意識もなく自然に聴こえてくるまでには、まだまだ遠い道なのだけど、森を歩き続けて自然に獲得した感性のように、聴き続けることでいつか体得できるのではないか、と信じている。


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