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お金の謎を解明しよう!「きみのお金は誰のため」

こんにちは、読書子です。
本日、紹介する本はこちら。
田内学作「きみのお金は誰のため」

「読者が選ぶビジネス著グランプリ2024」の総合グランプリ第1位を受賞した小説です。
この本を読んでお金に対する考え方が変わりました。
では、あらすじを簡単に紹介します。

中学2年生の佐久間優斗は、ある日、学校からの帰り道に大雨に遭い、謎の大きな屋敷で雨宿りをさせてもらうことになる。
そこには関西弁を話す、ボスと呼ばれる大富豪が住んでいた。
また、ボスは「建物の本当の価値が分かる人にこの屋敷をわたす」と告げる。

優斗は屋敷に入る前に出会った女性、久能七海と共に、ボスからお金の謎社会のしくみについて講義を受けることに・・

物語のプロローグで、ボスは3つの真実を優斗たちに告げました。
1.お金自体には価値がない
2.お金で解決できる問題はない
3.お金をみんなで貯めても意味がない

優斗や七海は「全く逆だ」と反論します。
もちろん、私も優斗たちと同じ意見でしたが、ボスは「3つの真実の謎を解明すればお金の正体が見えてくる」と言い切りました。

そして、第1章「お金自体には価値がない」が始まります。
ここでは、トランプを紙幣に見立て、お金自体には価値がないと説明する話が印象に残りました。

まず、54枚のトランプでサクマドルという仮の紙幣を作り、お母さんがお金を発行する日本銀行のような役割お父さんは政府の役割という風に設定します。

次に、お父さんが「54サクマドル借りる。1年後に利息をつけて返す」といった内容の借用書を作成。
日本銀行が政府からの借用書(日本国債)を大量に持っているという日本の状況と同じ状況をつくります。

簡単にいえば、お母さんが発行したサクマドルをお父さんが借りている状態です。
次に、家の手伝いをして優斗はお父さんから5サクマドルもらいました。
ただ、この時点でいくらサクマドルをもらっても優斗は何の価値も感じません。

そこで税金の導入です。
例えば、お父さんが「今日から5サクマドル払わなければスマホは使用禁止」と宣言するとします。
守らなければスマホは没収。
優斗にとってスマホは生活に欠かせない必需品です。
そんな大切な物を没収されたら困る・・
ここで、初めて優斗はサクマドルに価値を感じるようになりました。

税金を導入したら、次は給料の登場です。
お父さんが「家事を全て行うこと。そのかわり、給料を出す」と宣言するとします。
掃除をすると10サクマドル、料理をすると15サクマドル貰えるという風に、給料が発生する仕事を提供すれば、自然とお金は循環していきます。

また、家事をしなくても他の仕事をする方法もあります。
例えば、優斗に兄がいると仮定して・・
兄が料理をして15サクマドル貰う⇒優斗が兄にマッサージして5サクマドル稼ぐという方法です。
こうしてサクマドルを使った経済は、お父さん(政府)がつくる仕事以外にマッサージのような民間の仕事の支払いにも自然と広がっていく。

つまり、ボスは「お金自体に価値はないが、税金の導入により、個人目線で価値が生まれ、社会でお金が回り始める」ということを伝えたかったのです。
更にこの説明の後、ボスは「お金が人々が支え合える社会をつくっている」と話していました。

第1章を読み終えた時、謎が1つ分かってスッキリしたと同時に「そうだったのか!」と納得しました。
この後もボスの講義は続いていくのですが、どの話も面白く、とても分かりやすかったです。

疑問が納得に変わる「きみのお金は誰のため」
気になる人はぜひ、読んでみてください。


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