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オチのない結末にゾッとする「きのうの影踏み」

こんにちは、読書子です。
本日、紹介する本はこちら。
辻村深月作「きのうの影踏み」

全部で13篇収録した短編小説です。
かわいい表紙だと思って読んでみたら、まさかの怪談話。
しかも、ほとんどオチのない話なので、それが余計に怖くてゾッとしました。

では、印象に残った話のあらすじ3つ簡単に紹介します。

『・十円参り
子どもの頃「十円参り」というおまじないが流行した。
嫌いな人の名前を紙に書き、十円玉と一緒に10日間、神社の賽銭箱に入れ続けると紙に書かれた名前の人物が消えるらしい。
小学生の少女2人はある日、突然消えてしまった友人についておまじないが原因ではないかと相談するのだが・・

・手紙の主
あるホラー作家から、奇妙なファンレターをもらったという話を聞いた時、私は驚いた。
なぜなら、私も同じような手紙を過去に受け取っていたからだ。
そこから手紙の主を探そうとすると、周囲で不可解な現象が起き始める。

・噂地図
噂の出所を描いた噂地図。
これを作る際、必ず守らなければならないルールがあり、もし、ルール破ってしまったら恐ろしい罰が降りかかるといわれている。
主人公の女子高生はある日、友人から噂地図を作ってほしいと頼まれる。
彼女は友人の頼みを受け入れ、無事に噂地図を完成させますが・・

紹介した小説には、他にも様々な怪談話が収録されているのですが、上記で紹介した3つの話が特に怖かったです。

オバケが出るのではなく、どの話も現実で起こりそうなことばかり。
それが妙にリアルで余計に怖くなりました。

ただ、どの話も面白く、気がついたら最後の話に。
最後の話の「七つのカップ」は怖いけど、心が温まるお話でした。

事故が多発する横断歩道の前に度々置かれるマクドナルドのカップ。
置いたのは、交通事故で娘を亡くした一人のおばさんでした。

ある日、とある心霊番組で霊媒師が「事故が起こるのは、ここで亡くなった少女の霊が原因」と発言します。
つまり、おばさんの亡くなった娘が事故が起こしていると言われたのです。

これがきっかけで、おばさんは横断歩道の側から片時も離れなくなりますが、果たして、事故が起きるのは本当に亡くなった少女によるものなのでしょうか。

最初はおばさんや度々置かれる謎のカップに気味が悪かったですが、物語が進むにつれて、おばさんの思いが少しずつ分かっていきます。
ラストは今まで感じた怖さは消え、優しい気持ちになれました。

気になる方は、ぜひ「きのうの影踏み」を読んでみてくださいね。



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