20限目:働き方シリーズ(30代、40代、定年後の働き方)
前回の19限目とは全く異なる話題です。
2023年8月~9月にかけて購入した「働き方」についての本はテーマ毎に紹介したいと思います。
<定年後の働き方>
日本人の人口比率を反映しているのか、最近、定年後の働き方に関する書籍が多く出版されています。私の世代は、定年後の年金も期待できないため、定年後も働き続けなければならない!と思い、気になって手に取りました。
ほんとうの定年後(坂本貴志)
定年後の貯金を心配する日本人は多いが、定年後は消費意欲がないため、持ち家があれば、生活費は非常に少なくなるということに気づかされました。
確かに、60歳からバンバン海外旅行に行ったり、BMWのスポーツカーを購入するなんてことはないので、消費意欲は落ちますね♪
<ポイント>
●定年後は「小さな仕事」を通じて豊かな暮らしをしている人が実は多い。
●多くの人は現役時代から定年後のキャリアに向けた移行期に悩む。
●定年前の50代後半に収入低下し(定年前の役職引き下げ)、定年直後にもう一度給与削減がある(定年前と比較して30%減)。
●教育費から解放され、持ち家比率も増え、実は医療負担も大きくないため(医療保険制度の充実により)、生活費は月30万円弱まで低下する。
●年金給付を考慮すれば、月に10万稼げれば十分になる。
●定年後のキャリアの平均的な姿は、体力と気力を中心に仕事に関する能力が緩やかに低下し、これに合わせて仕事のサイズが小さくなる。しかし、そうした中でも、目の前にある小さな仕事に対して確かな意義を感じていく。
定年前と定年後の働き方(石山恒貴)
「ほんとうの定年後」に記載のある以下の「年齢別の幸福である人の割合」のダウン→アップを解説してくれる本です。
このU字型カーブ現象を知らなかったため、興味を持ちました。
<ポイント>
●U字型カーブでは、幸福度は48.3歳に底を打つ。
●50歳以降は、シニアが自分にとって意義ある目的と親密な人との交流を重視するため、気の合わない人と我慢して付き合う必要がなくなり、ストレスが減少する。
●また、シニアは「選択・最適化・補償」をすることで、加齢していく中で衰えを自覚しつつも、何か新しいことを獲得しようとする。
●「選択」によって目的を特定し(自分ができる新たな目標をセット)、「最適化」するための工夫を行い(自分の経験を活かせるよう工夫)、自分ができないことは「補償」(自分の能力以上のことは他社の助けを借りる)することで、幸福度が増える。
●シニアになる際は、「サッカーで、今まではフォワードとして点を取ることに生きがいを感じていたのに、スタメンではなくベンチにいることになり、そこで適応しようと葛藤している状態」のような自己調整が生じる。
●こういったシニアの働き方に対して、企業側でも新たな取組みが見られるようになっている。
<35歳、40歳、40代の生き方>
それでは、定年後を見据えつつ、30代、40代をどのように生きたらいいかという話になります。Real君たちはどう生きるか!です。
40代に活躍している人は、30代の十分な準備をしていたり、ひと工夫することで、充実した40代を過ごしています。
40代の時の働き方を見据えて、30代にどのように準備するかという参考になります。
「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略(尾石晴)
2人の子育てをしながら仕事もしている女性の作者の本です。
はじめに、に以下の記載があります。思い当たる方もいるでしょう。
40代から手に入れる「最高の生き方」(いれぶん)
42歳で20年勤めてきた会社で窮地に追い込まれ、株式投資で700万円の損失を出して、お金もなく家族からの信用も失った、筆者いれぶんさんの40代の生き方です。
40代になっても、人は変われることに気づかされる1冊です。
私に一番響いたのは、以下です。
35歳の教科書 今から始める戦略的人生計画(藤原和博)
The 昭和世代の猛烈社員の生き方をして30歳でメニエル病になり、5年間も後遺症に苦しんだ藤原さんの、30代にフォーカスした本です。
40代の準備のために、どういったことを考えればよいのか、戦略的な考えが書かれています。組織で働くThe サラリーマン向けの内容です。
参考になったのは、以下です。
<若者の働き方>
Z世代や最近の若者の働き方、働くことに対する姿勢が気になりました。
含蓄に富んでいる本です。
「働きやすい会社」をなぜ若者は辞めてしまうのか?、という逆説的な問いかけが気を引きます♪
過去10年間で、ある年の前後で、圧倒的な新卒入職者の変化が見られます。何年(20●●年)でしょうか?
これには、日本の職場を変えた3本の法律がおおいに関係しています。
答えは、2016年です。
理由は、2016年卒が就職活動をする頃に法律が変わり始めたからです。
その3本の法律は、①若者雇用促進法、②働き方改革関連法、③パワーハラスメント防止法、です。
まず、就活生に対する職場環境に関する情報開示が一気に進み、同時に職場環境を改善する圧力が企業にかかりました。
これにより、若者は企業を職場環境面で厳しくチェックできるようになり、また企業側も職場環境の改善に勤しむようになりました。
法律以外の理由としては、新入社員は、入社前の学生時代に、以前より沢山の社会的経験をしています。この経験と入社後の会社の経験を比較するためです。
そもそも、日本の職場がゼロから若者を育てる余裕を徐々に失っています。さらに、入社前の学生時代の社会経験・社会的アクション(起業など)は増えています。
このような複合的な原因が、主に2016年以降、負荷はないが成長もない、ゆるい職場、を作り出しています。
大手企業の管理職の発言からは、最近の若手の育成にどう関係するか、ヒントがあります。
同書では「ゆるい職場」の人材育成に対する対処方法が提示されています。
2016年以降の新入社員を育成するために、どのような工夫が必要か、腑に落ちますが、難解であることがわかります。
<コンサルティング・ファームの働き方>
最近、コンサルブームが起きていて、猫も杓子もコンサルに就職・転職します。しかし、私が就職活動をした10年以上前は、コンサルは非常に狭き門で、それこそ、マッキンゼー・ボスコン等の戦略系は年間10人以下しか雇っていませんでした。
私、桐島は、大きめの外資系コンサル(おそらくこの著者と同じ会社、私は戦略部門でしたが、システム部門を持っている外資系コンサルと言えば、すぐにわかる人が多い!!!)の内定をいただきましたが、当時はその会社でも20~30人ぐらいしか内定者がいなかったと思います。
2010年代前半に入社した人と、最近入社した人の働き方、マインドセットの違いが気になり手に取ったのが、以下の書籍です。
上記で紹介した「ゆるい職場」とも連動していて、一緒の読めば、コンサル旧時代社員と新時代社員の対立や葛藤が大きなものだとわかります。
コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル(メン獄)
まずは、「はじめに」の執筆動機がわかりやすいので、抜粋します。
この本は、2009年以降のコンサルタントの仕事術を自叙伝として描いていて、ストーリー仕立てで面白く読めます。
私は、同じような世代の人間なので、感情移入して、「わかるわかる♪」とうなずきながら、あっという間に読了しましたが、これを読んでも「???」となる若手の方が増えていると思います!
仕事術も、コンサルの働き方の歴史的推移も学べる良本です。
ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか(酒井隆史)
コンサルの多くは、ブルシット・ジョブ(どうでもいい仕事)であるという言説が2020年以降に広まりました。
それは、デヴィッド・グレーバーという文化人類学者が、「ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論」という本を出してからの現象です。
この本は400ページ以上あるので、この本の翻訳者が、内容を要約してくれている書籍が、こちらです。
この本は、
1.「ブルシット・ジョブ」とはなにか?どんな種類があるのか?
2.「ブルシット・ジョブ」に就いている人たちはどのような精神的状況にあるのか?
3.「ブルシット・ジョブ」がどうして、こんなに蔓延しているのか?
4.どうしてそのような状況が気がつかれないまま、放置されているのか?
に答えてくれます。
例えば、1の質問に対する答えは、以下です。
さて、あなたの仕事は、ブルシット・ジョブでしょうか?
思い当たる節があれば、お金のために働いているが、どうでもいい、あってもなくてもいい仕事なのかもしれません。
何を仕事に求めるのかは人それぞれですが、自分のしている仕事が、どういった仕事なのか、世の中で価値があり、世の中に価値を提供するのかは、大事な視点だと思いました。
今回は、8冊の書籍の紹介をしました。
たまに、このような書籍を読むと、今後の人生の生き方、いまの仕事のやり方を考える良い機会になります。
「自分の人生、これでいいのかな?」というみなさま、立ち止まって、本を手に取って、考えながら読むのも、いいかもしれませんね(*´ω`)
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