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「民意」とは?~民王を読んで~

「なにが民意だ! ふざけるな!」(文中より)

内閣総理大臣指名選挙に注目が集まる今日(2021年9月26日)にピッタリだし、私みたいに来週に迫った待望の民王の続編発売に向けて読むでもきっかけは様々だろう。

あなたもこの本を読むと、「民意とは何か?」まさにこの一言について考えるようになるのではないだろうか?

どんな本?

あの半沢直樹の原作者としても有名な池井戸潤さんの政治をテーマとした小説です。同氏の著書は、半沢直樹シリーズももちろん大好きですが、私はこの「民王」もまた大好きだ。

念願叶って新たに総理大臣になった武藤泰山は、バカ息子の翔と就任早々に入れ替わってしまう。二人は周りの人間を巻き込み、巻き込まれながら、次々と直面する支持率低迷の危機を乗り越えていけるのか?そして、国家を揺るがす大きないんぼうにつながっていく二人の入れ替わりに隠された謎を解決し、元に戻ることはできるのだろうか? 笑いあり、涙ありの痛快政治エンタメである。


読んでみて

まず前述のとおり痛快政治エンタメであることからも、一気読みは避けられないほど内容が面白い!

池井戸潤さんの真骨頂である正義が勝つことによる爽快感ももちろん健在だ!

そして、入れ替わりという奇想天外な背景からは想像もできなかった、政治内容の現実感とのギャップとその描き方が本当に素晴らしい!

なかでも今回は、最後の政治内容の現実感に焦点を当てたい。

「民意」 この言葉からあなたは何を想像するだろうか? 意味はもちろん理解しているつもりだったが、本書を読み終わった後、私は「民意」という言葉を辞書で検索せずにはいられなかった。

民意・・・〔名〕 人民の意志。国民の意見。一般の人々の考え。「民意を問う」(精選版 日本国語大辞典)

印象に残ったシーンがある。

プライベートでスキャンダルが発覚した総理の古くからの盟友でもある官房長官・狩屋について、野党から厳しい質問が浴びせられた時の武藤総理(入れ替わっているので中身は息子の武藤翔)の答弁である。

当初は、秘書の準備した原稿を読むだけであったが、青ざめていく狩屋を見て野党に向けて、翔は一言。

「なにが民意だ! ふざけるな!」
「いいか、民意はな、バナナのことなんかどうでもいいんだよ。そんなことより、もっと国をよくしてくれ、景気をなんとかしてくれって、そう思っているはずだ。それなのになんだ。くだらねえマスコミに便乗し、党首までのこのこ出てきてバナナだなんだと時間の無駄遣いだ。それで恥ずかしくないのか!もう一度言う、ここは予算を話し合う場だろう。お前ら、国家予算よりバナナのほうが大事か?そりゃ、違うだろ。顔を洗って出なおしてきやがれ!」(一部抜粋)

自分の頭がガツンと何かに殴られたような気がした

「偏った経済ニュースや新聞などを見てマスコミの言うことを鵜吞みにして、政治のことを分かった気になっていなかったか?」

「マスコミ報道のフィルタを通して届けられる本人の情報やイメージをもとに、各総理大臣候補を判断してしまっていなかったか?」

「目の前のわかりやすい情報にばかり目がいってしまい、本当に考えるべき日本の中長期的な発展や未来を真剣に考えることができていただろうか?」

本書ではもちろん政治家側の視点で描かれている。ただこの「民意」とは何か?ということについては、一国民としての側面を忘れて通り過ぎることはできなかった。

マスコミに踊らされてマスコミ報道で言われていたことを、SNSでコメントされていること、それらを切り取ったWebページなどを、さも自身の考えや民意として認識していなかったか?思考停止になっていなかったか?政治と関係ないところでのスキャンダルや、発信者側の意図をもって発信されたプライベートな情報で物事を判断していなかったか?

「民意」

今、これ自体の価値が下がっている、何かがわからなくなってしまっている、あるいは目に見えない何かに奪われようとしているのではないか?

情報過多で、意識をしていなくても様々な情報が右から左へと流れてくる時代だからこそ、「本当は、」自分はどう思うのか?あなたはどう思うのか?このシンプルな問いに対して答えられない状況になってしまっているのではないかと思う。

※決してマスコミが嫌い、悪いと申し上げているわけではないので悪しからず

終わりに

と、いろいろ自身が感じるところを多く書いてみたが、まずは内閣総理大臣指名選挙の各候補者のそれぞれの言葉や思いに直接アクセスして自分なりの考えや意見を持ってみようと思う。

ちょっと話はそれるが本内容を書いてみて思った。

読書って、小説でもビジネス書でも何でも、その内容から何かを感じて、考えて、小さいことでも何か行動してみることが大事なんだろうな。。。。

話が逸れに逸れてしまったが、改めて「民王」、非常におすすめなのでぜひ興味があったら読んでみてください。2021年9月28日には、待望の続編「民王 シベリアの陰謀」も発売されるので、注目です。私は既に予約申し込みしました!

お風呂入ってこよーっと


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