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職業人生の岐路に立つ方へ『どこでも誰とでも働ける』は参考になる




この文章を書いている今、私は無職だ。なぜ無職なのか。それは仕事を辞めたからだ。
転職に関しては何度か経験があるため、仕事を辞めること自体はなんてことないんだけど、今回の無職は今までとちょっと違う。
それは、今後の仕事(=お金稼ぎ)を全く検討することもなく辞めたのだ。
これは慎重派の私としては、英断といっても過言ではない。
33歳にして華々しくニートデビューしてみちゃったわけだ。

で、暇だし、やることと言っても家事とか夫の身の回りの世話みたいな毎日だし、飽きてきたし、じゃあ働けし、いやなんか腰が上がらないんだし、てかお金もないんだし、ってダシダシ&グダグダ自責の念仏を唱えながら、元来本好きな私は近所にあるちょっと大きめの図書館へ足繁く通っていた。
ちょっと外出することで自責の念仏を鎮めようとしたのだ。そして自分の興味の赴くままに、自分が読みたい本だけを借りては読み、読んでは借りてを繰り返す中で、「いやこの本最高かよ!!!」っていう本に出会うことがあった。
しかも、多々あった。

で、せっかくなら記録をとっておこうってことでここに記しておくことにする。

今回はこちらの本の記録を残そうと思う。

『どこでも誰とでも働ける
12の会社で学んだ”これから”の仕事と転職のルール』

尾原 和啓 著/2018.4月発行


いかにも無職の33歳が手に取りそうな本である。
例に違わず、この私も図書館の中を彷徨っているうちに、ふと目にとまり思わず借りてしまったのだが、この本が面白かったのだ。

先に述べておきたいのだが、この種の本は私の中で2種類に分類される。
1つは、自己中心的につらつらと自慢話を書き綴り、終始ご自身に酔い散らかしているタイプ。
このタイプはそっとページを閉じ、そして図書館へ返却する。自分の精神衛生上、読み続けることはよろしくない。
そしてもう1つは、文章の中に自身の課題を見出すことができ、読んでいて鼻にもつかないタイプ。
今回ご紹介する尾原さんの本は、私の中で後者に分類される。
ちなみに、この分類は私の精神状態に左右される程度のものだ。

下記は発行元であるダイヤモンド社のHPより引用した記録として残しておく本書の概要である。

マッキンゼー、リクルート、Google、楽天、ドコモ、サイバード、オプト…

世界を巡りながらリモートワークを続けるITのエヴァンジェリストが、いま同時に起きている3つの大きな変化を示しながら、「AI以後」「人生100年時代」の新しい仕事術・働き方を詳細に解説。

ダイヤモンド社ホームページより https://www.diamond.co.jp/book/9784478102022.html

経歴を見る限り大手ばかりを経験した鼻につきそうな人だし、世界巡っちゃってリモートワークって、どうせイケイケのシュッとした人なんでしょ?

てか、エヴァンジェリストってなに?

って感じの印象を与えかねないってんで、とりあえずエヴァンジェリストをwikiってみた。

エバンジェリスト(Evangelist)とは、キリスト教における伝道者のこと。エヴァンジェリスト、エヴァンゲリストとも。

ドイツの神学者ルターは、自らを福音主義者(エヴァンゲリストevagelist)と呼び、イエスの教えに回帰することを説いた[1]。

また、IT業界では、技術的話題を社内外に解りやすく説明・布教する使命を持つ「テクニカルエヴァンジェリスト」という職業も存在している。

出典元 wikipedia

尾原さんは後半に文章後半に出てくるエヴァンジェリストかと。
で、ご本人の経歴はこんな感じ。

1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレイトディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)、Fringe81(執行役員)の事業企画、投資、新規事業などの要職を歴任。現職の藤原投資顧問は13職目になる。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。著書に『ITビジネスの原理』『ザ・プラットフォーム』(NHK出版)、『モチベーション革命』(幻冬舎)などがある。

ダイヤモンド社ホームページより https://www.diamond.co.jp/book/9784478102022.html

著者の尾原さん、経歴を見てお分りいただけるようにマジで転職しまくってる。しかも名だたる企業。さぞかし輝かしいスタートを切っていらっしゃるんでしょうね、フン!と鼻息荒い方もいるのではないかとお察しする。京都大学を修了なさってるわけだし。でもね、なんかちょっと違うのよ、この方。なんかこう、現場主義というか。自治会長なんかをやってるお話好きのおっちゃんというか、本書の中ではそんな印象を与える方だ。(断っておくが、私はお話好きなおっちゃんは好きだ。)

なんでこんな印象を与えるのか。1つエピソードを。彼の原体験(と言っても大学院生の頃)は阪神・淡路大震災のボランティア活動にあると書いてる。

震災当時、京都大学院生だった彼は、自身の実家も下宿先も大きな被害を免れたことにより、震災2日目から現場に飛び込んでボランティア活動に従事していたそう。現場はとにかく混乱していて物資の供給もままならない状況の中、彼は神戸大学の学生と手を組み被災者とボランティアをつなぐプラットホームとなって活動していたんだと。
もちろん、何処の馬の骨ともわからない大学生がガシガシ首を突っ込んできて、不審がられることもあったんだとか。混乱してる状況だったことも考えればそんなこともある。
それでも地道に活動をする中で、まだWindows95が発売される前の頃だった当時にしては珍しく、尾原さんはパソコンが得意だった。ってことであちこちの会議に顔を出して議事録を提供するというスキルを提供していたんだと。
今と違って手書きで一生懸命起こしていた時代、かつ甚大な被害にあり通常の生活もままならない現場で、会議が終わった時点で議事録が完成し、コピーさえ取ればいろんな人と共有できたっていうのは嬉しい限りだっただろう。
で、「尾原がいると便利だからちょっとこい」ってことでいろんな会議に顔を出していたそうだ。

このことから尾原さんが悟ったのは、ただひたすら相手の為にギブし続けることが大切だと。ギブし続けることが自分と相手の間にある壁を壊すんだと。このことが根幹にあるからこそ、いろんな名だたる会社を渡り歩いてこれたのだろう。

この思想を持っている尾原さんだったからこそ、この本はどこを読んでも嫌味に感じることもなく、スラスラと読むことができた。ここからは私が感銘を受けた3つのことについてまとめる。
あくまでも自分自身のことを書き綴っているだけなので、私の気づきについて興味を持った人だけが読み進めてほしい。
なぜなら、興味もないのに全てを読むのはあなたの時間を無駄にしてしまうからだ。
もう1度伝えるが、ここからは私の独り言を読みたい奇特な方だけが読み進めてほしい。

今の私にとって大切で衝撃的な気づきは下記の3つである。


  1. 失敗のから学ぶ回数を増やす「DCPAサイクル」

  2. 入社を目的にしない「手段としての転職」

  3. 自身の強みを拡張する「誰とでも仲良くなれるコミュニケーション」



1.失敗を増やし学びを増やす「DCPAサイクル」


私が20代前半に広告関係の営業をしていた時のこと。
直属の上司や、もっと上の偉い方々から「PDCAを早い速度で回しながら仕事しろ!」と言われていた。なもんで、営業締め後の振り返りにはとりあえず「PDCA」の文字を並ばせていた。そう何も理解していないのである。

そもそもPDCAとは「PLAN(計画)、DO(行動)、CHECK(評価)、ACTION(改善)」の頭文字をとった業務改善の手法としてポピュラーな言葉だが、今やこの手法は古いという意見もありOODAループ、STPDといった手法を紹介する方もいる。

で、これからの時代、尾原さんはDCPAなんじゃないと言っているのだが、これが、いや、まさにページの冒頭でダシダシ&グダグダ言っていた私に必要だったのだ。

尾原さん曰く、とにかく行動してチェック!行動してチェック!行動してチェック!だと。もうほんとにそれだと思うのですよ。

私ごとでお恥ずかしながら、
計画だけはとにかく立てまくり(こんなメディアがあったら楽しそう!)、アイディアだけは次々出てきて(〇〇を知ってもらうことで親近感が出て購入者と出品者をより強固に繋げられる!!)、
でも自分の頭の中にしかないから(他の人に言ったらアイディアが取られちゃう。だけど一人でやるのはな・・・どうしよ)、
そりゃ単なる妄想だよってなって、結果、今後のことを何も考えてない無職なわけで。

そう、私には行動が足りない。圧倒的に足りない。行動もないからチェックもない。そうすると自分の中に蓄積していくものがない。蓄積しているものがないとコミュニケーションも下手になる。話題がないからさ。そうすると自己肯定感も下がる。で、本当の私って何?って言いながら自分探しの旅に出かけたくなったりする。けどやっぱり、これも行動には移さない。

もうね。自分で自分のことを書いていて吐き気がするくらいやばいアラサーが出来上がっちゃってるわけ。

だんだん年を重ねてくると失敗ってマジでやばいものだと思う人もいるじゃない。私なんて小中高と学校の先生から優等生として好かれるタイプだったし、親や祖父母から失敗は悪だって教わってきたところあるから、失敗って本当に抵抗がある。書いてて何様かと思ったりするんだけど。

要するに私は失敗を恐れるあまり、自分の行動に制限をかけ続けてきてしまって、物理的にも精神的にもどんどん行動範囲は狭くしてたってこと。本当に勿体無いことしてきた。

とにかく行動し、チェックして、失敗すれば改善点を出して、また行動する。すごく基本的なことを気づけた箇所だった。

※著書 第1章6.「試行回数をどこまで上げられるか?」が勝負を分ける


2.入社を目的にしない「手段としての転職」


冒頭でも紹介させていただいたように、私は転職という行動だけはいとも簡単に取ってきた。今振り返って、何もカッコつけずに表現するならば”飽き性”なんだと思う。

ざっくりいうと営業職→コールセンターSV→経理事務という経歴をもち、大体3〜4年単位で業務内容を変えてきた。

尾原さんは著書の中で転職には2種類あると書いている。1つは「目的としての転職(就職)」。もう1つは「手段としての転職(就職)」。

例えば、この会社で働きたい!という目標を持っている人の場合、この会社に所属することが最大の目的だ。これは前者の「目的としての転職(就職)」。ちなみに、私のばあちゃんはこのタイプで、大手に就職することが人生最大の目標なのだと孫である私に刷り込み続けた人だ。
一方で後者の場合、例えば、働くことでマネジメントスキルを身につけたい!みたいな人は、スキルを身につけることが目的となっており、これは後者の「手段としての転職(就職)」だ。

尾原さんは、後者の手段としての転職もありなんじゃないの、ってことを言ってらっしゃるのだ。

ここで大切だと思ったのは、自分の行動は目的なのか手段なのか?を明確にしておくことだ。

ここは私ごとなので、読み飛ばしてもらって構わないが、営業時代、電話営業いわゆるテルアポが苦手だった。相手の顔が見えないという状況で話をすることになぜか苦手意識があったのだ。だからコールセンターに就職してみた。ここだったら電話で話すしかない。前職が営業だったこともあり、半年もすればセンター内で評判のオペレーターになり、センター開業タイミングでの入社だったこともで、半年でオペレーターの教育に関わるようになった。そのタイミングで、結婚をし、夫が自営業になりたいということで、では経理スキルが欲しいわってことで、運よく不動産会社の経理職につけた。
で、経理だけじゃなくて会社経営にも携わりたいわってことで、去年別の会社へ経理として就職したのだが、片手ほどの人数しかいない小さな会社でゆるくやってきた人たちと馬が合わず退職して今ここって感じなのだ。

これまでの私は基本的に手段としての就職・転職なのだ。
そう。お気づきの方もいらっしゃると思うが、私のばあちゃんの教育方針は刷り込まれていなかったのだ。
これは面白い気づきだ。
さらにいうと、なぜ、今無職なのか?ということだ。
私は今何をしたいのか。どうなりたいのか。ここが明確になっていない。だからこそ伸ばしたいスキルも明確になっておらず、無職なのだ。
その辺の大学生の方がよっぽどしっかり自己分析してらっしゃるよなと、恥ずかしくもなるが、今の私の気づきであったため、恥を忍んでこちらに書き記しておく。

※著書 第2章26.転職を「目的」ではなく「手段」としても考える


3.自身の強みを拡張する「誰とでも仲良くなれるコミュニケーション」


そもそもこの本のタイトルが「どこでも誰とでも働ける」とあるように、どこでも誰とでも働こうとした時に必須になってくるのは他者とコミュニケーションをとることである。

で、コミュニケーションをとることで、仲良くなり、物事を円滑に進めていきやすくなるという利点があると思うのだが、尾原さんは仲良くなるための3つの条件を書かれていた。

  • マイクロインタレスト(自分の”推し”を自覚する)

  • 自己開示(自分の弱みをさらけ出す)

  • コミットメント(物事を最後までやるきる)

中でも注目したのが、マイクロインタレストだ。

日本にはオタクという文化がある。一昔前のオタクというとダサいTシャツをピチピチの半ズボンにインして、頭にバンダナを巻き、自分の好きなことになると血眼になって話し始めるみたいなちょっとエッジの効いた方々のことというイメージがある。ただ、今は”推し活”という言葉があるように、もっとソフトなオタク活動というか、誰でも気軽にオタクになれる時代になった。
そしてインターネットの普及に伴い、だんだんと個人の好みは細分化し、推し活もしやすくなった。

で、インターネットをみんなが使うようになるとネット上にコミュニティができる。どんなにニッチな話題でも、ネット上には自分と同じ趣味趣向の方がいて、国境を越えて同じ話題を共有できる。

さらに推し活仲間が増えることで、その仲間から関連した話題も出てくるだろう。そうすると自分の中で情報も増え、話題も豊富になる。
これを繰り返すことで、自分の推しだけでなく他の関連した話題にも触れ、自分の中での推し対象が広がっていく機会もあるだろう。

何と楽しい循環だろうか。
ちなみに私には推しという推しがない。
というか考えたことがない。
なのでこの場を借りて、私の推し活推進活動を宣言することにする。

※著書 第3章44.誰とでも仲良くなれる3つの方法


終わりに


今回は尾原さんの著書を読んだ私の気づきを書き綴った。
本というものは著者に会わずとも著者と対話できるツールだ。
もちろんSNSで気軽に著者と話をすることも可能かもしれないが、本は著者の言いたいことが綺麗に簡潔にまとまっている。
綺麗に、簡潔に。そこが素晴らしいところだ。
今回は尾原さんの著書の中から3つのトピックスについて私が感銘を受けた部分について紹介した。
ただ、実はこの著書、本文だけでも45のトピックスがある。
なのでぜひ読んでもらいたい。
きっと感動する場所、気づきの内容は読む人によって違うはずだ。
特に私と同じように人生の岐路に立って迷子になっている方。
何か気づきがあるかもしれませんよ。

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