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綺麗ごとだけではない世の中だから

今週は私のおすすめの本
「あなたの愛人の名前は」
を紹介します。
 
 
短編集のようでつながってる作品もある本です。
 
 
私が好きなお話は、
「あなたは知らない」
 
 

生まれて初めてただひたすらに目の前の男を欲しいと思った


 
主人公の瞳は、結婚間近の恋人と同棲中だが、ある日浅野さんに出会う。
瞳はなぜか浅野さんに強くかれていく。
手に入らないから惹かれるのか、
今の彼になにか違和感を感じているから惹かれるのか。
ただ欲しいと思った、でも付き合うなどを期待したことはない。
彼が求めているのはそういう出会いではないとわかっていたからだ。
 
 

それでも浅野さんと抱き合ったら重さを
胸のうちにおぼえてしまった。
情がうまれてしまうやつだ、ととっさに察した。
そう思った時点ですでに生まれていたことに
気付かぬふりをして。


 
 
会うたびに、どんどん浅野さんにかれていく
でも、浅野さんの心が見えずあいまいに、
だけど、心では問いかける。
 
 

浅野さんは本気で誰かを好きになったことはある?
私のことはどう思っているの?
 
江梨子は、なにかが足りないからこそ、
遊びだからこそ選ぶ相手だと言った。
それなら最初からすべて欲しくて好きになってしまった人には
どうすればいい。


もうじき結婚するのに、自分が自分でなくなる人に出会ってしまった。
なにを求めているのか、なにがしたいのか。
どうしようもなく、求めるとはこういうことなのか。
永遠に聞けない質問だけを心に抱えて生きる瞳はこう思う。

都会よりも遙かに大きな蝶が足元から飛び立ち、
蒸れた土の気配を感じながら、
浅野さんとセックスした罰は、
誰にも寂しいと言えないことだと悟った。

そして、ここから
僕だけが知らないにお話が続きます。

関係を続けていた二人に終わりが来ます。
瞳の婚約者に二人の関係がばれてしまいます。
終わりをつげる二人。
瞳は婚約者と別れるが、浅野さんとも終わりを決意します。

その昔 あなたのことが 大好きで 
そして今では 嫌いになった


人の心は変化します。
その時に、想ったとこ、愛したこと、人をずっと愛せるかはわからない。
ある日突然、別れを決意するときがくるかもしれない。
自分が思ってることを相手が、そう感じていてくれるとは限らない。
だからといって、すべてをさらけ出せばいいわけではない。
愛ならなおさら。
愛でなくてそうなのだ。
人間は単純で複雑だ。
なにを感じ、何を自分の中で優先させるのか。
それは、自分が決めていいことなのだ。
責任は自分がとるのだから。
でも、それで得られる幸せは、きっと自分だけのものなのだから。

Written by なおこ

アラフォー女


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