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それは真実か?誤報か?報道のタブーに迫る!【セイレーンの懺悔】

マスコミは被害者の不幸を娯楽にするセイレーンなのか!

【本の基本情報】
○ジャンル:小説・ミステリー
○本の種類:文庫本
○著者名:中山 七里
○出版社:小学館文庫

■「セイレーンの懺悔」のあらすじ

不祥事で番組存続の危機に陥った帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」。
配属二年目の朝倉多香美は、里谷太一と起死回生のスクープを狙う。
そんな折、葛飾区で女子高生誘拐事件が発生。
被害者は東良綾香、身代金は一億円。
報道協定の下、警察を尾行した多香美は廃工場で顔を焼かれた綾香の遺体を目撃する。
綾香がいじめられていたという証言で浮かぶ少年少女のグループ。
主犯格の少女は小学生レイプ事件の犠牲者だった。
マスコミは被害者の不幸を娯楽にする怪物(セイレーン)なのか
葛藤の中で多香美が辿り着く衝撃の真実とは。
報道のタブーに切り込む緊迫のミステリー。
※裏表紙より引用

■報道のリアルが見える!

あらすじからもわかるように、本書はスクープを狙う報道関係の内容にも触れています。
日常で私たちが目にしているニュース。

そのニュースが放送、全国の人間に届くまでにどんな事が起こっているのか
そんな報道のリアルが見える作品になっています。

そんな報道のリアルな流れの中に身を置く主人公は、自分にも起きた過去の悲劇から、真実を報道するという強い気持ちを持っています。

しかし、そんな気持ちとは裏腹に、誤報を流してしまうことになります。

その誤報で傷つく人。
自分の報道によって人生を狂わされる人がいる。

その事実から、多香美は大きな葛藤の中で苦しんでいきます。

■「セイレーンの懺悔」を読んで!まとめ

本書は、報道という世界のリアルとその世界に身を置く多香美という女性の報道に対する心の葛藤を描いた作品です。

私たちは毎日多くのニュースを目にします。
そしてそこに書いていることを真実だと思い、周りに話したりSNSなどに投稿しています。

たしかに報道されたことは真実かもしれません。
しかし、そこには報道された方達の気持ちや、人間関係が正確に反映されているとは限りません。

文字の書き方次第で、その文章は様々な受け取り方が出来るように変化します。

報道によって助けられる人もいれば、そうでない人もいます。
報道によって人生を狂わされる人。

真実だと思い、人を助けるために報道したものが実は誤報だったら。
それによって人が傷ついたら。

そのリアルを知った多香美は、報道に対する自分の心に葛藤を抱くようになります。

本書は報道のリアルを描きながら、多香美という報道という仕事で生きていく女性の成長を描いています。

驚くようなどんでん返しというよりも、報道の世界と1人の人間の成長を描き、SNSが普及して誰でも報道のように情報を流せる時代に生きる私たちが考えさせられる内容です。

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