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それは誰も知らない物語?【蛇行する川のほとり】

本当のことを話すのはあなただけ・・・

【本の基本情報】
〇ジャンル:小説・ミステリー
〇本の種類:文庫本
〇著者名:恩田 陸
〇出版社:集英社文庫

■「蛇行する川のほとり」のあらすじ

演劇祭の舞台装置を描くため、高校美術部の先輩、香澄の家で夏合宿に誘われた毬子。
憧れの香澄と芳野かわの申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。
その家ではかつて不幸な事件があった。
何か秘密を共有しているようなふたりに、毬子はだんだんと疑心暗鬼になっていく。
そして忘れたはずの、あの夏の記憶がよみがえる。
少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す。
※裏表紙より引用

■真実は一体?

本書は、高校生の男女が繰り広げるミステリー小説です。
かつて起きた不幸な事件の真相を知る者と、知らない者とが再会し、その真相を少しずつ明らかにしていく形で物語は進んでいきます。

その不幸な事件の真相が明らかになるまでに、様々な憶測が飛び交います。
何事もなく過ごしている学生の友人たちと過ごす時間の中で、誰かが一瞬見せるドキッとするような表情。

その表情に隠された真実とは一体なんなのか?
学生たちがそれぞれに秘めた感情や憶測がぶつかり合い、複雑な事件の真相がやがて明らかになっていきます。

■「蛇行する川のほとり」を読んで!まとめ

本書は、「蛇行する川のほとり」というタイトルで、タイトルを読むととても和む景色が浮かんできます。

しかし、実際には過去に起きた不幸な事件に巻き込まれた学生たちの、複雑な感情や憶測が混ざり合い、シリアスな場面になることもある物語です。

物語が流れていく場所、つまり不幸な事件が起きた場所が蛇行する川のほとりということで
そこで起きた事件の真相を明らかにしていくという内容になっています。

しかし、単純に真相を明らかにしていくというものではなく
事件に巻き込まれた当事者や、その事件を知っている者、それぞれが再会し、学生という時期にある微妙な人間関係が背景となりながら
事件の真相は意外な形で学生たちの間で固まってしまいます。

しかし、そこで終わらないのが、本書の魅力でしょう。
事件の真相が見えたように思いながら、実はそれは本当の真相ではなかったというラストをむかえます。

蛇行する川のほとりで起きた不幸な事件。
その真相を知る者は実は・・・そして真相は・・・。

最後の最後まで楽しませてくれるミステリー小説です!

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