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どこかの町の高田
2024年3月20日 23:16
久美ちゃんは知っていました。私は歴史に名を遺すだろうと。だって私は天才だし、要領いいし、おまけに酒もタバコもしていなかったのです。久美ちゃんが声を発すると、葉波がざわざわと打ってくれるし、久美ちゃんが恋をすると、時鳥が太陽にむかって鳴くのでした。それはそれとして、久美ちゃんは友だちがいませんでした。街の中を走れど、騒げど、大地が合わせて鳴動しようと、久美ちゃんを顧みるひとはいませんでした。