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数え続ける

 今朝、読んだ記事に「サイコパスは苦味を好む」と書いてあった。魚の肝とか、ゴーヤとかピーマンとか、苦い味の食材を好んで食べるらしい。・・・私じゃんね。

 嫌になっちゃうな。自分がサイコパスでないことはもちろん知っているけれど。かといって社会的に歓迎されるような性格でもない。何をしても、何もしなくても、敬遠されてしまう。


 数を数え続けている。やめられない。気がつくとまた心の中で数えている。子供の頃からずっとだ。世界のすべてを数える。目に映るモノすべてを数える。ひとつ、ひたつ、みっつ、よっつ・・・。壁も、天井も、窓枠も、テーブルの四辺も、カーテンのひだも、コップに付く水滴も、目も眉も、鼻も、上唇も下唇も、頬も、額と頭髪の境目も、耳も、景色も、ぜんぶぜんぶ、光で区切って、パーツ分けして、ぜんぶぜんぶ、数える。上から数える。下から数えなおす。横から、斜めから、負荷が同じになるように、世界が傾かないように、何度も何度も行ったり来たり、数えなおさなくてはいけない。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、はち、きゅう、じゅう、じゅういち、じゅうに、じゅうさん・・・。世界は濃淡だ。陰影だ。光と影だ。モノは存在しない。もしも世界が真っ白い光であったなら。あるいは真っ暗闇であったなら。私は数えるのをきっとやめられる、気がする。私には色がわからない。本当にそこにあるのかわからない。突然、地面が消える。足元から崩壊して私がどこかへ落下してゆく。数えなくては。地面を。光で区切って数えなければ、地面が無いということだから。それではいけない落下してしまう。世界のすべてを数え続けなくては。光で区切ってパーツ分けして数えなくては、何も存在しないのだから。ああ、そんな目で。そんな顔で私を見る。目がひとつ、ふたつ、鼻がひとつ、上唇、下唇、左頬、右頬、上から下から、横から斜めから、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、やめられない、とまらない、カルビーかっぱえびせん、いつつ、むっつ、ななつ、はち、きゅう、じゅう、じゅういち、誰か助けて、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、上から下から下から下から上から横から、もうだめだ、爆発します、さん、に、いち・・・に、さん、よん、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう、じゅういち、じゅうに、ははは、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、じゅうろく、10の68乗、爆発します、さん、に、いち、に、さん、よん、ご、ろく、かっぱえびせん、なな、はち、きゅう、じゅう、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし・・・。


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