見出し画像

【読書日記⑥】デザインの言語化 クライアントの要望にこたえる4つのステップ(こげちゃ丸 著/Workship MAGAZINE 編/左右社)

<きっかけ>

私は仕事でパワーポイントで資料を作成することがよくあるのですが、ベースは会社のフォーマットに従っています(レイアウト/フォント/カラー等)よりデザイン的に踏み込んだ資料を作成したい、と思ったときに、どのようにアプローチするべきなのだろうと思い、ヒントをもらう気持ちで購入しました。


<目次>

STEP1:コンセプトを言葉にする
STEP2:デザインの意図を伝える
STEP3:クライアントの要望をくみとる
STEP4:チームでの仕事を円滑に進める
まとめ:いいデザインって何だろう?

※デザインの本は「悪い例」→「良い例」が交互に現れるのが多いかと思いますが、この本は現場でありそうなシチュエーションをベースにどのように考えるべきか、がしっかり言葉に落とされています。

門外漢の私でも、「ああ、こういう風に現場でやり取りは行われるんだな」とイメージが湧きましたし、一つ一つの主張に説得力がありました


<言いたいこと>

  • デザインの言語化は、デザインの意図を相手に伝えるための「手段」だけでなく、自分の発想を広げたり、チームを強くする力がある


<これいいな、と思った観点>

  • クライアントが知りたいことはただ一つ。「自分が依頼した内容をこの人はどう解釈したんだろう?」そのために著者は、クライアントが依頼時に使った言葉をなるべく使うようにしている。そうすることで共通言語で議論ができる

  • はやり言葉は、使い方によってはユーザー像が曖昧になる「危険な言葉」でもある。特に「ニュー(NEW)」「ネオ(NEO)」「ネクスト(NEXT)」の3つは、ペルソナづくりのNGワード

  • センスとは「平均値」を知ること。例えば、多くの人が美しいと感じる「レイアウトの平均値」が、三分割法に代表されるレイアウトのセオリーとなる。デザイナー同士で会話するとき、「どこまでデザインを飛ばそうか?」という会話をすることがあるが、これはお互いがその分野の平均値を知っていて、セオリーを共有できているから

  • デザインを決めるうえで、絶対にしてはいけないことが多数決

  • 「色」は感性で語られる代表格。なぜなら、色はデザイナーでなくても自分の判断軸をもちやすいため。言語化で大事なことは、色に関する知識を深めること

  • デザインの言語化能力を高める一番効果的な方法は、発想段階からデザインを言語化して考えること。つまり、いきなりデザイン画を描き始めないこと

  • シンプルという言葉は、意外と相手が自分と同じイメージを持っていると思い込みやすい言語。「シンプルなデザインで」という依頼が、実はミニマルなデザインだった、ということもある

  • 最初の修正依頼が来た時が最大のチャンス。ここで言われたとおりの修正をするだけでなく、自分のアイデアを盛り込んだデザインを逆提案する。自分の狙いをきちんと言語化し、相手に伝えることが重要。

  • 著者が考える「いいデザイン」とは「相手が受け取れるデザイン

  • デザイナーにとって、スキルの幅を広げることは、表現の幅を広げることに直結する。そして、表現の幅が広がるとアイデアの幅も広がる


<類書>

  • 「センスは知識からはじまる」(著者:水野学/朝日新聞出版)

  • こちらもすっごく好きな本です。「センスがよくなりたいなら、まず普通を知れ」「センスとは知識の集約である」等、今回紹介させていただいた本と主張が大きく重なります。

  • 違いをあえていうならば、この本は知識の習得方法についても、色々踏み込んだ記載がされている、という点でしょうか。逆に、イラスト例などはほぼありません。それぞれ一長一短があると思います


<一言感想>

  • 言葉に落とすことにこだわれ、というのはコンサルに近いものを感じました。


この記事が参加している募集

読書感想文

サポートもとても嬉しいのですが、「この記事、まぁまぁ良かったよ」と思ってくださった方は「スキ」を、「とっても良かった!また新しいのを書いたら読ませてね」という天使のような方は、フォローしていただけるともっと嬉しいです!