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「毀誉褒貶」の例文

 本や映画、人との会話の中で知らない言葉に遭遇したとき、意味を調べて書き留めている。もともと知っていたけれど日常的に用いることがないために会話や執筆時に自分からは出てこない言葉も、同じくメモする。いつか口にするために、いつか書くために。勉強のために。
 しかし、いっこうに身につかない。これは覚えようという言葉を見つけてメモを開くと既に書いてあるなんてことが度々ある。理由は簡単、使わないからだ。覚えるためには使わなければならない。使わなければ「毀誉褒貶(きよほうへん)」は覚えない。

その生き物は、毀誉褒貶を気にするあまり翼と根が生えた。
愉楽と落胆を繰り返し成長と逃走を望んだ結果そうなった。
羽ばたいても飛ぶことは出来ず、風を受けて幹から折れた。
苦しそうに暴れ回る最期の姿が美しい、と写真を撮られた。
画像は加工され、色もかたちも生前とは程遠い姿になった。
百年後にそれを見た人がどう思うのか、誰にもわからない。

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