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GLOBALとグレステンと思い込みと執着

いつも「GLOBAL」というブランドの包丁を使っていて、菜切・三徳・ペティナイフの3本を愛用しています。

学生時代から今に至るまで比較的自炊が多いので、半年に一度は郵送で研ぎ直しのメンテナンスというサービスに出しています。ただその期間包丁が1本もなくて困るため、同じような価格帯の「グレステン」というブランドの三徳包丁をサブ包丁として買ってみました。

そしたらとっても使いやすい訳です。何だったら「いやこれGLOBALより切れるな!使いやすいかも!」っていうくらいに。

そこには自分の「思い込み」と「執着」そして「代替の効かない存在」というものに向き合うきっかけがありました。

「これじゃなきゃいけない」なんてない

GLOBALメンテナンス期間用にグレステンを買う前、そもそも私の中では「GLOBALが世界一使いやすい包丁だ!」と思い込んでいたので他の物を試すという発想すらありませんでした。

グレステンを買ってからも年に2回、トータルでも2週間くらいしか使用していなかったので「おお!なんだこれは!」という感動を感じるほどしっかりと使い込んでもいませんでした。

なぜならそれは本当に強い「思い込み」があったから。もちろんGLOBALはとても使いやすい包丁なのですが、グレステンも同じくらいに使いやすい包丁なのです。それなのにグレステンの使いやすさに一切気が付かなかった理由、それはまさに私自身の「包丁はGLOBAL一択!」言い換えれば「GLOBALじゃなきゃだめ!」という思い込みが故だったと思っています。

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鶏肉のガパオライス

想い出が「執着」を生んで目を曇らせる

学生時代はGLOBALのような高い包丁が買えず安いものを使っていたので、すぐに切れ味が落ちてしまってイライラすることがとても多かったのを覚えています。

だからこそ、社会人になって自分のお給料でGLOBALの三徳包丁を買った時は本当に嬉しかった!!そこからペティナイフ、菜切と1本ずつ買い足していき、どんどん手料理が楽しく快適になって行ったことをとてもよく覚えています。元々料理が好きだったので、このGLOBALたちを手に入れたことで本当に文字通り「数えきれないくらい」の料理を作ってくることができたのです。

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菜の花とホタテのバター醤油炒め

だからこそ私は「GLOBAL以外考えられない!」そう思っていた、いやそう思いたかったのだと思います。「GLOBALよりもっと使いやすい包丁があるかもしれない」そう思ってしまうことで、想い出が否定されてしまうような、想い出自体がかき消されてしまうような感覚すらあったかもしれません。

でも冷静に考えてみればGLOBAL包丁に想い出が詰まっているという事実と、だからGLOBAL以外に使いやすい包丁はないということは一切の因果関係がないのです。「5年付き合った彼氏とはたくさんの想い出があるの!」ということと「だからこの世に彼以上に顔がカッコいい人なんていないの!」ということに因果関係がないのと同じです。彼氏がどんなに素敵な人で想い出に溢れていたとしても、冷静に見ればこの世には横浜流星も岡田将生もいるのです。

でも私は「たくさんの想い出を一緒に作ってきたGLOBALこそ世界一の包丁なのだ」そう思いたかったのです。今となっては世界一の包丁だと感じたからここまで大切にしてきたのか、はたまたここまで大切にしてきたから世界一だと感じたのかは定かではありません。でも客観的に見れば、想い出が私の目を曇らせて選択肢を狭め、GLOBALに執着させたと言えると思います。

だんだんGLOBALは全く悪くないのに、女を執着させるダメ男みたいな立ち位置になってきてしまいました(笑)

全てはまやかしである

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タコライス風とスンドゥブ風

「これじゃなきゃいけない」

「これが無いと生きていけない」

「あなたがいないと死んでしまう」

こんなのは全部まやかしで、自分がそう思い込みたいだけなんだと思いました。

「これじゃなくてもどうにかなる」

「これがなくてもそれがあるから生きていける」

「あなたなんかいなくても横浜流星がいるから生きていける」

そういうことなのです。

この世の中に「取り換え可能じゃないものなんてない」「代替品に溢れているんだ」そう認めることはなんだかとても寂しくて、諸行無常、略してショムジョを感じずにはいられません。でも、だからこそ私は思うのです。

「自分にしかできない」

「自分にしか形にできない」

「自分にしか埋められない」

そんな何かを求めて、そんな存在になりたくて必死に生きてるのではないかと。

「取り換え可能じゃないものなんてない」「代替品に溢れているんだ」そう認めることが、「これじゃなきゃいけない」「これが無いと生きていけない」そんな存在になるために必要な最初の一歩の「気づき」だとは、とっても皮肉なことだと思いました。

私は今日もGLOBAL包丁と一緒に楽しく料理をしています。

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