漫画に学ぶ、新規事業での少数精鋭チームの戦い方
なべはるさんが書いていた「歴代ジャンプ漫画の悪の組織 心理的安全性ランキング」という面白い記事をなるほどなーと思って読んでました。
この記事の中で、幻影旅団というハンターハンターの敵方の組織があるんですが、これが組織として素晴らしいという部分ですごく納得感がありました。(旅団大好き)
そこでふと、「これって新規事業でも同じことが言えるな」と思ったので、今日は新規事業におけるリソース・組織の観点について漫画から学んでみようと思います。
新規事業は常に少数精鋭での戦い
新規事業を立ち上げたことのある方はご存知かもしれませんが、基本的には予算やリソースの関係上、少数精鋭での取り組みになることが多いです。
売上が立つかわからない、成功するかもわからない。そんなチャレンジに人材を大量に投資することは企業としてリスクが高いからです。
そんな中でも成功の糸口を探し、小さな可能性を必死に手繰り寄せ、その先で掴んだ成功は格別の美酒であります。
この少数精鋭の戦い方を、今日はハンターハンターの「幻影旅団」と、ナルトの「暁」をモデルに考えてみます。
「幻影旅団」に学ぶ役割と機能
まず、幻影旅団が何か知らない人の為に簡単に説明すると、ハンターハンターという漫画に出てくる敵方の集団で、高額賞金首の指名手配犯ばかりが集まった通称「クモ」と呼ばれる盗賊集団です。
13人のめちゃくちゃ強いメンバーで構成されており、団長と呼ばれるクロロを頭とし、他12人が手足として活動する超組織的な集団です。
メンバーにはそれぞれナンバーが振られており、その数字が入った蜘蛛のタトゥーを入れていることが団員の証となっています。
(HUNTER×HUNTER 冨樫義博)
この幻影旅団は、頭であるクロロが戦略や行動を決め、手足である他の団員が主に先頭に立って実行の役目を果たします。
ここで注目したいのが、「頭となるクロロはあくまで頭という役割を担っているだけで、一番偉いという訳ではない」ということ。頭として戦略を練り指示を出すことは、あくまで役割であるということ。
つまり、このチームはピラミッド型の組織ではなく、全員が並列のホラクラシー型のような組織であることです。この辺は上記のなべはるさんの記事が面白く伝えてくれてるのでそちらにお任せします。
(HUNTER×HUNTER 冨樫義博)
ではこれをどう新規事業に生かすのか。
新規事業を立ち上げるときには、「誰が意思決定を行うのか」「どのように物事を判断するのか」が重要になります。
幻影旅団は、この課題を最低限のルールを設けることで、仕組みとして解決しています。
基本的な組織としての意思決定は頭であるクロロがおこない、現場での判断ややり方は各個人に委ねられています。それぞれが自分の強みや能力を生かして、それぞれのやり方で目標達成に向かって全力を尽くす。
目的を果たすために時にはチームで協力しながら動き、時には個人の力で突き進む。その判断は頭であるクロロが決めて指示をする。ただし、メンバーも意見を出すことは認められており、自分の意見を主張することができます。
メンバー間で意見が割れた時はコイントスでどうするかを決めるという、組織によくある「みんなの意見が割れて結局何も決まらなかった」という最悪の状態を作らない仕組みも用意されています。
(HUNTER×HUNTER 冨樫義博)
更に、仕組み上は頭が死んだら別のメンバーが頭になる、という組織として「人」に依存しない状態を作り上げており、仮にメンバーが変わっても常に同じスタイルで動けるというまさに理想の組織構造。
この「役割に仕事がついている状態」と「エラーが発生した場合の対処法が明確であること」は、先の予測が難しい新規事業においてはとても重要な要素です。
そして、チームのリーダーとなる人間が「方向性を明確にする」「誰が何を判断していいのか」を決めることで、個々のメンバーが己の力を最大限に発揮しながら事業を推進できるのではないかと思います。
「暁」に学ぶ目標設定と個人能力の高さの必要性
(NARUTO -ナルト- 岸本斉史 出典 : www.amazon.co.jp)
「暁」はナルトに登場する敵方の組織で、忍びの世界でもっとも尊敬される”影”にも勝るとも劣らない実力の忍び達が、自分の里を捨て、ひとつの目的のために集まった超エリート集団です。
この暁は、「尾獣をすべて集め、禁断兵器を作って世界征服をする」ことを目的に集まった集団です。
それぞれのメンバーに漢字一文字が与えられ、その文字が入った指輪をすることがメンバーの証となっています。
よく大企業の社内新規事業などでは、寄せ集めのメンバーでチームが編成され、既存事業がこけたら困るという理由でエースクラスの社員は登用されないケースが多く見られます。しかし、実はこれは失敗する1つの要素で、この人員選定がひとつの大きなポイントであると言っても過言ではありません。
暁はそれを如実に語っています。
まず、世界征服という大きな目標を成すときには、かなり危険なことが起きたり、手練れの忍者を相手にすることも多々あるでしょう。その責務を、そこそこのレベルの忍者が集まっておこなっても恐らく何も進まないでしょう。
(NARUTO -ナルト- 岸本斉史)
そのため暁は、各里の超エリートたちを集め、10人という少数精鋭チームで目的を達成するための活動をします。そして二人一組のチームとなり、各里に散らばている尾獣を集めるという役割をチームごとで果たしていきます。
実行方法は自由、ルールは明確に「裏切ったら容赦なく殺す」というシンプルなもの。そして、暁は組織で動いてはいますが、二人一組のチーム以外は連携して動くことはありません。
これには恐らく理由が2つあり
・少人数チームの中で連携して動くほどリソースがないこと
・上記理由から、一人でも行動可能な人材を登用しているので連携の必要が無いこと
ということなのではないかと思っています。
やってることが公にできないだけに少数で動く必要があり、少数で動くためには個の能力の高さが必要ということなのでしょう。
ここでいう個の能力は「アジリティ」と「スペシャリティ」です。
アジリティとは「敏しょう性」で、不確実な要素が多い場合に的確にな判断を下し、素早い行動ができること。スペシャリティとは「際立った特徴」で、個人が判断の際に拠り所とする自身の能力や特徴を指します。
日々移り変わる状況の中で、的確な判断をしながら素早く行動できる能力は誰もが持ち合わせるものでは無いでしょう。そして、その状況に対応していく為には、自身が拠り所とする自身の能力の高さがとても重要です。
何か困ったとき「自分はこれで突破口を見出せる」という、自分が信頼する能力があることで、困難な局面を打開できます。
ということで、少数精鋭でチームを作るなら「(個人でも物事を推進する)能力が高いこと」は、目的達成に向けてとても重要なことと言えます。
(NARUTO -ナルト- 岸本斉史)
そしてもうひとつ暁のよいところは「目標と達成に向けたアクションが明確であること」です。
世界征服するという目標を立て、その為に9体の尾獣を集める、というアクションプランがある。これを一貫しています。つまり世界征服がKGI、尾獣集めがKPIとなります。
新規事業では、様々な要素によって目標や指標が変わることがあります。状況に応じて変化していくことは重要です。しかし、短期間でコロコロと目標や指標を変えてしまうとリソースが分散し、目的に進むどころか停滞してしまうケースの方が多くなります。
「why」「what」「how」でいうwhat、つまり「何をすべきなのか」が明確なほど、メンバーは動きやすく、スピードに乗りやすくなります。
whyがあり、whatが明確で、メンバーの能力が高ければhowはそれぞれがしっかりと見出していきます。
反面、能力が高いメンバーはhowに細かい茶々を入れられることを嫌います。リーダーは言いたいことも気になることも飲み込み、メンバーの能力を信じ、すべて任せるという度量の大きさも必要なのかもしれません。
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それにしても、漫画は学びの宝庫ですね。某大臣も同じことを言って漢字が読めないと叩かれていましたが、漢字が読めるか読めないかは漫画がいいコンテンツかどうかとは関係無いですもんね。
そして、漫画家の皆さんは本当に経営に重要なことをとても抑えていらっしゃる。
漫画家の先生が組織コンサルとかしたら結構うまくいくんじゃないですかね?
ちなみに私はハンターハンターならヒソカ、ナルトならカカシ先生が好きです。
それでは今日はこの辺で。
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