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顧客特定のための「観察」と「行動起こりの読み解き」

ご無沙汰しております。
最近忙しすぎてアウトプットができていませんでしたが、たまには自分の考えを整理する上でアウトプットしておこうと思います。

今回は、新規事業立ち上げを担当する人なら必ず通る、ターゲット顧客の仮説設定や顧客解像度の向上に関わる、顧客の「観察」と「行動の起こりの読み解き」について、自分なりの整理をしてみようと思います。

初期顧客・ターゲットは誰なのか

新規事業を立ち上げる時に、必ず通るのが「初期顧客・ターゲットは誰なのか問題」です。

多くの方が悩み、私自身もいつも苦戦するポイントですが、どのようにすると初期顧客の仮説を作れるのでしょうか。

いくつかの事業の取り組みにおいて、簡易な方程式があるのでは?という仮説を持ちました。そこで考えたのが下記です。これを埋めながら考えると仮説をいくつか挙げることができ、筋の良し悪しの判断ができるようになります。

「誰」×「場所・モノ」×「ニーズ・ペイン」

それぞれに要素をはめ込むと仮説ができる仕組みになっています。
わかりづらいので例題を出してみます。

例)レシピアプリの顧客像
レシピアプリの例で考えてみます。
例えば、「妊婦」×「献立」×「考えるのが大変、面倒」

妊婦は想像以上に食べられる食事や食材が限られます。例えばナチュラルチーズや生ものは食べられません。昆布も量は食べられません。
こうなってくると、妊娠前に比べて料理のレシピの幅が格段に狭まります。
いちいち食べられないものを調べながらの作業になるので、これまで普通にやっていたものより難易度が格段に上がり、とてつもなく面倒になります。

そこで、妊娠時専用のレシピアプリがあればどうだろう。
妊婦が食べられないものに考慮してレシピをまとめたサイトがあったら、妊婦やその家族はこぞって使うのではないでしょうか。
2021年の出生数は約84.3万人(人口動態統計(速報値) 厚労省)ですので、それに近い数の両親がターゲットになります。
それなりに規模はあるのではないでしょうか。

また、方程式を少し変えて「乳児」×「離乳食献立」×「考えるのが大変、面倒」にすると、同じ親が出産後も継続して利用する姿が思い浮かびます。
こんな感じで、はめ込むピースを変えながら仮説をいくつも出してみると、顧客のイメージが何となく見えてきます。

ここで大事なのは、仮説の数を出し、様々な可能性を検討することです。
経験豊富で「ここがいけるポイントだ!」と確信を持っている方は別として、多くの新規事業担当者は仮説をたくさん出した中から絞りこんだほうが視野が広がり、成功確率は高まると個人的には思ってます。

顧客の観察

ここで、「考え方はわかったけど、はめ込むピースが何かわからない!」という声がほんのり聞こえてきます。
気持ちはとてもわかります。私もよく思ってます。

そこで、私がやるのが「顧客の観察」です。
ここでいう観察は「みる」「きく」「起こりを考える」の3つをおこなうことを指します。そして、事業アイデアがあるのか、無いのかで考え方は変わってきます。

まず「みる」。
事業アイデアが既にある場合は、想定していた顧客イメージに近い対象の行動や発言、日々のルーティンや癖などを見てみます。やっていることや言っていることがどんなことか、とにかくインプットしていきます。
事業アイディアが無い場合は、自分が普段関わる人や助けたい人を対象に行ってみると、色んな気付きが出てきます。

続いて「きく」。
「みる」で見えた行動や言動、癖などに対して「なんでそんなことをしているのか」「どうしてそれが必要なのか」など、ヒアリングしてみます。さっきの妊婦のレシピアプリでいくと、妊婦がレシピをスマホのメモ機能などに保存していたので理由を聞くと、「色んなアプリからレシピをかき集めていて、1つの場所にまとめておきたいから」とのことでした。また、周囲の人にも話を聞いてみると「買い物するときに成分もチェックしているよ」など、本人からは出てこなかった情報が出てきたります。
この情報ストックが、仮説構築の上で重要な働きをすることはよくあります。

行動の起こりを読み解く

そして最後に「起こりを考える」。
ここまで「みて」「きいた」情報を踏まえ、『なぜその行動が起こっているのか』の背景を考えていきます。
色んなアプリやサイトからレシピをメモアプリにまとめ、買い物時は別のサイトを見ながら成分を確認する。この行動がなぜ起こっているのか、その起こりはどこなのか。

この場合の妊婦の行動の起こりは「お腹の胎児に影響がでないようにしたい」という胎児への思いやりと、子供が健康に生まれその子と過ごす先々の幸福な時間への追及に紐づきます。つまり、自身の健康のためというより胎児への影響と出生後の胎児と自分の幸せのために、いまあえて面倒な行動をとっている、ということになります。

ここで今まで出てこなかった「胎児」が登場し「健康に生まれ育ってほしい」というニーズが見えてきます。
また、自身の生活の質の観点でも「できるだけ美味しいものを食べたい」「毎日同じ食事じゃないようにしたい」というニーズが隠れていそうです。
これはヒアリングではなかなか出てこない潜在的なニーズだったりします。
出てくる場合「これを食べると感染して赤ちゃんが○○になる可能性があるんだって」などの妊婦の中で変換された形で言葉になります。この表面的な言葉ではなく、裏側にある感情や起こりを読み解くことがとても大事だと思っています。

これだけ背景が見えてくれば、あとはそのキーワードを方程式に色々と当てはめていくだけですし、提供すべき機能などもかなりクリアになってきます。

方程式はビジネス成立のポイントとしても活用できる

方程式で仮説を出し、ターゲットに関する情報を集め、その行動の起こりを把握することで徐々に顧客像がクリアになっていきます。
その対象に簡易的な商品やサービスをぶつけてみて検証していく方法をテストマーケと呼びます。

このテストマーケで対象のニーズが確認できると、次に確認すべきは「ビジネスとして成立するのか」というポイントです。ここでも先に検討した方程式が役立ってきます。

「妊婦」×「献立」×「考えるのが大変、面倒」の場合、
「妊婦」= 市場
「献立」= セグメント
「考えるのが大変、面倒」= ニーズ・ペイン

となります。

つまり、市場規模は妊婦の数で把握でき、献立に関わるセグメントで競合などが把握でき、どんな課題を解決することが必要なのかがわかります。
横展開するときも、「乳児」×「離乳食献立」×「考えるのが大変、面倒」のように、パーツを変えればそのまま検討できます。

さらに、各パーツをブレイクダウンすることでビジネス成立に関わる必要要素も見えてきます。

「妊婦」=市場の中の何パーセントが使ってくれればOK?一人当たりいくらの売上が必要?どのチャネルで伝えれば妊婦は興味をもつ?
「献立」=どのアプローチなら使われる?どんな機能や操作感が必要?
「考えるのが大変、面倒」=どういう状態になったら面倒じゃなくなる?

などなど。ここを抑えることができればビジネスが成り立つ、というポイントを言語化することは、新規事業の初期の段階においてとても重要です。

インタビュー時に気を付けること

新規事業を立ち上げる際、皆さん必ずユーザーインタビューをおこなうと思います。ここでも、先ほどの行動の起こりを理解するためのヒアリングが重要になります。

この行動の起こりを把握するためのポイントとして「その行動を始めたキッカケ」や「なぜその考え方をしているのか」「なぜその感情が生まれたのか」を聞き出すことです。

例えば漫画を月に100冊読む、という行動がわかったとき、理由は「漫画が好きだから」という形で言葉になるかもしれません。
しかし、漫画好きが全員毎月100冊読むわけでは無いですよね。ではなぜこの人は100冊も読むのか。
もしかしたら「周りから漫画の知識がすごい、仕事でも活用できていてすごい」と言われ、「漫画の中の情報を仕事に上手く役立てるための情報収集」として読んでいるのかもしれません。更に言えば、「周囲にすごいやつだと思われたい」という承認欲求からきていると考えられます。

基本的に人間は、「○○という満足感を得たい」ために「△△されたい」から「~~という風に思われたい」という感情を起因に行動が起こります。この起因が何かを特定することで、顧客理解は飛躍的に高まっていきます。

ただし、この情報は「なんで漫画を読むの?」と聞いてもなかなか出てきません。出てきた情報を必死に紐づけ、想像し、行動の起こりの起源を深ぼってヒアリングしていくことで、初めて重要なヒントにたどり着けるのです。

まとめ

重要だと思っていることを抜き出してみます。

  • 顧客検討の方程式は「誰」×「場所・モノ」×「ニーズ・ペイン」

  • 仮説は数を出し、様々な可能性を検討すること

  • 「顧客の観察」は「みる」「きく」「起こりを考える」の3つ

  • 「行動の裏側にある感情や起こりを読み解くこと」がとても大事

  • ここを抑えることができればビジネスが成り立つ、というポイントを言語化すること

  • インタビューで行動の起こりを把握するためには「その行動を始めたキッカケ」や「なぜその考え方をしているのか」「なぜその感情が生まれたのか」を聞き出すこと

  • 人間は「○○という満足感を得たい」ために「△△されたい」から「~~という風に思われたい」という感情を起因に行動を起こす

新規事業の初期顧客についての仮説検討で悩む人の参考になれば幸いです。
ではまた!

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