副市長になったら、やってみたい7つのこと。

掛川市で副市長の公募が話題になっています。新しい時代に変化が求められている自治体にとって、とてもおもしろい試みだと思いました。(行政や議会との調整はとっても大変そうですがw)

そうか、副市長に応募できる時代なんだと驚くとともに、副市長になったらどんなことがしたいだろうか?と考えるきっかけにもなりました。

もしも自分が副市長になったのならば、、、

政策というより、行政のシステム、仕組み、考え方でこんなことを変えてみたい。そんなアイデアをブレスト的に出してみたら7つになりました。

(まだまだアイデアで練れていないことはご容赦ください)

キーワードは「自治」

まず、基本方針として「自治」を実現するまち。これがこれからの地方自治体にとって最も大事なことだと考えています。

というのも、人口減少社会だし、税収も減っていくし、なんでもかんでも行政頼みのまちに未来はありません。

「住みたいまちは、自分たちでつくる。」極論、行政なんてなくても、市民主体でまちづくりが進めていけるのが理想であって、そのサポートをするのが行政なのではないでしょうか。

これまで市民協働が流行り言葉のように使われてきました。しかし、もはや対等の関係性による協働の時代は終わりつつあり、市民が主人公となっていく市民自治がこれからのスタンダードと私は考えています。

そんな方針を踏まえつつ、考えてみた7つの政策が下のものです。

① プロポーザル審査委員への市民参画の実現。

行政では特定の事業者に対して業務委託を行なってしまうと利益相反になってしまう可能性があるため、一定の金額以上の事業では必ずプロポーザル(公募)を行なっています。

ざっくりいえば、コンペのことで「こんな事業やるんだけど、誰か提案ありませんかー?」と一般に公募する仕組みです。

大きな規模の事業であれば、民間からの審査委員が参加することがありますが、一般的には市役所内部の管理職が審査委員を務めています。さらに、民間からの審査委員もほとんどの場合、大学教員などが頼まれてやっています。

ぼくは前々からこの仕組みがおかしいなと思っていました。なぜなら、その事業の対象者となるであろう市民が審査委員として参画していないからです。

例えば、子育て支援施設のプロポーザルなのに、審査委員は役所のおじさんばかりということはよくあります。子育て支援施設であれば、子育て世代が審査委員を務めた方が良いし、少なくとも審査委員のひとりはそうした視点を持った人が入るべきではないでしょうか。

市民が審査委員として参画するには中立性の観点で難しさがありますが、行政サービスに直結するプロポーザルに市民が参画することはとても意義があることだと考えます。

② 全職員の副業解禁、民間人材の登用。

これはもはや解禁されつつありますが、公務員であってもガンガン副業解禁していくべきだと思います。

副業のメリットはたくさんあります。優秀な人材を複数の組織でシェアしていくことができるし、違うフィールドに身を置くことは人材育成の観点からも重要です。

また、同じように副業人材として、行政のなかに雇い入れる仕組みの構築も必要だと考えます。そもそも非常勤の職員であっても副業禁止にしている場合もあって、このままでは優秀な人材が集まりにくい構造があります。

ただし副業解禁によって、勤め先の会社の利益を優先するような利益相反が起こってしまう危険性もあるため、その点は留意しなければいけません。

③ 4桁以上のお金を見直し、3桁以下のお金に投資。

千万、億万の事業はザルなのに、十万、百万の事業予算に厳しいことが多々あります。千万、億万の事業は、予算をつけてしまえばOKという感じがあって、細かいひとつひとつの項目について丁寧に検討しない印象を受けます。

例えば、新しく公共施設を立てる工事の工事費を考えるときに、億を超える事業費が計上されることが多くあります。さらには予算が膨らんで補正予算にも計上されるなんてこともあるわけですが、これらの経費は細かく吟味されているのでしょうか。

ぼくが関わる行政事業の多くは、十万円単位、大きければ百万円単位のものがほとんどですが、これらの事業であっても、各項目についてとっても細かくみられることがあります。

例えば、直近で関わっていた事業では、ワークショップで使う備品(付箋や模造紙、ペン代)なんかにもチェックが入って、数千円単位の予算が削られた経験があります。

もちろんこうした小さな事業であっても細かく管理することは大事だと思います。しかし、数千円、数万円単位のお金を削ったところで、大した金額にはならず、むしろ数千万円、数億円事業だからこそ細かくチェックすることで数百万円の新たな予算を生み出す可能性があります。

それもこれからはハード事業よりもソフト事業にお金をかける時代です。小さな事業に投資し、大きなハード事業を丁寧に吟味するのが行政の役割だと考えます。

④ 子ども・若者の市政参加の促進。

子ども・若者に投資できないまちに未来なし。これからの地方自治体にとって最も重要なのは、子ども・若者政策です。

地方都市における若者世代の人口流出は大きな課題です。シンプルに考えて、子ども・若者が住みたい/住み続けたいまちでなければ、彼らは流出していきますし、若い世代が流出してしまうまちに未来がないことは言うまでもありません。

では、どうすればよいか?どうしたら若者に選ばれるまちになるか?

それは当事者である子ども・若者に聞くのが良いですし、彼ら自身が住みたい/住み続けたいまちをつくっていくのが一番です。つまり、子ども・若者の声を市政に生かしていくことが、まちの持続可能性に関わっていくと考えます。

いわゆる子ども議会、若者議会といった取り組みも必要かもしれませんが、ひとつの事業、取り組みだけでの子ども・若者の参加は本質的に意味をなしません。重要なのは、子ども・若者の声を聞く文化をつくっていくことです。

⑤ 職員の政策形成(立案)能力の育成。

行政内部では様々な研修が実施されていますが、話を聞いてみると政策形成(立案)に関する研修はほとんどないと聞きます。(もちろん自治体によるでしょうけど)

公務員にとって事務処理能力も大切なスキルですが、地域課題が複雑化・高度化している今の社会では、地域の本質的な課題を発見し、適切な解決方法を論理的に整理、政策化できる公務員の能力開発が重要だと考えます。

政策形成(立案)に直接携わる仕事でない公務員も多いかもしれませんが、どういう流れで政策をつくるのか?政策形成において何を調べなければいけないのか?など、最低限の知識をインプットしておくことは無駄にはなりません。

むしろ論理的に政策について考えることができないことの公務員の方が問題で、設定されている地域課題と解決手法が結びついていない事業もよく見受けられます。

印象論ではなく、データベース/ファクトベースでの政策形成がより求められています。

⑥ 採用・人事評価システムの見直し。

これに手を入れるのはとてつもない難しさを感じますが、中長期的に採用・人事評価システムに手を入れていくことが必要だと考えます。

例えば、一般企業であっても年功序列による人事評価は終焉を迎えようとしています。優秀な若手がどんどん昇進していける組織体でなければ、能力の高い人材が集まることはありません。採用面からも人事評価を見直すことは重要です。

また、年功序列は、管理職を高年齢化させます。人間は年齢を重ねていくと比較的保守的になっていくことが研究でも示されており、早いスピードで社会が変化していく時代に対応しきれなくなってまう可能性があります。

これからも長く生きていく若い世代が意思決定をし、むしろベテランは若者を支えていくようになった方が未来が切り拓かれると感じるのは自分だけでしょうか。

⑦ 地区ごとに自律した地域経営の推進。

「補完性の原則」を聞いたことはあるでしょうか?できる限り小さな単位で決定や自治をし、大きな単位の団体はそれを補完する考え方です。

問題はより身近なところで解決されなければならないという考え方に基づいています。

これからのまちの未来にとって「自治」がキーワードだと書いたように、地域課題がより身近なところに予算と権限をおろし、大きな組織がそれを補っていく政策推進が良いのではないかと考えています。

というのも、何度も書いてきているように、いまの社会の地域課題は複雑さの極みです。

考えてみれば、社会がある程度豊かになったので、人々のニーズは多様化しました。多様になった市民ニーズを受け止めるには、行政のスピードでは遅すぎます。もはや市民がつくり手になるしかないと思います。

じゃあ行政はなにもしなくて良いのか?というと、そうではありません。ファシリテーターとなって、多様な市民ニーズを整理したり、コーディネーターとして民間セクター同士を繋いだりする役割も求められます。


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