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レディオヘッド 好きなアルバムランキング

所謂大手のロックバンドの中で、最も「最高傑作」を決めるのが難しいバンドは何かと問われれば、僕はレディオヘッドと即答します。

何故か?それは「同じようなアルバム」が存在しないからです。全てのアルバムで前作を踏襲しつつ全く新しい音楽ジャンルに挑戦し続けている。どれほど最高傑作を決めることが難しいか分かるでしょう。
あのビートルズですら、ラバーソウルに至るまでのアルバムの音楽性は似ていると言われたら反論できません。(もちろん彼らが当時死ぬほど忙しかったことを考えれば仕方がないのですが。)

今回はそんな彼らのアルバムのランキングをあくまで個人的な好みで書いていこうと思います。
それでは行きましょう。



9位 Pablo Honey(1993)

9位とは言っていますが、かなり大好きなアルバムです。なんてったって「Creep」が入ってますから。黒歴史的な扱いを受けていますが、当時ここまでポップにオルタナをやれていたのはめちゃくちゃ凄い。「Anyone Can Play Guitar」なんてもう、彼らのセンス抜群の隠れた名曲です。しかし「彼ららしい音楽」というものがしっかりと確立されていないのと、やっぱり「Creep」の破壊力が凄まじすぎてアルバム全体のバランスが乱れている気がします。だからこそ彼らが次作で「Creepに飲み込まれない、彼らだけの音楽性」というものを想像を遥かに超える凄まじいクオリティで提示してきたのは、もっと評価されるべき点です。

これ黒歴史なんだろうなあw



8位 The King Of Limbs(2011)

これもめちゃくちゃ好きなアルバムですが、よくも悪くも地味です。
なんというかこのアルバムって「俺達こんなことも出来るけどどう?」みたいな、肩の力を抜いた彼らの陰を感じるんですよね。徹底的に削ぎ落とされた音数によるミニマムなビートミュージックは、前作で「ポップ路線」をやり尽くした彼らによる小気味よい裏切り。しかしやはりリスナーを置いてけぼりにしないメロディセンスは健在。
収録曲は8曲、総時間は37分と潔い収録内容なのもいい。



7位 Amnesiac(2001)

僕の中で評価を上げてきているアルバム。
少し前までなら確実にこれが最下位でしたし、「一貫性がなくて、『レディオヘッドだから』で誤魔化しきれないくらい難解」と少しネガティブな評価を下していたかもしれません。
しかし何回も聴いてるうちに「あれ???めちゃくちゃいいアルバムなんじゃないか?」と手のひらを返し、以降着々と聴く回数を増やしてきています。
何より「KID B」というあだ名で呼ばれていたのが良くないですね。「KID Aのアウトテイクの寄せ集め」というイメージを本作から払拭するのはかなり時間が掛かりました。
本作の凄い所は、結構生音重視な曲が多いのにエレクトロなアルバムである前作の暗さ、攻撃性を失うどころかさらに強めている点だと思います。
特に「I Might Be Wrong」「Knives Out」の二曲の流れは、彼らの歴史において最も暗く、攻撃性に満ちた瞬間です。



6位 A Moon Shaped Pool(2016)

もっと上に置く人もいるでしょう。本作が現時点でのレディオヘッドの最後のアルバムになります。その音楽性はロックを下地にしながらドビュッシーなどのクラシックな方向に一層舵を切り、そこにヒップホップやR&B的なビートとエレクトロサウンドによるの無機質さを織り交ぜた、言うなれば「レディオヘッドが今までやろうとしていたこと全部乗せ」であり、最も「レディオヘッドらしい」アルバムと言えるのではないでしょうか。理解には時間が掛かりますが、聴けば聴くほど好きになります。

彼らは本作を発表して満足したのか、現状は実質解散のような形になっています。だからこそ「コリン、エド、フィルそっちのけでトムとジョニーだけで新しいバンドを組む」というやり方には正直悲しくなったというか・・・。レディオヘッドでやってたらもっといいアルバムになってたんじゃないの??とか思ったり思わなかったり。



5位 Hail To The Thief(2003)

「Amnesiac」よりさらに生音を意識したアルバム。何より、暗い。そろそろ明るい感じの曲来るかな??と期待したところに次々と陰鬱で暗い曲をぶち込まれ続け、ずぶずぶと底なしの暗闇に引き込まれていくような感覚に陥ります。そこが賛否を分けていますが、僕からすればめちゃくちゃ好きな雰囲気です。生音重視、とは言っていますが一度エレクトロを経験しないと作れないサウンドというか。ミニマムで無機質でも生々しさをどこか感じる得体のしれない空気感がたまらない。
何より彼らの「ギター3人編成」という特徴を楽しめる曲が揃っている印象。これが素晴らしい。「2+2=5」「Go To Sleep」「There There」の3曲が特にそれを感じられます。



4位 KID A(2000)

低いだろ、と思われるかもしれませんが僕がレディオヘッドで一番好きなのは「ギターバンド」としての側面なので、それが際立っている残りの三作よりは好き度は落ちてしまいます。
それでも、その三作が僕の中で「完全に飛び抜けてる」だけであって、本作だって聴き返した回数で言えば恐らく100回は超えてますし、「エレクトロ」というジャンルで見るなら一番好きなアルバムです。
前衛的でよく分からないというイメージがありますがそんなことは全然なく、捨て曲一切なしの妥協しない圧倒的な審美眼によって本当に想像以上に聴きやすく仕上がっており、そこのギャップが本作の一番の深みな気がします。



3位 The Bends(1995)

2枚目にして純粋にギターロックをしている最後のアルバム。とにかく言えることは彼らは技術的にも理論的にも、歌詞の世界観の成熟具合的にもファーストから異常な成長を遂げたということで、彼らの活動の歴史という視点で見るなら絶対に一番重要なアルバムです。
高校生の頃呆れ返るくらい聴き倒しました。今思うのですが当時一番聴いた曲は恐らく「Just」です。毎日一回は確実に聴いてた気がします。
僕のようなこじらせた厨二病かつ冷笑癖のある(今はないですよ、多分w)若者を掴んで離さない名盤。これからも多くの若者の厨二病を悪化させていくのでしょう。



2位 OK Computer(1997)

KID Aに至るまでの助走とも言えるロックと前衛音楽を融合させた至極の名曲を揃えた、もう実家のような安心感まで放つ最高のアルバムです。
冷静に評価するなら他の彼らのアルバムよりも攻撃的で、そのままだと鋭すぎて聴けない色んな方向性の衝動を彼らなりに徹底的に調理し、ギリギリ聴ける形にしましたみたいな感じ。
初めて聴いた感想は「正直よくわからん」でした。しかし「The Bends」にドハマリしてまだ他のアルバム聴いてないのに「俺はレディオヘッドのファンだ」と自称してしまった高校生の僕は世間的にレディオヘッドの最高傑作であると同時にロックの名盤の一つと言われるこのアルバムを自分が理解出来ないということを認めたくなかったので、それはそれは何回も何回も聴き返しました。そうしていくうちに良さが分かってきて・・・という感じです。
彼らはよく「ロックを延命させたバンド」と評されますが、本作は正しくそれ。「まだまだロックはやれる」ことを世間に示したと同時に、「時代を言い訳にするな」と多くのロックバンドを奮い立たせたであろう歴史的な傑作。



1位 In Rainbows(2007)

という訳で僕の一番好きなレディオヘッドのアルバムは「In Rainbows」でした。ここ二、三年はずっと不動ですね。聴き返した回数、好きな曲の多さ、個人的に感じる収録曲の一貫性、全てぶっちぎりな気がします。
内容は他のアルバムより確実にポップの一面が強く、ポジティブな空気感が漂っていてとても聴きやすい。それでもレディオヘッドですから、他のバンドのポップソングとは一癖も二癖も違う訳で聴き返す度に新しい発見があります。OK Computerのようなアプローチを10年経って精神的に大人になり、余裕の出来た彼らがもう一度2000年代風にやってみたと言えるかもしれません。
とにかく思うことはリアルタイムで聴きたかった。値段を買い手に決めて買わせるという前代未聞の試み、是非とも参加したかったです。




というわけで好きなレディオヘッドのアルバムランキングでした。
同じ音楽性のアルバムがないからこそ、僕の好みに合う合わないがはっきりしていて、非常に選びやすかったです。

読んでいただきありがとうございました。
それでは、よい音楽ライフを!

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