見出し画像

ここまでわかった犬たちの内なる世界〜#10 地球の救世主になったイヌたち

☻最終更新 2024年7月18日


イヌは地球を救おうとする人々の能力を飛躍的に高める超能力を持っています。
こんなことを言うと、大風呂敷を広げたように聞こえるかもしれませんが、今この瞬間、地球を俯瞰してみれば、決して言い過ぎではないのです。

たとえば、地球の絶滅危惧種のリストはますます膨らんでいますが、この状況に歯止めをかける働きをしているのが“香り探知犬”です。
 
参考画像

画像3
スパニエルタイプの中では最古の犬種の1つといわれるブリタニー・スパニエルは、フランスの
ブルターニュ地方原産のポインティング・ドッグで、嗅覚が鋭く目標物を探しあてる能力も高い

研究と保護にイヌは欠かせない

ボーダーコリーのザミーが“狩り”をしています。
ザミーは深い森の中を進み、その鼻は臭気を鋭敏に捉えます。最後に、自分の目標であるユーラシアカワウの糞の山にたどり着きます。動物の糞には、動物の栄養や生殖の状態、ホルモンが含まれています。さらに、動物がその環境でさらされた微量の毒素が含まれていることさえあります。

ドイツのヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)のアネグレート・グリム・セイファース(AnnegretGrimm-Seyfarth)は、ターゲットの希少種の痕跡を見つけるためにも、研究と保護のための貴重なデータを作成するためにも、イヌは不可欠だと言います。

アネグレート・グリム・セイファース博士の投稿記事を紹介したツイート

野生生物探知犬が見つけるのは動物の糞だけではありません。イヌたちは、生きている動物を嗅ぎ分けるようにも訓練されています

衛星画像を使用した「触らずに調べる」手法は、広大な地域のマッピングや大きな動物の検出には役立ちます。しかし、植物が密生する森や比較的小さな隠れた種については、専門家が自分で探索したり、カメラトラップを仕掛けたりすることになります。こうした手法には、限界があるので、特別に訓練された探知犬はすこぶる重宝するというのです。

セイファースらの研究チームが、60カ国以上での“香り探知犬”の活用について文書化された1220の出版物を分析したところ、イヌは400種類以上の動物種を見つけるために仕事をしてきたということです。

最もメジャーなのは哺乳類ですが、鳥や昆虫のほか、42種類の植物、26種類の菌類、6種類の細菌さえも対象になっています(これらは必ずしも絶滅危惧種ではありません)。さらには、タデやブタクサなどの侵入植物を嗅ぎ分けることもあります。

香り探知犬として働くイヌ、働かないイヌ


イヌが見つけるの動物種の多さと対象の特殊さには驚かされますが、さらに驚くべきは、イヌによる探索が他のどの方法よりもはるかに効果的だと認められた件数は、全体の約90パーセントを占めているという事実です。

たとえば、ツキノワグマ、テン、ボブキャットについては、カメラトラップと比ベて、3.7〜4.7倍の検出率だということです。イヌは植物の地下茎を発見することさえできるのです。

探知犬として働いたイヌは、FC I(国際畜犬連盟)公認犬種108種、非公認犬種20種に及ぶということですが、どんな犬種が活躍しているのか気になるところですね。

ここから先は

2,439字 / 4画像
この記事のみ ¥ 200

最後まで読んでくださりありがとうございます。 皆様からのサポートは、より良い作品をつくるためのインプットや 今後の取材活動費、あるいはイラストレーターさんへのちょっとした心づくしに使わせていただきます。