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カナダ現地企業の人事で働く自分のポジション(HRBP)の紹介と人事のキャリアパスについて

どうも、カナダの通信業界で人事をやっているDoga(@DogadogaTv)です。今日は、カナダ現地企業で働いている自分自身のポジションについて紹介したいと思います。

これは推測ですが、カナダの現地企業でデベロッパーやデザイナーをやっている日本人は多いですが、人事をやっている日本人というのはそれほど多くないのではないでしょうか。

さらに、いたとしてもほとんどその情報がブログなどで紹介されていません。実際にぼくがカナダで人事のキャリアを積んでいこうとリサーチしている際にも、そんな日本人の情報はネットに落ちていませんでした。

ということで、今回はカナダ現地企業の人事で働くぼくのポジションについてと、カナダにおける人事キャリアについて簡単に紹介したいと思います。

ぼくの組織人事(HRBP)としての業務

簡単にぼくが今やっている人事の仕事について紹介しておきます。ポジションは「Manager - HRBP(Human Resources Business Partner)」で、日本では「組織人事」とか「部門人事」という言葉で存在することが多いです。

説明がものすごく難しいんですが、HRBPの仕事を2つのカテゴリーに分けると「オペレーションマネージャー(人事マネージャー)」的な側面と「人事コンサルタント(戦略人事)」的な側面があります。

オペレーションマネージャー(人事マネージャー)

最初のカテゴリーは、いわゆる人事マネージャーとして、自分の担当している本部の「人事の顔」的な位置づけです。

社員からの問い合わせに答えたり、社員同士のトラブルを解決したり、Termination(解雇)面談の段取りや進行をしたり、担当本部の組織情報(組織名、ヘッドカウント、組織階層...etc)を管理したり、評価管理をしたり、社内の新たな人事関連ニュースをいち早く本部に共有したりと、タスクはその会社の規模、人事組織の細分化の度合いによって多岐にわたります。

一貫しているのは、担当本部のビジネスができる限りスムーズに進むよう、人事関連のオペレーションをサポートするという点です。コーポレートなどの大きな会社だと、リクルーティング部門、ペイロール部門、ベネフィット部門、組織開発部門...など人事内で細分化されていることが一般的で、ぼくたちHRBPは担当本部とそれら専門部門(Specialist)との間にいる存在(Liaison)として業務を遂行します。

HRBPがゼネラリスト(Generalist)と呼ばれるのはこれが理由です。広く、浅く、人事のことを司る存在。

人事コンサルタント(戦略人事)

もう1つのカテゴリーが、人事的な視点からビジネスにアドバイス、助言を戦略的に、能動的に提供するような側面です。

たとえば、残業がやたらと増えているチームがあったら、超勤データを分析して、そのチームのマネージャーと対策を練ったり、それらのデータを組織変更の際に考慮するようインプットしたり、新しいシフトスケジュールを導入したいというチームに、労働基準法に則りながらスムーズに導入できるよう協業したり。

また、担当本部のコンペンセーションデータ(基本給情報)やグレードを分析して、不公平(Pay Inequity)な状態が生まれていないかを把握したり、不公平な状態が存在したら、その溝を埋めていくための計画を練ったり、担当本部でInclusion & Diversity(ダイバーシティ)を推進するための新しい取り組みを打ったりと、担当本部のパフォーマンスを最大化させるための価値を提供するような「+α」な側面です。

当然ながらこれらの戦略を計画、遂行していくためには、担当本部のリーダー(VP/Director/Managerなど)との関係性が不可欠です。その人たちがこちらに腹を割ってくれないと、組織の戦略を共有してもらえません。

HRBPの本当の価値は、オペレーションマネージャーの側面よりも、むしろこの人事コンサルティング(戦略人事)の側面の方で問われるともよく言われます。と、同時に経験や能力に富んだHRBPとそうじゃないHRBPとの差は、この部分で大きく出てくるものだと思います。

カナダにおける人事のキャリアパス

カナダにおける人事のキャリアパスというのは大きく分けて以下のようになっています。むちゃくちゃざっくり。

大きく分けると「ゼネラリスト」か「スペシャリスト」か。

ゼネラリストのキャリアを積むのなら、HR AssistantやAdminから始まり、Coordinator、HR Advisor、HR Manager/HRBPへと、キャリアを縦に積んでいくのが一般的です。

人事のプロフェッショナル機関が管理している指定のテストをパスし、会員料を支払うことで登録できる、人事の資格を取る人が多いのもゼネラリスト領域です。カナダだとCHRP(Certified Human Resources Professional)がまず最初に所得すべき資格です。

「広く、浅く」のゼネラリストなので、こういった第3社機関で中立的に人事としての知識や経験を評価することで、よりその人の人事としての信頼度を高めることができるからです。また採用する側も、この資格をもっているかどうかで候補者を絞り、候補者リストの質を上げることもできますよね。ちなみに、ぼくはこちらで人事のカレッジを出ましたが、CHRPはもっていません(笑)

スペシャリストは、RecruitingやPayrollなど、各人事領域で「◯◯スペシャリスト」としてキャリアを始めます。そこからシニアレベル(Sr)やコンサルタントに上がったり、そこからさらにマネージャーレベルに上がっていくイメージです。

もちろん、縦のポジションが変わると、社内の給与グレード(責任のグレード)も変わっていきます。

日本の人事は?

日本はそもそも社員にタイトル(肩書)がないことが一般的ですよね。係長とか、課長というようにラインマネージャー的なポジションまで上がると初めてタイトルがつきます。

逆の言い方をすると、カナダだとポジションと紐付いている各これらの人事領域が、日本ではチーム(例:部や課)として存在しているので、みんな平社員というような見られ方をします。

日本では平社員は客観的にはみんな同じ見え方ですが、経験とスキルによるグレードで各社員を差異化して管理しているのが一般的だと思います。

たとえば、ぼくが日本で勤務していた会社では、新卒で入ったばかりなのにHRBPの仕事に就くことができました。もちろんそんなタイトルはないので「組織人事部 技術部門組織人事課」所属みたいな表式になります。

日本でも会社によっては「組織人事部には新卒は入れない」というルールを設けていることもあるかもしれませんが、カナダではエントリーレベルの人がいきなり組織人事(HRBP)をすることはほぼありえないことです。

ぼくは日本で新卒からいきなり組織人事部に就いていたわけですが、これはカナダだと変に見られると思います。だからぼくは英語の履歴書では、その頃の履歴に「Jr HRBP」というタイトルをつけています。

HRBPの経験が日本であるとはいえ、今こうやってカナダでHRBPをやれているのは、たまたま運がよかっただけだと思います。

ただ、実際に仕事をやれば日本とカナダのHRBPの本質に大きな違いはありません(労働基準法などを除き)ので、ぼくも問題なくやれています。もちろん経験豊富な同僚のHRBPに比べたら全然能力は劣っていると自覚していますが。

以上、カナダ企業の人事で働くぼくのポジションの紹介とざっくりとしたカナダでの人事のキャリアパスについての紹介でした。

今後もこういうニッチな情報を取り扱っていければと思うので、興味のある方はぜひフォローお願いします!

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