単なる独り言 ~犬用ケーキ・人用ケーキの違い~
以前、
「犬に人間用のケーキを与えること」は虐待だ、と言っている人を見かけました。
人用の食べ物を与える=悪
手作りご飯=栄養バランスが悪い
手作り実践組の皆様は、聞き慣れてる言われ慣れてる言葉ではないでしょうか。
私自身もいろんなところでいろんな人に言われてきました。
もちろん人が食べるものの中に、犬猫が食べると中毒を起こすものもあるのも事実ですので、それは避けます。
ただ、
人が食べるものは全て"塩分が多い"、"糖分が多い"など何かしらの理由をつけて「食べさせるのはいけないこと」とされる、場合によっては虐待扱いを受けることもある、そんな風潮には少しだけ疑問を感じます。
フードは、栄養バランスという意味では、一定の基準値を満たしてはいますが、それが必ずしも犬や猫にとって最適とは思いません。(逆に言うと、一定の基準を満たしているだけ)
これは個人的な獣医栄養学に対して確立してきた捉え方や立ち位置で、
SNS投稿など“文字”による伝え方により語弊が生じてはいけないので、ここでは理由は割愛します。
このあたりの話が聞きたい方は、無料オンラインセミナーで少し触れています。
栄養学を専門としている立場として、犬や猫に人用ケーキを「積極的に与えましょう」とはもちろん言いません。
軽はずみに「人用ケーキ食べさせても大丈夫ですよ」と言い、「大丈夫なんだ!」と思ったご家族が、
与え方を間違えて、一度にたくさん与えたりしてしまい、犬や猫が体調を崩した場合に責任を取れるのか?と問われたら責任をとれないからです。
そのためにはどうしても危険因子を取り除く話しかできません。
ケーキはあくまでもケーキです。
人間もケーキをしょっちゅう食べたり、1日に大量に食べたら体に良くありませんよね。
それってどんな食べ物にも言えることです。
ただこの微妙なニュアンスって伝わりにくく、結局は「無責任な発言」ってことになってしまうので、こういうSNSのような場では、人用ケーキ食べても大丈夫やでという話題は避けてきました。
先日、猫にケーキを盗み食いされたので、犬や猫にケーキを盗み食いされた同士ご家族がいるかもしれないので、”独り言”を言ってみようと思います。
少量なら全然大丈夫。(独り言)
そもそも
犬用ケーキって、人間用ケーキとなにかちがうのでしょうか?
今回私がケーキに使った材料を、ひとつひとつみていきましょう。
全ての食材に共通して言えるのは、食物アレルギーの場合は避けましょう。
ただこれはフードの原材料でも全く同じ事が言えるので、それぞれの食材について気を付けておきましょう、と言うに留めます。
■人用ケーキの食材①小麦粉
人間用のケーキ屋さんに並ぶケーキの多くは、スポンジ部分に小麦粉を使用しています。
小麦粉アレルギーの方用に米粉ケーキなども時々見かけます。
犬用ケーキの場合、小麦粉の代わりに米粉が使われていたりしますが、通常小麦粉も米粉も犬や猫が食べて問題になることはありません。
というか、ドッグフードキャットフードの、特にドライフードを製造する際、粒の形状を安定化させるため、一定量の炭水化物、穀物が添加されています。
小麦粉を使用しているフードもたくさん存在します。
■人用ケーキの食材②砂糖
砂糖が犬や猫にとってよくない、と言う人は多いですね。
甘いものを摂りすぎると糖尿病になると言う人がいます。
糖尿病の発症機序は肥満と関連するものなどが知られ、全く関係ないとは言いませんが、甘い物が直接糖尿病を引き起こすというのとは少し違います。
犬用ケーキでは、砂糖が使われていなかったり、控えめにしてあったり。
ただこれも与える量によって調整できる話です。
さらに、先程の項目でも述べましたが、ドライフードには一定量の炭水化物が入っています。
つまりドライフードには糖質がたくさん入っています。
糖質は、消化管内でそのままでは吸収できないので、糖類まで分解されてから体内に吸収されています。
お口から砂糖などの糖分摂るのはダメで、フードに糖質が入っていることはOKは矛盾しています。
※「炭水化物」「デンプン」「糖類」「糖質」の言葉の定義は、ググってもらった方が分かりやすいので、ご興味がある方はどうぞ。
これは、塩分の話でもしょっちゅう話していることですが、
「人用の食品だから」犬や猫の食べ物より塩っ辛いはずだ、
「人用の食品だから」犬や猫の食べ物より甘いはずだ、
には倦厭の情が起きます。
人の食べ物は塩分が多いから、犬や猫がどうにかなってしまうとご不安な方は、是非フードに入ってる塩分を、一度計算してみてください。
減塩を売りにしている、かなり低ナトリウムのフードもありますが、低ナトリウムの弊害ももちろんあるので、注意が必要ですよ。
全ては濃度と量の問題です。
なにもイカの塩辛を山程食わせろって言ってる訳ではありませんし、第一回犬のケーキ大食い大会を開催してるわけでもありません。
ただ体重換算は必ずしてくださいね。
2キロのワンコが食べる量は、60キロの人間が食べたとしたら、ざっと30倍の量食べたことになります。
やる人はいないと思いますが、小型犬にプリン1個あげるとか、完全にあげすぎです(前例あり)。
人間がプリン30個食べるくらいの量です。
■人用ケーキの材料③卵
普通に良い食材ですね。飛ばします。
■人用ケーキの材料④牛乳
今回のケーキには、私は少量の牛乳を使用しました。
使わないレシピもありますね。
犬や猫に牛乳はOK?は病院でもよく聞かれます。
ヤギミルクならOKと言われたりもしますし、犬用ミルクが売ってたり。
何が違うかと言うと、主に乳糖の含有量等に違いがあります。
牛乳に関しては、下痢する子にあえて積極的に与える必要性は特に感じません。
「飲ませてはいけない」と言うより「特段飲ませる必要性を感じない」の方が正しいです。
かといって与える物に牛乳を使っているからって「与えてはいけない!」と目くじらを立てる事も別にないです。
乳糖不耐症に関する問題で考えると、乳糖不耐症の子はもちろん量の加減に気を付ける必要があります。
ただ、それは人間も同じですよね。日本人は乳糖不耐症の割合が3人に2人とか。
世界的にも多くの人が乳糖不耐症ですが、それでも量の調整をした上で牛乳を飲んでるので、要は量の問題。
うちの子の場合、少量の牛乳で下痢をしたことはないので、これまで通り量には気を付けながら、与えてることもあるでしょう。
もう1点、乳製品は血圧を上げる作用があるので、血圧が高い子は避けた方がいいです。
■人用ケーキの材料⑤バター
犬用ケーキでは、バターは使われていなかったり、少量だったりします。
脂質が多い食材ですので、脂質制限が必要な子は避ける方がいいですね。
バターも乳製品ですので、血圧が高い子は避けましょう。
■人用ケーキの材料⑥生クリーム
人用ケーキと犬用ケーキの最大の違いとも言える生クリーム。
一見、犬や猫によくなさそうに思われる材料で、犬用ケーキでは生クリームの代わりに脱脂粉乳や無糖のヨーグルト、豆乳クリームなどが使われていることが多いです。
生クリームが避けられる理由は、大きく2点理由が考えられます。
ひとつめ、
乳糖に関して心配している方がいるかもしれません。
実は生クリームは、牛乳と比べると乳糖はすごく少ないです。
ふたつめ、
脂質が多い食材だから、上記と以下同文です。
脂質に関してここで多くは語りませんが、一言で言うと、これも「量の問題」です。
我が家は問題ない量なら与えます。
うちの子の普段の手作りご飯の脂質等も考えて、あげられる量を判断します。(フードにも当然脂質は入っています。)
ここでも結論、「全ては量の問題」なのです。
そもそもケーキって、うちはあげるとしても年に1回とかです。
なぜならそもそもそんなに高頻度にケーキを作りません。
ちなみに市販の人用ケーキは、うちの子は別の(添加物の)理由で与えることができないのです。
人用のケーキの話に戻ります。
常食させたりケーキ大食いはもちろんだめですが、体重に見合ったおやつの範囲内、適切な量なら問題ないです。
ちなみに盗み食いされたケーキの脂質は14%でした。
フードの脂質は、ものによりますが、フードより多いとは決して言えません。
低脂肪のフードよりは多いですね。
ちなみに犬や猫は脂肪の消化が人より得意とされています。肉食動物ですからね。酸化脂質は論外ですが。
とにかく1日のおやつのカロリー内であれば問題ないです、うちの子は。
これは独り言ですので、みなさんはくれぐれも真似しないようにしましょう。
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