見出し画像

TEKKON(Whole Earth Foundation)がピクトレ(Greenway Grid Global Pte.Ltd.)を提訴か -知的財産権の侵害か-

 どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

 ちょっと気になるニュースが出てましたので、今回はそれをネタに書いてみます。

 何かというと、東京電力パワーグリッド(PG)とシンガポールの会社2社が前橋市で始めた実証試験に使うゲームアプリ「ピクトレ」について、シンガポールのNPO法人であるホール・アース・ファウンデーション(WEF)が、自身が提供するゲームアプリ「TEKKON」の知的財産権を侵害されたと訴えており、WEFは東電PGなどの提訴を検討中で、前橋市は東電PGへの協力を取り下げたとするもの。

 どちらもゲームを通じて社会インフラ設備の保守などの「社会貢献」ができることを謳っており、スキマ時間を利用してポイントを獲得できることが強調されるといったコンセプトは類似しています。

 そもそも社会貢献を謳っているんだから係争するような事態になってほしくないなぁ…って浅はかに考えてしまうものの、法律的なことは全くわからないながら今回の事案についてポイントと、仮にWEF側が提訴した場合に双方がしなければならないことを整理してみようと思います。

本事案のポイント

 まずは、今回の事案についてポイントを整理してみます。

  1. 『TEKKON』ならびに『ピクトレ』は、両アプリともユーザーがスマートフォンで電柱写真を撮影し、インフラ整備につなげる社会貢献ゲーム。

  2. TEKKONは2022年以降、東南アジアなどで展開され、国内でも北陸電力・東北電力のグループや関連会社と共同で実証実験を実施。

  3. ピクトレは2024年4月にローンチされ、それと同時に4~6月の前橋市での実施を開始。

  4. WEFは、ピクトレがTEKKONのゲーム内容やアプリの動作などを酷似していると主張。

  5. 前橋市は、WEFからの訴えを受け、東電PGへの協力を取り下げ、関連する情報を削除。

  6. 東電PG担当者は、ゲーム開発会社から知的財産の侵害はないと報告を受けていると説明。

 ここまでが現時点で報道されている内容を踏まえ、それぞれの会社の情報やアプリなどをサラッとみたところでわかるもの。

 知的財産権の侵害ってのは立証が難しいみたいでして、成立するかどうかは両アプリの詳細な比較と、関連する法律の解釈によって判断される必要があるみたいです。

 WEFが提訴に踏み切った場合、裁判所での審理が必要となり、東電PGとシンガポールの会社2社は、アプリの独自性と合法性を主張する必要があります。一方、WEFは、TEKKONの知的財産権が侵害されたことを立証しなければなりません。

 ゲーム関連の訴訟といえば、サイバーエージェント傘下でゲーム大手のサイゲームスが提供する『ウマ娘 プリティーダービー』をめぐり、同業のコナミデジタルエンタテインメントが東京地方裁判所に訴訟した件が思い起こされます。

 さらに遡ると、任天堂がコロプラの提供する『白猫プロジェクト』の一部操作方法について特許権侵害の訴え(損害賠償および、同タイトルの生産、使用等の差し止め請求)に基づく請求をする訴訟もありました。こちらはコロプラが和解金を支払うことによって終結しています。

東電PGとシンガポールの会社2社がアプリの独自性と合法性を主張するために取るであろう行動

 ピクトレを提供する側として、東電PGとシンガポールの会社2社が自分たちの独自性と合法性を主張するために取るであろう行動について考えてみます。

 あくまでもネット上での知的財産権の侵害についてちょこっと調べてみた範囲ですので、過不足があるかもしれませんが大体の筋だけを見れれば…といったところでご理解ください。

アプリ開発プロセスの文書化
 まず、何よりも開発の経緯、アイデアの出所、意思決定の記録などを明確に文書化し独自の創作物であることを示す証拠を収集することになるでしょう。

 ただ、アイデアってのはどこから着想を得るのかって点においてユニークなものであることを立証することって簡単ではないでしょうが、この点おいて立証しなければならないのはTEKKON側にある点はピクトレ側からすると有利な点かもしれません。

知的財産権の確認と保護
 自社アプリに関連する特許、商標、著作権などの知的財産権を確認するはずで、何事においても知的財産権の出願や登録を行っているかどうか、その権利を保持しているのが誰なのかを明白にすることが必要になります。

 著作権や肖像権など、いろいろと権利を保持することってのは大事なことです。たとえば、何かしらのサービスを展開したいと考えているのに、そのサービスの商標を抑えられている場合には大々的に使用することができなくなりますからね。

第三者による評価の活用
 あとは、技術専門家や法律専門家に依頼し、独自性や合法性に関する客観的な評価を得ることをするはずです。必要であれば、専門家の意見書を裁判所に提出するでしょうが、技術的な専門家から意見をしてもらうにしても、ソースコードやら何やらってのを開示する必要があります。

 正直なところ、上述のゲーム関連の裁判でも同様ですが、挙動や操作方法などの細かい部分まで独自性があると主張することってのは決して容易なことではないでしょうが、それをしないことには立ち行かなくなりますので必死になることでしょうね。

TEKKONの知的財産権侵害を立証するために取るであろう行動

 さぁ、大変なのはこちら。TEKKON側は、自分たちの持つ知的財産権を侵害されていることを立証しなければいけません。どの点が侵害しているのかを明確に根拠を提示する必要があります。

知的財産権の特定と範囲の明確化

 まず、TEKKONに関連する特許、商標、著作権など、あらゆる知的財産権を特定し、各知的財産権の保護範囲を明確にし、侵害の対象となる要素を洗い出さなければいけません。

 現時点で訴訟を検討しているとのことですから、それなりに特定している可能性はありますが、係争するのなら詳細に反証できないようにガチガチに固める必要が出てきます。

侵害の具体的な内容の特定

 自社の範囲がどこまでなのかを明確にしたら、次にはピクトレがTEKKONのどの部分を侵害しているのかを具体的に特定する必要があります。機能、デザイン、ソースコード、ユーザーインターフェースなどの側面から、侵害の内容を明らかにしていき、必要に応じて第三者からの意見も取り入れていくことも必要でしょう。

証拠の収集と分析

 ピクトレのアプリ、ウェブサイト、宣伝資料などを入手し、TEKKONとの類似性を分析しなければいけませんが、ここでも専門家による技術的な分析を行い、侵害の具体的な証拠を収集しなければいけません。

 このように、TEKKON側は直ちに知的財産権の侵害が成立することを立証しなければならない立場ですが、アイデアやコンセプトの類似性だけでは、著作権侵害などの知的財産権侵害を主張することは難しいでしょう。

 TEKKONの知的財産権侵害を立証するためには、より具体的な要素(ソースコード、デザイン、ユーザーインターフェースなど)における実質的な類似性を示す必要があります。

おわりに

 両アプリとも社会貢献を目的としていたにもかかわらず、知的財産権をめぐる争いに発展してしまったことは残念です。

 たしかに、知的財産権の保護はイノベーションと創造性を促進するために重要な役割を果たしており、アプリ開発者が、自身のアイデアや労力が適切に保護されると信じることができなければ、より多くの魅力のあるサービスが生まれる可能性が狭まってしまいます。

 ただ、最終的には、両者が建設的な対話を通じて、社会貢献という共通の目的を達成するための解決策を見出すことを期待したいですよねぇ。

 ではでは。

ゑんどう(@ryosuke_endo)


#えんどうnote 、マガジンをフォローすると通知が届きます!

X(Twitter)もやってますのでフォローしてください!

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。 お読みいただき、それについてコメントつきで各SNSへ投稿していただけたら即座に反応の上でお礼を申し上げます!