「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案」の閣議決定について
どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。
我々が普段使いするアプリの使い勝手や料金には、どういった影響があるのでしょうかね。
日本国政府は、スマートフォン市場における公正な競争を促進し、消費者の利益を守ることを目的とした「スマホソフトウエア競争促進法案」を04月26日に閣議決定しました。
AppleやGoogleなどの巨大IT企業は、スマートフォン市場で優越的地位を占めています。具体的にいえば、スマートフォンにそれぞれのアプリストアを経由してインストールしたアプリ内で課金をした場合、料金の30%はAppleやGoogleへ上納されることになります。
現状、スマートフォンのOSはiOSとAndroidのほぼ二択ですから、その影響力の大きさから競争を妨げる行為を両社が取ることが懸念されてきました。
そこで今回の話。
閣議決定された本法案は規制対象となる分野を4種類(基本ソフト:OS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン)を列挙し、規制対象の企業を指定したうえで、アプリストアや決済システムで競合他社のサービスの利用を妨げることや、利用条件や取り引きで不当に差別的な取り扱いをすることなど、禁止行為をあらかじめ示したものとなっています。
これに違反した場合、売上高の最大20%(再違反の場合は30%)の課徴金を科されることとなるため、規制の実効性を担保していることが特徴です。さらに、この追徴金の水準は独占禁止法における課徴金よりも高く設定されていることから違反行為に対する強力な抑止力になると考えられます。
が。
正直なところ、一般消費者側からすると、今回の閣議決定された法案はいいものなのかどうかを判断することもできませんし、そもそも善し悪しを判断することなどできるものかどうかすらもわからない点が多いことでしょうから、その点を明るくしてみようと思い、タイピングし始めた次第です。
閣議決定された法案の概要
先述している通り、今回の閣議決定した「スマホソフトウエア競争促進法案」はスマートフォン市場における公正な競争を促進し、消費者の利益を守ることを目的としたものです。
OSと呼ばれる基本ソフト、アプリストア、ブラウザー、検索エンジンの4分野で、競争を妨げる行為を禁止行為として明確化しています。
わかりやすくいうと、他に競争相手がいない状態に陥らせやすくするような取引や条件を提示するような場合には厳しく対処することを文章として記載するんですよね。
で、違反した場合にはそういった自社に有利な条件で獲得した売上高の最大20%(再違反の場合は30%)の課徴金が企業に科されることとなり、そんな重めな懲罰を受けるなら…と企業側は即座に対応することが期待できるため、規制の実効性を担保されるようになると見られています。
法案の目的や意図
じゃー、政府は何を目的にして今回の法案を閣議決定したのか。
AppleやGoogleの他にもAmazonやMeta(Facebook)、Microsoftなどを含めてGAFAMなんて呼ばれていますが、それら巨大IT企業による競争制限的な行為を未然に防ぎ、公正な競争環境を整備することを目的としています。
競争制限的な行為って何だって話ですよね。
たとえば、AppleのiPhoneを使っている方はアプリをインストールする際に必ずApp Storeを使いますよね。
App Storeを通してインストールされたアプリは、課金の決済システムにApple社のシステムを利用することが義務付けられています。つまり、アプリ開発する人たちは、我々ユーザーが課金した場合、Apple社に手数料(課金金額の30%)を支払わなければならないんです。
いわゆるApple税と呼ばれるものがこれです。
アプリを開発する人たちからすると、手数料が取られない/手数料が低いアプリ配信ストアがあればそこでアプリを提供したいわけですが、それは現時点では現実的ではなく、選択肢を制限しされていることになります。
iPhoneにアプリをインストールする以上はApp Storeを通さなければならないってのはAppleが自分たちに有利な状況を作り続けけていることになりますから、これは競争を妨げる可能性があることになりますし、実際にそう指摘され続けています。
また、Googleといえば検索エンジンですが、この検索エンジンで何かを検索した際に表示される検索結果の表示順位を決める際に、自社のサービスを優先的に扱っているのではないかという疑念も提起されています。
これが仮に事実なのだとしたら、Googleが自社の有利な状況を生み出していることになりますから、他社のサービスが検索順位を必死に上げようと取り組んでいるのに公平ではありませんから、競争機会を損なう可能性があります。
このように、GAFAMを代表とする巨大IT企業が、自社のプラットフォームや決済システムの利用を義務付けたり、自社サービスを不当に優遇したりすることで、他社の参入を妨げ、競争を制限しているのではないかと懸念されており、これを是正するために今回の「スマホソフトウエア競争促進法案」が閣議決定される運びになったというわけです。
一般消費者が得られる便益や利点
次に、この法案がきちんと整備された場合、どんな我々一般消費者にとってどんな"いいこと"があるのかを見ていきます。
まず、各種アプリを開発する人たちが自由で公平な条件でアプリを提供できる環境が整備されます。
「え?それって我々にはいいことなの?」なんて疑問を抱く人もいるでしょうが、開発をする人たちが自由で公平な条件でアプリを提供できるってことは、それだけ我々はより充実したサービスを享受できるようになります。
具体的にしましょう。
何より、アプリやサービス価格の低下が期待できます。現状、上述したようにAppleやGoogleの公式アプリストアに陳列されているアプリは、課金した場合30%もの手数料がかかることはすでに説明した通りです。
この手数料があるからアプリの価格に上乗せされているケースは少なくありません。でも、今回の法案によって、アプリ開発者がAppleやGoogle以外の決済システムを選択できるようになれば、手数料の引き下げ競争が起こり、アプリやそのサービスの価格低下につながる可能性があります。
そういった決済の形が多様化すれば、アプリ開発者からすると多くの収益を得ることができるようになりますから、アプリの品質向上に投資しやすくなります。 技術への投資がしやすくなるってことですね。
技術への投資がしやすくなるってことは、これまでよりも綺麗なグラフィックのゲームを楽しめたりするかもしれませんし、まったく新しい機能を持つ新しいSNSアプリが登場するかもしれません。つまり、競争が起こりやすくなることによる技術進歩が期待できることになります。
逆説的ですが、技術の進歩が期待できるようになるってことは、競争が促進されているってことですから、同じ種類のアプリだとしても多くの選択肢が用意されるようになりますから、ユーザーは自分に合ったアプリを多くの選択肢の名から選べるようになります。
なんて具合に、一般消費者からすると悪い方向にはいかない形で物事が進んでいくことが期待できますので、今回の閣議決定された法案は期待していいんじゃないでしょうか。
おわりに
もちろん、法整備されるってことは規制を増やすってことですから、一部のサービスや機能が制限される可能性はあるでしょうし、同じアプリが複数のアプリストアに並ぶことになりますから、「どこで選べばいいの…」なんて戸惑いも出てくることも考えられます。
自由で公平な競争が可能になるはずなのに、そういった整備された法律に対応するためのコストがアプリやサービスへの課金価格に反映される可能性だってあります。
でも、長期的には今よりもずっと利用する側にとって有益な状況になっていくことが期待できますから、そんなに気にすることはないのではないかってのが、ぼくの結論です。
ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)
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