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【読書感想】凡人のための地域再生入門

そもそも地方創生って誰のため?

以前、かずおたさんこと太田さんとオンラインで議論を交わし、その後もスポーツイベント野郎の佐藤さん12/14のイベントに登壇してくれる五勝出拳一さんとも議論をさせてもらった地方創生。

かずおたさんとの内容はある程度、まとめた上で記事にしてましたので貼り付けておきます。

そんな時に地方創生における当事者中の当事者である木下さんの新著が11/15に発売され、さっそく太田さんが読んだっていうもんだから読んでしまいました。

地方創生、という言葉の響きはとてもカッコいい四文字熟語だな、といったところ。

それが上手くいったら、日本自体が失われた20年や30年といった時を乗り越えることに繋がるのかもしれない。

けど、国が声がけをする中で見えてきているのは、国が「魅力的な事業にはお金をあげる(補助金)から、各地方自治体は魅力を活かす事業プラン作ってね」に対して各自治体が反応することだけ。

さらにKPI(重要業績評価指標)を設けらように言われるので設定します。もちろん、その設定すること自体が悪いとはいいません。

しかし、単年度ごとにKPIを設定したところで、持続可能的な事業を創造したかどうかは分かりません。

各自治体は、事業計画書等をはじめとした書類を多く用意し、可能な限り失敗しないように取り組みますが、そもそも失敗を前提にしない事業創造というのもおかしな話です。

本書内でも補助金関連で上記のような疑問にぶつかりながら、主人公が右往左往する様が描かれているのですが、あまりにも目に浮かびやすい情景だったので感情移入が止まりませんでした。

予算を消化するために計画して、使い切ることが正解なお金の使い方をしていて、なにが事業創造か。そして、誰のための地方創生なのか、がわからなくなります。

東京と地方の格差

東京のようなキラキラした土地に住んだことも働いたこともない完全な新潟ネイティブな僕ですが、幸いなことにいろんな地域に行く機会には恵まれてました。

そして、もっと幸いなことにネットの世界が大好きで、SNSなんかをはじめとしたいろんなサービスがローンチされる度に即座に反応します。

ちょっと小さな自慢なのが、終結宣言が出されてしまったGoogle+はβ版のテストユーザーでもありました。

何が言いたいのかというと、そういうことが好きだったから、日本の中でキャッチアップしてる人たちと繋がれたし、繋がってこれたんですね。

そこで行なっていたのは、新潟という土地に考えを縛られてしまわないようにすることであり、単一の捉え方をしないように注意すること。

土地、という言い方は適切ではないですね。その土地に住む人たちのみに通用する考え方、とでもいいましょう。

矮小な考え方になってしまわないように、常に広く認識を持ち続けようということでした。

ただ、ここまでインターネットが普及してきた中で、その情報の差というのはどこまであるのか…ということは常に考えておかないといけないのかもしれません。

生活をする、という意味やコミュニケーションを取る、という意味での情報といえば、東京にいようが新潟にいようが関係ありません。

しかし、“機会に直結するような情報”となると話は別な気がしています。

“動かすこと前提にしている人たち”と、“動かさずに情報を得ることだけに満足する人たち”との間に、同じ情報があったとしてどちらが有効になりそうかは判断がつけやすいかと。

都会と田舎の差は、この動かそうとする人の割合が多いのか少ないのかの違いなんだろうな、と僕は思っていて、結果的にそれが機械の格差につながっていくんだろうな、とも。

ただ、本文中でもあるように、都会だろうが田舎だろうが抱えている問題は“同じ日本”である以上、そう大きくは変わらないものです。

スポーツも同じ

スポーツにも補助金との関係では即座に思いつくものがありまして、国体問題といえばピンとくる人も少なくないかも知れませんね。

日本は国民体育大会を日本全国で毎年行なっています。47都道府県で年に一回なので、オリンピック・パラリンピックが12回ほど回転する周期で地元に国体が来るわけです。

その開催地には補助金が出され、数多の施設が作られましたが、立派な施設を作る割にはその後の運営のことなど到底考えられていないのは当然のような状態。

最大公約数、というのは数学で関係する約数の中で最も大きな数字のことを指しますが、スポーツで最大公約数を叶えようとすると、いまの体育館や競技場が出来上がってきました。

何でもかんでも盛り込もうとしてしまった結果、特になんでもない施設になってしまった、ということです。

結果、維持管理費がかさみ続け、酷いところでは赤字垂れ流し…のような状態に。

補助金に依存してしまうと、毎年の予算を獲得すること、そして、それを如何に消化するのか、という事業の本質とは掛け離れたことを考えら必要があります。

そもそも事業の主体は顧客であり、補助金は顧客目線などとは程遠い世界に入り込むことになります。

その辺りも本書内で如実に描かれているため、いろんな業界の人が読んでもらうことで、動けるようになることも多いのではないか、と思います。

いい本でした。


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