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「在宅」で働き続けられるのか、「出社」へ回帰していくのか。

どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

2024年5月23日、イトーキ株式会社が全国の正社員・経営者約5,000人を対象に働き方・オフィス環境に対する意識と満足度向上要因をまとめた「働き方とオフィス2024」を公開しました。

内容としては、リモートワークは徐々に減少傾向にあり、毎日出社する必要があるとする企業が8割以上だったといい、オフィス回帰の流れが明らかになっていることを示しています。

一方、コロナ5類への移行(2023年5月)後、1日以上のリモートワークをしている人の割合は全体の26.7%、2024年は19.9%と6.8%ほど減少しており、コロナ禍以降でオフィスワークをする人たちが働く場所を自由に選べるようになったこととはいえ、オフィスへの出社する流れに戻りつつあります。

特に、オフィス環境に満足をしている人たちと、そうではない(満足していない)人たちと比較して、2倍以上が出社に対して前向きで、そういった人たちは会社に対するエンゲージメントも高いそう。

ところがどっこい、日経の記事を見てみると、改正育児・介護休業法により3歳未満の子を持つ従業員へテレワークの提供が努力義務になり、従業員側は仕事と子育てや介護などの家族との生活の両立に役立つと評価。

それだけでなく、従業員側は7割以上が3歳以降の子どもがいる場合もテレワークを希望しており、法改正とニーズの間にはギャップがあると紹介しています。

オフィスワークをする人たちにとって、在宅で勤務できるのかどうかは大きな分水嶺でしょう。何せ、通勤時間が無駄ですからね。その時間を業務に当てることができるのであれば、やりたいのが正直なところ。

果たして、出社したくない族は、このまま在宅での勤務を維持できるのでしょうか。


オフィス回帰することの利点

まず、オフィスでの対面コミュニケーションは、アイデアの交換や問題解決を促進することが期待できますよね。

ちょっとした相談ごとなどから、業務があっという間に進捗する経験をしたことがある人も少なくないでしょう。

また、従業員に向けて貸与する端末のスペックが高いのであれば、オフィスに出向くことを希望したくなる人もいるはずで、イトーキのオフィス環境が整っているのであれば…とする調査結果にも納得です。

「PCのスペックなんて気にするな」などと、起動するまでに5分以上もかかるような端末や、何かしらのアプリケーションを開こうとすると20分もフリーズする端末を貸与されている企業の従業員は気の毒としか言いようがありません。

在宅で仕事をしたくなるような人たちは、自分が仕事をするための道具に対するこだわりをもっていますから、業務が円滑になるための道具を買い揃えていたりします。

それなりに大きめなディスプレイを用意したり、オンラインミーティング用にマイクを用意したりします。PCのスペックが低く、メモリが4GBなんて端末は稀有でしょうが、そんなものは使用しません。

それらを満たしてくれるオフィス環境なのであれば、自宅よりも生産性が高くなるでしょうから必然的にオフィスに向かいたくなるでしょうね。

それ以外にも、オフィスでの交流が社員のメンタルヘルスにも影響を与える点は無視できません。在宅で仕事をするってのは、孤独と向き合うことでもあります。

ぼくみたいに人と接することが苦手な人間は、そんなに気にすることもありませんが、常に人と接することで元気を得ていたような人はリモートワークの長期化によって、孤独感や疎外感を感じてしまいます。

さらに、オフィスでの対面コミュニケーションは、暗黙知の共有や組織学習に貢献することをたまに耳にしますが、言語化されにくい知識や経験、なんというか阿吽の呼吸みたいな物を生み出すのはオフィスでの出社している人たちだからこそ体現できるものだといえます。

あとは単純接触効果で、毎日、物理的に顔を合わせるような人たちとは信頼関係が構築しやすいってのも影響するんでしょうね。もちろん、嫌いな人とも接する必要があることを考えると、どちらがいいのか…といったところですが。

テレワークにおける利点

次はテレワークやリモートワークといった在宅での勤務について。

何より、テレワークが適切に実施されれば生産性の向上につながることはいうまでもないでしょう。スタンフォード大学の実験では、テレワークによって生産性が13%向上したことが示されており(Bloom et al., 2015)、みなさん御存知の通り、通勤時間の削減や柔軟にスケジュールを管理できるようになったことで、従業員はより集中して業務に取り組むことができるようになりました。

テレワークなどの在宅での勤務が実現することによって、育児や介護との両立、趣味や享楽の時間を確保しやすくなるなど、私生活との調和が図りやすくなりました。

実際、我が家では不登校となった長男くんに向き合うためにはどうしたって在宅での勤務などが不可欠でしたし、それがあったからこそ、今では登校できるようになったのだと自負しています。

あとは、地域に縛られることなく人材を登用できる点も魅力になります。地理的制約を超えて多様な人材の活用を可能とすることは、育児・介護中の社員、地方在住の人材、障がい者など、オフィスワークが難しい人々の就労機会を拡大が期待できます。

企業側からしても、テレワークなどの在宅勤務で生産性が担保されるのであれば、オフィススペースや通勤手当などのコスト削減にも効果があり、社員側も、通勤費や食費の節約につながるため、Win-Winじゃないですか。

落とし所は…

双方に利点があることはわかりましたし、こんなこと、改めて書かなくても生成系AIに聞けば出してくれるような答えでしょう。

それでも、この論争が勃発するようになって4年にもなるのに、未だに議論の終りが見えないのは、業務の特性や従業員特性を踏まえて業務分掌がつくられていないのではないかと勘ぐりたくなります。

それは人手不足と叫ばれるようになっていることと構造は一緒な気がするんですよね。

人手が足りないのは企業の人員規模に対して業務量が多くありすぎることが要因で起こることですが、業務特性に応じて、オフィスとリモートの割合を最適化することが重要なはず。

ここで「出社してる人達がいるんだから」と変な平等精神を持ち出し、在宅で勤務する人たちはズルいみたいな認識を経営判断として考慮すべきではないでしょう。

それに、業務内容を把握し、内容を外部人材のアウトソースすることができれば複業なり何なりで人員の確保をすることだって可能なはず。いつまでもハローワークと、ちょっとした媒体費を出して求人媒体に掲載するだけでは人員確保なんてできなくなってるんです。

あとは、自社に属する従業員の特性や嗜好に応じて、働き方の選択肢を提供することも重要なんでしょうね。それは従業員に阿るとか顔色をうかがうとかって問題ではありません。

ぼくみたいなコミュ障が会社に出社していくことで生産性がどれだけ下がると思ってるんですか。そういった個人特性も理解したうえで、柔軟に働き方を提供できればいいわけで、そんなことも考慮しなければ、今後、ますます人材の登用なんてできなくなるでしょう。

会社と個人は「対等な契約関係」にあるはずで、会社が「雇ってやってる」わけでもなければ従業員側も「雇ってもらってる」なんて忖度をしている場合ではありません。

相互に納得の行く生産性の高め方を模索すること。それ以上でもそれ以下でもありません。

何より、やってみないとわかりません。それぞれの企業にとっての最適解は、当然ながら企業や部門によって異なります。まずは試してみたらいいじゃないですか。

おわりに

…と、こんな話を、とある企業の人事部門統括の方とお話をさせていただいたのですが、「わかるんですけど…」と苦い顔をされていたのが印象的でした。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)


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