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働き方が柔軟になっているのか。企業が雇用できなくなってきているのか。

はじめに

はじめましての方から頻繁に起こしいただく方まで、ようこそ。

どうも、ゑんどう @ryosuke_endo です。

タイトルのままなのだが、最近は副業に複業、テレワーク・リモートワークなんてことが掛け合わせで声高に喧伝されている機会を多く目にするようになってきた。

一見すると個人が「自由な働き方」だとか「柔軟な働き方」を勝ち得たような風潮や雰囲気が生まれていて、そんな空気感が蔓延してきたような気もする。果たして本当にそうなのだろうか。

どうも、ぼくは企業側が雇用できなくなってきているからなのではないかと思えて仕方がないのだが、そんな話をしてみたいので、つらつらと書いていく。

労働市場はマッチングができない企業ばかりになってきた

厚生労働省が 「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージなるものを策定し、これからも多様な働き方と賃金の上昇を目指していくことが発表された。

出典)厚生労働省「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージより

この背景にあるのはどんな課題感なのだろう。

話は変わるが、最近、総務省統計局の運営する統計ダッシュボードを眺める機会が増えた。

国単位での統計を視覚的に確認できるサイトであるうえに、変数を自分で置き換えることができ、リアルタイムに表示が変わるのでイジりながら見ているとたのしい。

https://dashboard.e-stat.go.jp/

たとえば、人口ピラミッドを表示させようとすると、グラフの下にバーが表示されているのだが、これを左右に動かすだけで年代を切り替えることが出来る。

出典)総務省「統計ダッシュボード」内「人口ピラミッド(1985年)」より

これはぼくが生まれた1985年だが、以下、10年ごとに年代をズラしてスクリーンショットを撮っている。

出典)総務省「統計ダッシュボード」内「人口ピラミッド(1995年)」より
出典)総務省「統計ダッシュボード」内「人口ピラミッド(2005年)」より
出典)総務省「統計ダッシュボード」内「人口ピラミッド(2015年)」より
出典)総務省「統計ダッシュボード」内「人口ピラミッド(2025年)」より

2025年にもなると、ぼくは40歳から45歳の中年枠に突入するわけだが、ぼくよりも下の年代はドンドンとか細くなっていく。

新卒一括採用や新卒の求職者にこだわりを持っている事業者となると、益々、人材の確保が難しくなっていくのが視覚的にわかるし、社会保障負担が若い世代になればなるほどに大きくなっていくのであろうこともわかる。

同じく統計ダッシュボード内には有効求人倍率が年ごと、半期ごと、四半期ごと、月ごとといった形式を変更しながら確認することが出来るのだが、2022年9月期は1.34倍で、求職者1名に対して1.34件の求人があることになる。

出典)総務省「統計ダッシュボード」内「有効求人倍率(7-9月期)」より

すでにはじまっていることだが、業界の中には人材を確保しやすい業界としづらい業界があり、人がたくさんいた時代にも確保しづらかった業界(たとえば3Kと呼ばれるような選ばれづらい労働環境の就労場所)は苦境中の苦境に立たされており、余程の変革(条件が良くなるなどが)ない限りは今後も持続して人材確保が困難なままだろう。

求人件数が求職者よりも多いのは、求職者側からすると選び放題な気もするが、実際には業界や職種によって偏りが生まれており、事業者によって損得が別れているだろうし、個人でも同様だろうことが伺える

要はマッチングが下手な事業者と上手に立ち回る事業者との差が如実に出てきているのであって、立ち回りが下手な事業者は淘汰されていく。

世の中は適者生存なのだから仕方ない。

増える多様な働き方と、それを希望する求職者。

また、最近はインターネットが普及したことと、回線速度が高速化している前提と、コロナ禍によって急速な引きこもりを生み出すような情勢もあり、テレワーク・リモートワークの実施者は増加傾向である。

厚生労働省の調査結果をみると、就業型・自営型を問わず、3割弱にまで伸びており、今後も漸増を繰り返していくのであろうことは想像に難くない。

出典)厚生労働省「令和3年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)」より

Google Trendsで「副業」を入れてみると、過去5年間で人気度が滑らかに引き上がっていることがわかる。

「副業 マッチングサイト」などと検索してみれば、複業系マッチングサイト54選!」のようなタイトルが出てきたりもして、どうやら世間的には副業がトレンドとして確立していることは間違いなさそうである。

しかし、54選なんて、まったく選別・選抜されているとは思えない数字なのだが、なぜにこのようなタイトルで記事が生成されるのかはハッキリいって意味がわからない。

ネット上にゴミが生成されていくことは誰にとって幸福なことなのかを、こんなゴミのようなnoteを書くことによって溜飲を下げようとしているぼくもたいがいだ。

話を戻すが、副業(複業含む)がトレンドになっているということは、身銭を稼ぐこと以外にも理由があるのは間違いなさそうである。

おそらく収入が増えないことが大きな要因ではないか。

最低賃金を引き上げることは毎年行われているが、平均賃金は上がる気配がない。以下、西日本新聞の作成したグラフが見やすかったのでリンクを貼っておくが、気持ちがいいぐらいに横ばいである。

長らく働いたところで収入が引き上がる様子もない。さらには人口動態によって実質的に税金として徴収されている社会保険の負担額は増すばかりで、手取り収入など増えるわけもない。

そんな状況はこれからも変わることはないだろうが、個人での収入自体はどうにかして増やしていきたいと考えると、可処分時間を他の仕事に当てようとするのは必然的な動きだと見ることも出来る。

いわゆる「柔軟な働き方」ができるようになってきているような風潮にみえる景色も、ここまでの統計データなどを見てきたところから察するに「個人が自由な働き方」を勝ち得たのかどうかは極めて怪しい。

むしろ、「企業が雇用できなくなってきている」のではないか、というのがぼくの見立てはあながち間違っていないのではないか。

おわりに

結局、これからは企業が人を雇用できなくなっていく代わりに業務委託等で仕事を割り振るようになっていき、切りたいと思ったタイミングで切れるような状態を構築していくのだろう。

同時に、就労者側も就労者側で、業務委託なのであれば他にも収入を確保するための対策を講じながらの契約を結んでいるだろうことから、大して収入的にも心理的にも損害は大きくならないのかもしれない。

管理系の業務を従業員が行い、それ以外の渉外部門をはじめとした切り出しが可能な業務にいついては外部委託する事業者は増えていくだろう。

逆に、そうやってしか人材の確保ができない状態になっていく、いや、すでになっているのだ。

昭和の消費税もなければ社会保障費も高くはない時代に仕事をバリバリやっていた人たちのことを羨ましく思えるものの、インターネットも何もない世界線で仕事をすることは苦痛でしかないので、いまをどうにかして生きていく他にないことを実感する今日このごろである。

ではでは。

ゑんどう

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