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ユースケースで見つけるUIデザインの核心

こんにちは!UXデザイン会社ajikeが提供するUX改善サポート&UIUXデザイナー育成サービスのDods(@Dods_ajikeInc)です。

デザインの専門家が使いやすさの診断レポートを作成する「すぐレビュPro」のお申し込み時には、診断の対象となるサービスやご利用者さまの情報についておたずねしています。


前回の記事では、診断レポートを作成するデザインの専門家が「ペルソナ」からどうやってUIデザインの最適解を導き出しているのかのプロセスについて詳しくご紹介しました↓

今回の記事では、ユースケースを使用した認知的ウォークスルーでUIデザインの核心となる本質的な課題を見つけるプロセスについて詳しくご紹介します👀




ユースケースを整理する

ユースケースとは

ユースケースとは、サービスやプロダクトを使ったユーザーが実際に行う一連のアクションや手順のことです。ユーザーがどのような目的で使用し、どのような操作を行うか、そしてその結果に何が達成されるかを整理します。

詳しくはこちらの記事で解説しています↓


「誰の」ユースケースを使うのか

ユースケースを考えるときには、大きく分けて「1人のユーザーが異なる状況でどう使うか」「異なるユーザーがどう使うか」の2種類のアプローチがあります。1人のユーザー(ペルソナ)に焦点を当てることでより深くユーザーの理解ができる一方、幅広いユーザー層を考慮に入れることでより多様なニーズに対応できる柔軟性と普遍性を確保することができます。



ユースケースの活用方法

ユースケースの洗い出し

サービスやプロダクトにどんなユースケースがあるのかを洗い出すときには、複数の方法を組み合わせることが理想です。それぞれの方法で得られる情報には限りがあるため、時間やコストなどのリソース面を踏まえつつ手法を検討します。

比較的少ないリソースで実施可能な方法
間接的リサーチ
:アンケート、SNS投稿内容の分析などで洗い出す
二次的リサーチ:すでに手元にあるユーザーの声や利用データの分析、市場調査や統計データなどの公開データを活用して洗い出す

※大量の情報を集めることができますが精度や信頼性に問題がある可能性があります      

比較的多くのリソースが必要な方法
直接的リサーチ
:インタビュー など
観察的リサーチ:ユーザーテスト など

※ユーザーから利用状況やニーズなどを直接収集できますが比較的多くのリソースが必要になります


ユースケースの絞り込み

ユースケースを絞り込む際には、以下のような基準をもとにした優先度で分類し、最終的には、ユーザーのニーズとプロジェクトの目標をバランスよく満たす形でユースケースを絞り込みます。

ユーザーへの影響から絞り込む
ユーザーの基本的なニーズとどの程度一致しているか?
特定の重要なターゲット層から求められているか?
多くのユーザーから詳細かつ具体的な要望が上がっているか?

プロジェクトへの影響力から絞り込む
どれくらい緊急性が高いか?(重要だが緊急ではない・緊急だが重要ではないことを特定する)
改善の実施や新機能の実装が売上・利用者数・ユーザー滞在時間などのプロジェクトの目標にどの程度貢献するか?



認知的ウォークスルーで課題を見つける

認知的ウォークスルーとは

認知的ウォークスルーとは、ユーザーがサービスやプロダクトをどのように使用するかをシミュレーションするための手法です。ターゲットやペルソナなどの特定のユーザーになりきり、ユースケース(実際の利用シーン)でのタスクを完了するためのステップを予測・分析し、問題点や改善点を発見します。


認知的ウォークスルーのメリットとデメリット

認知的ウォークスルーは、時間やコストを削減しつつサービスやプロダクトの使いやすさを改善するのに役立つ手法ですが、評価者の経験や知識が結果に影響してしまうなどのデメリットがあります。実際のユーザーテストやインタビューと組み合わせて使用するのが理想です。

メリット
ユーザーの視点を深く理解し、より使いやすいものに設計できる
開発の初期段階でユーザビリティの課題を見つけることができる
実際のユーザーテストやインタビューの前に課題を予測することができる

デメリット
評価者の経験や知識が結果に影響するため、ユーザーの多様性を完全には捉えられない
実際のユーザーの行動や意見を完全に代替することはできないため、ユーザーテストよりも詳細なフィードバックは得られない
複雑なサービスや特殊なターゲット層では限定的な効果になってしまうため、問題を見落とす可能性がある


認知的ウォークスルーの進め方

認知的ウォークスルーでのシュミレーションは、以下のようなステップで行います。

  1. ペルソナとユースケースを用意する

  2. ユースケースに「スタート」「ゴール」「手順」を設定する

    • スタート:「検索から遷移する」「アプリを起動する」など
      どこから操作をスタートするのかを決めます

    • ゴール:「登録済みの口座への振込を完了する」など
      どの操作で完了とするかのゴールを決めます

    • 手順:「口座を選択する」「金額を入力する」など
      スタートからゴールまでの想定される手順を決めます

  3. ユースケースに則ってサービスを操作する

  4. 操作をしながら、迷った箇所・わからなかったこと・気になったことをメモする

  5. 設定した「ゴール」まで操作をしてシュミレーションを完了する

  6. メモした結果を分析する

    • 「UXピラミッド」や「ヒューリスティック10原則」「探査学習理論」等の観点を使用します



ユーザーの立場になる難しさ

プロジェクト担当者は、自分たちのサービスやプロダクトのことをよく知っているため、担当者は実際のユーザーが遭遇するかもしれない問題を見落としてしまう可能性があります。また、実際のユーザーはさまざまな背景やスキルを持っているため、ユーザーの直感や感情に基づく行動を正確に予測して完全に再現することはできません。実際の使用環境やユーザーの状態などの状況を評価に反映することも重要ですが、その複雑さを均質な評価に落とし込むのも困難な場合が多いです。

認知的ウォークスルーで評価する場合には、自分自身の視点を脇に置いて、多様なユーザーの視点を理解しようとすることが大切です。可能であれば実際のユーザーテストをあわせて実施し、見落としがちな点を補いましょう。



おわりに

ユーザーが実際に行う一連のアクションや手順を整理したユースケースを認知的ウォークスルーでシュミレーションしてみることで、サービスやプロダクトのUIデザインの核心となる本質的な課題を見つけることができます。

すぐレビュProのレポートでは、多様な業界・サービスの実績で得た知見を持つデザインの専門家が、認知的ウォークスルーで評価を行います。見落としやすいポイントやユーザーの心理状況、同様のユースケースでの成功事例を踏まえて、それぞれのサービスやプロダクトで見つかった課題を詳しく解説しています📝

サービスやプロダクトのUI改善にお悩みの方はぜひ「すぐレビュPro」をご検討ください🕊何かご不明な点などありましたらお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡くださいませ!

すくレビュProのレポートについて詳しくはこちらから↓