見出し画像

玲芳龍さんによるDavid Woodのインタビュー記事を読んで。そして。

玲芳龍さんによるDavid Woodのインタビュー記事を読みました。
TORTURE GARDEN(TG)を離脱して久しいDavidさんですが、やはりいまだにTGの大看板だった印象が強く残ります。

最初に書いておきますが、フェティッシュ界隈で何かをしたいと思っている人であればこのインタビュー記事は必読だと思います。
「むしろこれぐらいは読め。」という内容でした。

David Woodインタヴュー

TGはフランチャイズで世界展開して最も成功したアンダーグラウンドパーティーです。
日本でもTORTURE GARDEN JAPAN(TGJ)があり、その歴史は長いです。
2023年7月22日にコロナ禍明けのリブートがありました。

個人的にこのパーティー(TGJ)への印象は、参加者が選ばれるようなとにかく敷居が高くて豪華で国際的でというもので、これは正確にはある時期までのことでしたが最盛期の印象が鮮烈だったこともありこのパーティーのブランド性や世界観や格式をしっかり残したというパワーがありました。

フェティッシュをテーマにしたパーティーはたくさんあります。
しかし、自分に息づくフェティッシュとは何なのかそれをどうやって視覚的に表現し昇華させ発散させるかまでを、よく考えさせるパーティーはTG/TGJだけでした。
例えば、ラテックス(ラバー)が好きだからそれを纏う…ではなく、ラテックスを纏う意味やどのようなシーンでどのようなラテックスを纏い振る舞うのかまでを考えさせるということです。

いまはTG(UK)とフランチャイズ全体で過去のような敷居の高さは薄れ、レジェンドパーティーに属するビッグイベントにはなっていますが本質的な思想性や世界観は失われつつあるように思います。
それについてはここで言及するつもりはありません。

改めてDavidさんに話を戻します。

インタビュー記事で子供の頃、学生時代、そしてTGをスタートさせるまでに触れられていますが、身近な多くの物事に少しずつ影響され、さまざまなカルチャーやアートに触れてフェティシズムや価値観が形成されていったことが書かれています。
どこの国のどんな人達とも同じように「なんらかへの目覚め」は身近なことがきっかけだったんですね。

でも、その後が違っていて、アートへの造詣があったことからその部分を重視しています。また、様々なカルチャーを意識しながら自分らしさを追求し、その延長線上に「自分達の場所」を作るという展開になります。
こうしてTGが生まれ、今度は自分達の場所が「ビジネスの場」になり、さらにブランド・コントロールされたグローバル・フランチャイズにスケールアップしていきます。
この間も自身の中に備わる「譲れない要素や価値観」を無意味に妥協したり緩和させずに走り続けてTGの価値を維持しようと模索していたのではないかと感じました。

だからTGを離れたことは「自身の内なる声」に従ったものだったんでしょう。
新天地を求めて渡米し新たなビジネスも軌道に乗ろうという時期にコロナ禍に巻き込まれ本当に苦労されたようです。実際に当時SNSで『コレクションの骨董品を売ってなんとか凌いでいるんだ』というニュアンスの投稿を読みました。
でも、それは単に生活のためではなかったようです。
あらゆる局面で追い詰められたレジェンド・パーティー・オーガナイザーは自ら退路を断ち「自分が欲しい場所」を手に入れようと奮起し「CLUB VANITAS」をスタートさせます。

CLUB VANITASのティーザーを目にしたとき、2021年7月20日に『ローンチパーティーは9/3金曜日、キングスヘッドメンバーズクラブで』という告知を目にしたとき、さまざまなカルチャーやアートに触れてフェティシズムや価値観が形成されフェティッシュシーンでは誰もが知るDavidとなったDavidさんが、一切の妥協せずすべてを賭けたんだろう。このために苦境を乗り越えようとしたんだろうと感じました。
決して若くはない年齢で苦境の中にあって自身の哲学を尊重しこういった覚悟をしたということがなによりもすごいと思いました。

改めてですが「フェティッシュな何かをする」ではないんです。
「そのフェティッシュとは何か」が起点なんです。
さらに「芸術・文化・思想・哲学・嗜好…」のエッセンスが加わっていき昇華・発散に向かいながら表現や場所へと具象化していく気がします。
フェティッシュ界隈で何かをしたいと思っている人はこれをしっかり「わかった上で覚悟して行動してください」と感じた読後でした。


DOCTRINE – HEAVY RUBBER TOKYO –
https://heavy-rubber.tokyo


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?