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Self liner notes

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DOCTRINE作品の世界観や背景を補足するマガジン。
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記事一覧

Chrissie Seamsがレジェンドであることを再認識できた撮影

2023年4月8日。雛奈子(Hinako)さんによるアテンドで、ドイツから来日していたChrissie Seamsとの撮影をしました。 雛奈子さんは、赤坂と鶯谷でプロフェッショナル向けダンジョンタイプ※の撮影スタジオを経営しており、他にも多彩な才能を発揮している日本人フェティシストとして世界に知られたひとり。 今回は、鶯谷に新規開設したばかりのスタジオでのテストシュートも兼ねていました。 ※ダンジョン:BDSM界隈における用語で、BDSMに特化したプレイがおこなえる施設。

作品「墨彩-陰翳」の解説

2022年撮影の「墨彩-陰翳」から。 まだ寒さが残る春先に撮影したものになります。 タトゥーや刺青は、日本ではいまもアウトロー的な扱いとしてカテゴライズされています。 個人的な話をするならば、交友関係がある人々の3割ぐらいはタトゥーや刺青、身体改造をしているのでそれに対して特殊性を感じることはないのですが、おおよそ一般的にはそうではないという認識はあります。 それについて好きとか嫌いとかいう話には一切興味がないので、自分からは触れないようにしています。 純粋に絵画性やデザ

NIGHT OUT/暗い都市でサイバーパンクな外ロケ撮影

2022年も残すところあと2ヶ月。 冬になる前に屋外撮影をしておかなければ、という昨年からの持ち越し課題的な撮影をしてきました。 これはNIGHT OUTという不定期におこなっているシリーズです。 ここ数年、夏以降の天気の不安定さが外ロケ撮影に重大な影を落としている気がします。今回はまさに天候と気温とを見つつギリギリのラインで駆け込みで、モデルもアシスタントもロケ車ドライバーもすべて女性という賑やかな編成での撮影となりました。 本来はきらびやかな輝きがあるはず…でしたがエ

作品「翳りし光の巡礼」の解説

2022年撮影の「『翳りし光の巡礼』― Widow 昨日を生きるために」から。 普段はスタジオでの作品撮り中心ですが、日中の海辺での屋外ポートレート形式で実験的に撮影したものになります。 概要愛する人を、人生のそのすべてを喪った女性の、あても終わりもない旅の断片。 記憶や感覚は時間の経過とともに徐々にかたちを喪っていく。 最後にはそのかたちをとどめられなくなり脆くも崩れ去り砂粒のひとつのように世界のどこかへ舞い散ってしまう。 想い出とは、まさにこの記憶や感覚の集積である。

作品「うまれいずるもの」の解説

2021年撮影の「うまれいずるもの」から。 美しいけれど不穏な何かを感じさせるそんな作品もよいのではないか、という「そんな世界観」をどうぞ。 概要―白い繭が蠢き、柔らかな壁を突き破り、生まれ出ずるものは何か。 繭の内には暗黒の宇宙が広がる。 繭の外には光溢れる世界が広がる。 暗く淀んだ深淵で静かに生まれ出ずる日を待っていたもの。 悪意と不幸をばら撒く者か、希望をもたらす者なのか。 生まれ出ずるその瞬間まで無限の可能性を秘めている。 繭を切り裂き這い出す漆黒の蟲が光を浴びて翅

作品「For Your Pleasure」の解説

2020年撮影の「For Your Pleasure(DOCTRINE No.005)」から。 タイトルのFor Your Pleasure(あなたのよろこびのために)は、表参道に実在するブティックの店名。 現在はFYPと短縮し「NEO XRATED FYP」と呼称するようです。 概要表参道にひっそり佇む眩しいぐらいの赤色に満ちた謎のブティック。 色とりどりの衣裳や靴、アクセサリーが所狭しと並びきらびやかな世界が待っている。 店内には秘密のフェティッシュ・パーティーに足を運

作品「ANACHRONISM」の解説

2019年撮影の「ANACHRONISM(DOCTRINE No.004)」から。 ANACHRONISM(アナクロニズム)とは、意訳すると「時代錯誤」となります。アナクロと略されたりしますね。 ちょうどこの頃アンダーグラウンドシーンに若い人が増え、そんな中で漠然と浮かんだ言葉でした。 概要六本木の地下にある奇妙な客が集う謎の店。 その店はミストレスの興味を満たすためだけに営まれている、目的を持たない「異世界」のようなもの。 店内を見渡せば悪意しか持っていない女給が闊歩し

作品「G.F.」の解説

タイトルは「G.F.」。 G.F.とは何のことだろうと思うかも知れません。 とあるゲームに登場する存在とシステムを示す略称で、意味も含めそのまま取っています。 この作品では「G.F.」をテーマに制作しました。 G.F.の正体はGuardian Forceです。 ゲームが好きな人にはピンときたでしょう。 概要 主人公となる女性は荒廃した世界に生きる、なにか使命を帯びた人物です。 孤独なのかも知れないし家族がいるのかも知れませんが、寡黙にただ目的のために生きているようです。

作品「こんな夢を見た」の解説

タイトルは「こんな夢を見た」。 映画が好きな人にとっては黒澤明の晩年のオムニバス大作「夢」が元ネタだろうと気付くかも知れません。 この作品では「夢」をテーマに制作しました。 夢といっても色々ありますが、これは寝ているときに見る夢です。 ある女性が大晦日に見た夢を描いています。 概要主人公となる女性はいわゆるパーティーピープルで、世界がパンデミックに陥っていなければいつも通りパーティーを愉しんでいたはずです。 それもパーティーの中心人物として注目を浴びて輝いていたでしょう。