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作品「ANACHRONISM」の解説

2019年撮影の「ANACHRONISM(DOCTRINE No.004)」から。
ANACHRONISM(アナクロニズム)とは、意訳すると「時代錯誤」となります。アナクロと略されたりしますね。
ちょうどこの頃アンダーグラウンドシーンに若い人が増え、そんな中で漠然と浮かんだ言葉でした。

概要

六本木の地下にある奇妙な客が集う謎の店。
その店はミストレスの興味を満たすためだけに営まれている、目的を持たない「異世界」のようなもの。

なぜか庖丁を手にした女給が闊歩する店内

店内を見渡せば悪意しか持っていない女給が闊歩し、不幸を振りまく黒尽くめの占い師が居座っている。
常連は毎回酔い潰れるまで飲み続けるというポールダンサー。
それぞれが自由気ままにチグハグに交錯し、なにかがおかしいそんな場所。
そして、ミストレスはいつもよからぬことを企んでいる。

今夜も興味が満たされないミストレス
謎の占い師は不幸な予言しかしない

しかも全員、ラバリストだ!

映画ポスター風にした告知画像

なお、写真集は2020年に発行され完売しております。
再販希望が多ければ検討するかも知れません。

解説

舞台は「大人の夜遊び場」です。
夜遊びといえば冒頭でも書いた通り、2019年頃にかけてアンダーグラウンドシーンに若い層がどっと増えました。
しかし、若い世代の人達は同じグラウンドで遊ぶにしても、それまでの文化が違うのですから似て非なる存在です。
それは世代交代の始まりだったかのも知れません。

世代間のギャップというのはどのような世界でもあることです。
90年代~00年代にかけて夜遊びを覚えアンダーグラウンドシーンに身を投じていった私達はそんな世代からすると「アナクロ」に映る部分があるんじゃないでしょうか。
とはいえ、過去を振り返っていても進歩がないし意味もないので懐古主義に陥るつもりもありません。

本作では、六本木のDJバーを借り切ってアングラシーン全盛期の主役だった顔ぶれで…とりわけラバリストと呼ばれるラテックス(ラバー)ウェアを纏う属性を持った人達だけが集う「夜遊びの場」があったとしたら、をテーマに制作しました。
雰囲気としては未来的でもあり世紀末的でもあるなんだかよくわからない退廃的なもの…程度に捉えていただければ結構です。

今回は少し特殊な方法で撮影がおこなわれました。
あらかじめ設定した段取りでモデルは自由に動き回り撮影のための停止がほとんどない状況でスチル撮影をしています。
映像制作の撮影かのようにフォトグラファーはひたすらリアルタイムに生み出されるシーンを追いかけながら瞬間を切り取り続け、連続した出来事を写真に落とし込んでいくという手法です。
そのため動画的に一連の流れで構成されています。

また「未来的でもあり世紀末的でもある」にも関わってくる、得体の知れない退廃感を演出するためシネマティック・フォトグラフィーの観点からもアプローチしてみました。
古い時代のアメリカ映画や逆にNetflixが制作した映画などを参考にしてライティングやノイジーな粒状感を意識しています。
脈絡なくそれぞれにストーリーが進行し続けるシーンを繋ぐこといった、クエンティン・タランティーノが得意な手法も借りています。
まあ、写真集はどのページからでも見られるので、どこから入っていただいてもいいんですが。

この制作に携わった方の紹介

モデル

ASUKAさん/女給
AIKOさん/客
SUZUさん/謎の占い師
REIさん/ミストレス

協力

本作ではSUZUさんにガスマスク等の小道具、REIさんにロケコーディネーターとして協力いただきました。

DOCTRINE No.004


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