【発症時間が推定できる?】脳梗塞の画像所見【CT,MRI】
※2023/9/11加筆修正
脳梗塞の画像所見って,結構色々ありますよね.
CT,MRI,MRIの中でもDWIなどの様々な条件...
整理してないと混乱しませんか?
それらをまとめた表がこちら.
今回は,この内容を解説していきます.
■脳梗塞の画像所見:何を見ている?
そもそも,脳梗塞の画像所見って“何を”見て,「脳梗塞だ!」と言っているか知っていますか?
腫瘍だったら,当然,”腫瘍”を見てるんですけど,脳梗塞は,別に腫瘍が突然出現するわけじゃないですよね?
答えは,“脳実質の浮腫”です.
■脳実質の浮腫:脳梗塞で起こる組織変化
脳梗塞では,障害された組織がむくみます.
要は,“浮腫”です.
これを見て,「脳梗塞を起こしてるね」と判断するわけです.
この脳実質の浮腫にも種類が2種類あります.
i) 細胞性浮腫
細胞性浮腫は,読んで字のごとく,障害された細胞がむくむ状態です.
脳虚血初期(ATP低下→Na-Kポンプ機能不全),低酸素,薬物中毒,水中毒などで起こります.
画像の特徴は,MRIの拡散強調画像(DWI)で高信号,ADC mapで低信号, T2強調画像は不変,となります.
ii) 血管原性浮腫
血管原生浮腫は,血液脳関門(BBB)が破綻するのことが病態です.
脳虚血後期(再灌流時のフリーラジカルで血管内皮障害),外傷,炎症,高血圧脳症などで起こります.
画像の特徴は,MRIの拡散強調画像(DWI)が不変,ADC mapで高信号, T2強調画像も高信号,となります.
■脳梗塞のCT所見
CTは,脳出血の検出には有用ですが,小さい脳梗塞や早期の脳梗塞の検出には,感度の低い検査になります.
基本的には,脳梗塞を疑ったらMRIです.
そこだけは注意してください.
i) early CT sign
脳梗塞のCT所見では,脳実質の浮腫反映して,脳溝の消失,皮髄境界不鮮化がみられます.
これをearly CT signといい,名前の通り,発症早期(発症1-3時間以降)から認めますが,脳梗塞の位置やサイズによっては,見えない,もしくは極めてわかりづらいこともしばしばあるので,感度は低い(脳梗塞を否定するためには使用できない),と考えてください.
ii) fogging effect
fogging effectは,CTやMRIのT2強調画像でみられる,梗塞所見が一時的に不明瞭化する現象です.
脳梗塞発症から2-3週間後に出現し、1-2週続きます.
病態としては,浮腫減退,血管新生,種々の細胞浸潤,小出血などが考えられています.
■画像所見から発症時期を推定するための表
これらの知識をまとめたのが(最初にも出した)の以下の表.
うまくいけば,脳梗塞の発症時期を推定できます.
ポイントは
①1時間以内はDWIすら高信号にならない
発症早期は,特に臨床診断が大切.
DWIやT2強調画像が正常でも,脳梗塞の可能性があります.
むしろ,発症早期なので再灌流療法の効果がもっとも期待できます.
じゃあ,画像診断的にどうすればいいかというと…
このような発症早期でも,MRAやCTAで血流の途絶が確認できれば,(梗塞巣の確認はできませんが)脳梗塞の診断が可能です.
②T2強調画像が高信号になるのは,発症から24時間以降
上述した通り,T2強調画像が高信号なら,血管原生浮腫が起きています.
これは,発症から24時間前後が経過していることを示唆するので,残念ながらほぼ間違いなく再灌流療法は適応になりません.
慌ててt-PAを投与したりしないように注意してくださいね.
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