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#心不全

「うっ血性心不全患者さんが入院しました」利尿薬・最初の一手【基本から私見まで】

心不全は,とてもありふれた病気です.

ともすれば,非専門でない医師であっても,うっ血性心不全の症例に出会うことはよくあります.

みなさんは,うっ血性心不全の症例をみたときの初期対応,できる自信はありますか?

「うっ血性心不全」とひとえに言っても,外来で対応できる軽症のものから,補助循環を要する超重症のものまで,幅広く存在します.

私自身,そんなさまざまな心不全症例すべてで完璧に初期対応がこ

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【知っていると管理がしやすい】心拍数を診る!考える!【遅い・速いはなぜ悪い?】

心拍数(脈拍)と言えば,大事なバイタルサイン.

多くの医療者の方は,バイタルサインの1つとして心拍数(脈拍)を管理しますよね.

※この記事では,統一するために”心拍数”の話をします.
厳密には,心拍数と脈拍数は違います.
心拍数は,心臓が拍動する回数.
脈拍数は,脈を触れる回数です.
不整脈でなければ,これら2つは同じ値になります.つまり,脈拍数=心拍数です.
一方,頻脈性不整脈の時などは,脈

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【血管拡張薬が心不全治療になる理由】循環動態の基礎➂【クリニカルシナリオ分類に対する私見あり】

第1回,第2回と,「循環動態の基礎」というタイトルで,フランクスターリング曲線に絡めて循環動態を考察してきました.

今回は,後負荷,すなわち,血管抵抗に関しての解説と,それに関連してクリニカルシナリオ分類に対する私見です.

 

1.血管抵抗とは血圧,いわゆる動脈圧は,心拍出量と体血管抵抗の積です.

動脈圧= 心拍出量 × 体血管抵抗

つまり,いくら心拍出が保たれていても,血管抵抗がなけれ

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【フランクスターリングの法則】循環動態の基礎➀【心不全・補液の基本とフォレスター分類】

心臓は,全身血液を送るポンプの臓器です.

心臓は,ゴムのように伸縮する心筋のかたまりです.

心臓がポンプとして,「いかに血液を送り出せるか」は,「心筋がどの程度伸びるかに」によることがわかっています.

これを,フランクスターリングの法則と呼びます.

今回はこのフランクスターリングの法則を知ることから見えてくる,循環動態の基礎を解説します.

話が長くなるので,今日は第一部.

 

1.心

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【代償機構のブレーキ】カルペリチド(ハンプ®)について【ARNiが流行る前に】

”ハンプ®といえば心不全の薬”

”なんか,心臓とか腎臓にやさしい利尿薬”

こんなイメージですかね?

今回は,カルペリチド(ハンプ®)の話.

これから流行るかもしれないARNi(アーニィ)(ネプリライシン阻害薬とARBの複合剤)の予習にもなるかもしれません.

■前提:心不全における体液貯留カルペリチドと言えば,利尿剤.

利尿剤ということは,体液貯留が治療ターゲットですよね?

 

では

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【実用性抜群】血液ガスを計測せずにアシドーシスとアルカローシスを察知する方法【裏技】

pHを知るには,血液ガスを測定しなければなりません.

もともとオーダーしてあればいいんですけど,オーダーしてなければ採血しなおさなければならないので,手間と患者さんへの負担になってしまいますよね.

そんな時に便利な裏技のご紹介です.

血液ガスを計測せずにアシドーシスとアルカローシスを察知する方法ずばり結論は,採血のNaとClの差に注目することです.

【ポイント】
Na-Clが36から大きく

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