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【科学妄想】ロウソクの燃焼、状態の維持と再起プロセス、物体の運動、ダークマター

こんなツイートを目にした。
地上と微小重力下ではロウソクの炎に違いがある。

少し考えて漠然と対流性の違いかな?と思ったら、確かにそうらしい。
ただ具体的にどんなプロセスかまでは想像できなかったのでリンク先を見てみた。
どうやら炎の形の違いは、対流による酸素供給範囲の違いで説明できるようだ。

炎は油の酸化で生じる。その詳細な仕組みはこちらのHPがわかりやすかった。
炎が生じ続けるには酸素を供給し続ける必要がある。
これが、温度の上昇 => 空気の密度低下 => 対流 => 酸素供給 => 燃焼 =>温度の上昇 => ...という循環することで炎は燃え続けることができる。

温度の上昇が回り回って再び温度の上昇を引き起こすような過程は、再起的な(recurrent)あるいは自己再生的(self-regenerative)なプロセスと呼ばれる。
私の専門の神経科学でいえば、代表的な神経活動パターンである活動電位の伝播はまさにこの再起的プロセスである。
ちなみにこれを書いているとき私は口内炎で苦しんでいるが、そのきっかけは唇の内側を噛んでしまったことだった。それによってその部分が腫れるから余計に噛みやすくなる。これもまた再起的なプロセスだろう(早く治ってくれ)。

さて、ここまで考えたところで、「再起的なプロセスは状態の維持に必要」と言えそうだなと思いついた。もう少し言えば、「非平衡系(開放系の方が適切かもしれない)の状態の維持には再起的なプロセスが必要」と言えそうだな、と。
先の炎の維持は、再起的なプロセスで絶えず酸素(と紐を伝う油)の供給があるから成り立つ。

これに当てはまる例としては生命の維持もそうだ。ひとは飲まず食わずでは生きていけない。絶えず栄養をとり、それによってまた栄養補給のための行動・状態をとる。
また一時的な記憶の維持(ワーキングメモリ)にも再起的な神経回路活動が重要ではないかと言われている。

この仮説の適用範囲を探るべく、では物体の等速直線運動はどうだろう?と考えた。
微小重力下では物体は運動状態を維持する。慣性の法則である。
ここにもまた再起的なプロセスはあるだろうか?

考えてみたが、その再起的なプロセスはパッとは思いつかなかった。
しかし、もしかすると、物体の移動がそれに応じて物体を移動させるベクトル場を生じさせ、再びその物体の移動を引き起こすような過程があるのかもしれない。

その仕組みは例えばどうなっているだろうか?と妄想した。
相対性理論の説明で、「重力が空間を歪ませて物体の運動を生じさせる」という説明を聞いたことがあった。どこまで正確かはわからないが。
この説明から、物体の移動が空間を歪ませることで再び物体の移動を引き起こすようなプロセスがあるかも?と妄想した。

反対に、慣性の法則にはこの仮説が当てはまらない可能性も考えた。
先ほどまでに挙げた、再起的なプロセスで状態を維持する例は全て開放系である。
炎の維持や生命の維持でエネルギーが逃げるから、さらに維持するために再びエネルギーが供給されなければならない。
それに対して慣性の法則あるいは物体の運動は、開放系ではなく閉鎖系で考えるべきことなのかもしれない、と想像した。
言い換えると、物体自体の移動は他と(周囲の空間と)干渉しないプロセスなのかもしれない。もちろん他の"物体"と干渉し合うことは(少なくとも原子以上のスケールでは)自明と考えてよいだろうから、ここでいう"他の"は空間を指すのが適切だろう。

しかし十分に高い解像度で系をみたときに、閉鎖系と捉えられるものがあるだろうか?
私には想像ができない。
となると、やはり物体の運動もその実態は開放系ではないだろうか?
ひいてはそこに再起的なプロセスがあるのではないだろうか?

では何が物体の運動のエネルギー維持を担っているのか?
そこでふと「ダークマター」という言葉が頭をよぎった。
現在のAIブームで、とりあえずAIにやらせると言っておけばよい風潮のように、何かわからないものはダークマターに頼んでしまえという訳である。

ダークマターが物体の運動の維持に使われていることを裏付けるために、ダークマターのエネルギー量の変化を調べるのはどうだろうか?と考えた。
100億年前のダークマターの量と現在の量とを比較して、もしも減っているのであれば、「ダークマターが何かに消費されている」とは言えそうだ。
その何かが、物体の運動の維持かもしれない。理屈が一足飛びしたが、妄想なので許してほしい。

少しダークマターの量について調べると、むしろ100億年前はダークマターの影響が小さかったという報告がある(参考)。
これは遠方の銀河(こちらのリンクを参考にすると、400億光年ほど先の銀河だろうか)の運動をみて、外縁部の運動が内縁部よりも遅く一般の物体の運動と同様なため、ダークマターによる影響は小さそうだ、と言っているらしい。

これがそのままダークマターの絶対量の小ささと言えるかは私にはわからないが、少なくともこの報告からは「ダークマターが昔と比べて消費されている」とは言えなさそうだ。

この辺で妄想は行き詰まった。
が、なかなか楽しい時間だった。

今回仮説を立てて新たな現象を妄想したように、理論あるいは原理を組み立てるとそれまで思いつかなかった現象も演繹的に予測できる。それが原理の理解の良いところだ。

今回挙げた話にお詳しい方、ぜひぜひご意見ください。
私のtwitterはこちらです。

【まとめ】
仮説:開放系の状態の維持には再起的なプロセスが隠れているかも

具体例:
・ろうそくの炎
・生命の維持
・Working memory
・私の口内炎

興味深い例:
・微小重力下の等速直線運動(慣性の法則)
=>これが開放系で、かつ仮説も正しければ、慣性の法則の背後には再起的なプロセス(物体と空間の相互作用?)がありそう
=>ひょっとして、ダークマターが開放系における物体のエネルギー消費を補っていたりはしないか?

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