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年度末,業務改善について考えてみた.

年度末.大学の研究室にせよ,企業にせよ,3月は今年度の成果について報告が求められ,来年度の活動計画を立案しなければならない.活動計画の内容それ自体が最も大切であることは言うまでもないが,それをいかに効率よく遂行していくのかということも重要である.

起 : 会社における業務

ある特定の業務は属人的にならざるを得ない,つまり◯◯さんに聞かないと分からない.△△さんに頼まないといけない.××さんに根回ししておかないとできない...世の中あるあるだけど,それって技術伝承という観点ではどうなんでしょう.ある意味,効率的な場合の多いかもしれませんが,将来のことを考えるとリスクでもあったりする.

承 : 属人的な(ある人に依存した)業務

本当に信頼できる人あるいは忠実な部下に頼むなら,『あの件,お願いしますね』の一言で依頼業務完了!つまりめちゃくちゃ効率良い,というか非常に楽.
逆に,とってもめんどくさい人だったら,その人の顔色伺って,その人のために様々な配慮しなければならなかったりと,依頼業務を推進してもらうのに一苦労する.あれっ,同じ目的のために働いているチームメンバなのに,何これ?コミュニケーションを図るのに多大な労力を要する.本来の業務内容よりもご機嫌取りに時間がとられている...

転 : 属人的な業務への対処方法と実情

属人的な業務をよーく見てみると意外に知っているかどうかだけで,独創的で飛び抜けたセンス・能力・スキルがないとできないかというとそう言うわけではないことが多い.
属人的な業務を改善すべく,以下を実施していることが多い(が,しかし)
①情報の共有化:共有フォルダにて様々な電子ファイルを一元管理するも,ただそこに置いているだけで,今いちノウハウの共有にまで至らない.結局,その人に聞かないと分からない.
②勉強会:その知っているかどうかの重要な部分はなかなか開示されないし,ましてやノウハウに直結したスキルは伝承されない.講師側・教えてもらう側双方で勉強会のモチベーションが低いと,なかなか継続されない(単発的に開催される.数年おきに盛り上がっては立ち消える).
③ドキュメント化:本当に優秀は人は現場に引っ張りだこで,ドキュメントをまとめている時間がない.そうで無い人は,作成したとしてもとても不十分な形だけの解説書となっている.提出した書類の件数だけがカウントされ,内容の精査は二の次になっている.レビュー(内容チェック)が機能していないので,出すことが目的と化している.
④再利用:過去の資産を有効活用して,次のサービス・製品を効率よく開発したいが,うまく再利活用されているケースは非常に少ない.結局,似たようなものを色んな人が作っていたりする.つまりは,同じ失敗が繰り返される...

結 : 仕向ける

上記の①②③は全て現状における対処療法.根本的な対応になっていない.そこで,なぜ属人的な仕事のやり方をしているのかを考えてみる.

忙しいので,それができる人におだててでもやってもらった方が楽.頼まれた方は,恩が売れて,マウントが取れる(優位に立てて気分がいい).自分に頼まないと進まないという環境を作っておくと,多少我儘わがままでも左遷される心配がない.といった人の悪い面が透けて見える.

これを抜本的に改善しようとするなら,属人的な業務を解き放つように仕向ける必要がある.つまり,自分以外の人がそれをできるようにすることが最大の評価につながるようにする.

  • 業務移管資料作成公布 → 無記名フィードバック得点によるボーナスアップ

  • 自分しかできない業務を〇〇さんができるようにする → 査定アップ

  • 不特定多数の社内勉強会(ウェビナー)を開催し,講師に対する匿名査定 → 好評な講師には金一封(社外講師を呼ぶよりもよほど安い)

  • 昇進/再雇用の関係者投票

HR(人事部業務)を外注している会社が増えてきているけど,こんなことが実現できたら,より良く変わっていけるのだろうか...などと他部門の苦労も知らずに,エンジニアはたまに妄想してしまいます.(おっと,いけない.いけない.技術開発に集中しよう.)

今では,様々な情報が得られやすくなっているし,ソフト/ハードともにツールが充実してきているので,技術的に知っているか知らないかはあまり問題ではない.役職による技術情報ブロックによる部下の不平等/不利益がないように仕組みとして配慮しなければならない.

なんだかんだ言って,プロダクト開発を率いているチームリーダーのマインド以上にはサービスや製品は改善されない.だから,品質の向上を図りたいなら,適切な人材登用(スキル面だけでなく,人徳も含めて)に尽きるのではないでしょうか.

結局は,“人”なんですよね.


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