見出し画像

ユーラシア大陸20000kmの旅(日韓トンネル)国際ハイウェイプロジェクトが制作したアニメーション

大阪・関西国際博覧会(2025年4月13日~10月13日)が始まるまで2年余りとなり、空飛ぶ自動車等に関連した話題がメディアで取り上げられていますが、様々な機会を活用する旧統一教会および関連団体が、33年前に(大阪市鶴見区と守口市に跨る)鶴見緑地で開催された国際花と緑の博覧会(1990年4月1日~9月30日)のパビリオン「100年先のの~んびり村」で騒ぎを起こしていました。詳しくは(下記に引用した)当時の記事(朝日新聞)をご覧ください。

尚、当時、この問題は国会(衆議院、物価問題等に関する特別委員会、1990年4月19日)でも取り上げられました。

さて、この亜細亜技術協力会は外務省が認可した財団法人であるということでありますが、その財団法人亜細亜技術協力会というのは別名を、別名といいましょうか、いつも並行的に出てくるのですが、「日韓トンネル委員会」と書いてあるのです。その日韓トンネル委員会というのは、韓国の釜山から佐賀県の唐津に海底トンネルを掘ろうという構想でございます。それをずっと今度は朝鮮半島を北上いたしまして、南下してもいいのですけれども、そして中国大陸に及ぶという「国際ハイウェイ構想」というのがあるようでございます。だから、財団法人亜細亜技術協力会はいつも日韓トンネル委員会と一緒になっているのですが、「国際ハイウェイ構想」あるいは「日韓トンネル」というのは、建設省としては承知していらっしゃるプロジェクトなんでしょうか、お聞きしたいと思います。

さて、「100年先のの~んびり村」では『ユーラシア大陸 20,000 km の旅』が上映されていましたが、このアニメーションでは嘗て(吹替)映画やアニメやラジオのファンを魅了した城達也さん(声優)がナレーションを担当しており、往年のバリトン・ボイスが偲ばれます。


霊感商法の対策弁連が花博出展で調査要求へ 【岡山】

霊感商法の被害対策に取り組む弁護士でつくっている全国霊感商法対策弁連(代表世話人・伊藤和夫弁護士ら、約300人)が6日、岡山市で集会を開き、大阪の国際花と緑の博覧会事務局に対し、「出展パビリオンのなかに霊感商法の被害拡大につながる恐れのある催しが行われている」と調査と指導を申し入れることを決めた。

同弁連が問題にしているのは「未来指向型企業グループ」(川合善大代表)出展のパビリオン「100年先ののーんびり村」のうち、亜細亜技術協力会が協賛出展している国際ハイウェイプロジェクト・日韓トンネルのアニメーション上映。同弁連によると、このプロジェクトは、統一教会の文鮮明教主が提唱、日韓トンネル研究会の理事には霊感商法被害訴訟の相手方の会社の社長もいる、としている。

これに対し、未来指向型企業グループの川合善大代表は「亜細亜技術協力会は理事長が元駐韓大使で、信用がおけると判断し協賛出展をお願いした。抗議を受けるのは納得がいかない」という。

○ 悪意の推測にすぎぬ

統一教会広報部の話 花博の件は悪意の推測にすぎず、当教会には宣伝の意図も事実もない。実際に見た上で言うべきだ。特定の政治的目的を持った弁護士らによるマスコミを利用した意図的集会は遺憾だ。

1990.04.07 朝日新聞 東京朝刊 31頁

入村カードの書き込み中止 花博の「の~んびり村」 【大阪】

国際花と緑の博覧会(花の万博)の出展パビリオン「100年先のの~んびり村」が、「入村カード」を備え、入館者に住所、名前などを記入してもらっていることについて、花の万博協会は16日、「集めた名簿の利用や管理方法が明確でなく、悪用される恐れもある」として、中止を要請。の~んびり村側は「通信販売などの案内に使うつもりだった。悪いことではないと思っていた」としながらも、名簿集めの中止を決めた。

の~んびり村の催しについては「国際ハイウエイ構想」をテーマにしたアニメーション映画などに対し、全国霊感商法対策弁連(代表世話人・伊藤和夫弁護士)が「霊感商法の被害拡大につながる恐れがある」として、11日に花の万博協会に調査と指導を申し入れた。

1990.04.17 朝日新聞 大阪朝刊 26頁

オーナー募集を中止 花博「のーんびり村」 【大阪】

国際花と緑の博覧会(花の万博)の出展パビリオン「100年先ののーんびり村」が「優先入館が可能」と、3万円の出資金でオーナーを募っていたが、のーんびり村は21日、「他のパビリオンへも優先入館できると誤解されるような企画だった」として、企画を中止し、出資金も返還することを決めた。

オーナーには、これまで一般から90口の応募があった、という。川合善大代表は「本来の趣旨が伝わらなかった」と話している。

1990.04.21 朝日新聞 大阪夕刊 16頁
1990年 「国際花と緑の博覧会」(大阪花の万博)に
代表出店者としてパビリオン「100年先のの~んびり村」を出店


昨年亡くなられた安倍晋三元首相が日韓トンネルに肩入れしていたとは思いませんが、国境を越えてトップセールス(インフラの輸出)を行う中で、ボスポラス海峡横断鉄道(地下鉄)の開通式で登壇した際に「さあ、次は東京発イスタンブール、そしてイスタンブールからロンドンにつながる新幹線が走る夢を一緒に見ようではありませんか」と、アジア・欧州横断鉄道構想に言及されたようです。


大成建設CM 「ボスポラス海峡トンネル」篇 参照ページ https://www.taisei.co.jp/about_us/library/cm/tvcm/bosporus/bos_index.html

Posted by 大成建設(Taisei Corporation) on Monday, April 12, 2021


Turkish President Abdullah Gul, seated right, listens to a driver's explanations in the cabin of a Marmaray train Tuesday. Also in the cabin are Turkish Prime Minister Recep Tayyip Erdogan, behind Gul in the green tie; Somali President Hasan Sheikh Mahmud, second from right; and Japanese Prime Minister Shinzo Abe, far right.


【酒井充の政界××話】

安倍首相がトルコで語った「夢」

2013.11.3 18:00

トルコのエルドアン首相(右)と握手を交わす安倍晋三首相
10月29日、トルコ・イスタンブール(共同)
ボスポラス海峡横断地下鉄の開通を記念する会合に出席し、あいさつする安倍晋三首相
10月28日、トルコ・イスタンブール(共同)

安倍晋三首相のトルコ・イスタンブール訪問(10月28~30日)は異例ずくめだった。あらかじめ日程が決まっている国際会議出席を除き、国会開会中の平日に首相が外国訪問するのは珍しい。しかも29日のエルドアン首相との会談は予定よりも2時間も遅れた。首脳会談の時間がずれ込むことはよくあるが、2時間というのは極めて稀なことだ。

理由は、会談前に行われたボスポラス海峡を横断する地下鉄の開通式典の関連行事が長引いたからだった。アジアと欧州を分断する同海峡の地下約60メートルを通る地下鉄の開通は、トルコにとっては歴史に残る大事業だった。29日は共和国としてのトルコの建国90周年記念日で、安倍首相に同行取材した豊田真由美記者によると、野外で行われた開通式典は、ライブ会場のような盛り上がりだったという。

安倍首相は式典後、エルドアン首相らと地下鉄の「一番列車」に乗車した。相当もみくちゃになったようだが、ここまでは予定通りだった。ところがその後、急遽船に乗って海峡上でお祝いの花火の観賞まで行った。分刻みで首相の日程が組まれる日本国内ではちょっと信じがたい出来事だ。

そんな行動を許してしまうほど、親日国・トルコの熱気が安倍首相の心を揺さぶったのかもしれない。式典での安倍首相のあいさつも、かなり大胆だった。

安倍首相は海峡を横断する鉄道構想が1860年からあったことや、事業に関わった大成建設の日本人技術者の苦労話を紹介しながら、次のように語った。

「さあ、次は東京発イスタンブール、そしてイスタンブールからロンドンにつながる新幹線が走る夢を一緒に見ようではありませんか!!」

なんとアジア・欧州横断鉄道構想をぶち上げたのだ。しかも日本の優れた技術の象徴といえる新幹線を走らせるという。こんな壮大な「夢」に対し、聴衆からは大きな拍手と歓喜の口笛が起こった。

実はこれ、安倍首相が初めて口にした夢物語ではない。戦前の日本も一時、同じような計画を構想していた。

少し想像を働かせてみたい。東京とロンドンの距離は直線にして約9500キロメートルある。鉄道は当然地上をうねりながら走るから、少なくとも倍相当の距離になるに違いない。新幹線の時速を270~300キロメートルとして、走りっぱなしでも丸3日間はかかるから、「寝台新幹線」が必要になるだろう。

ロンドンとイスタンブールに現在直通の鉄道はない。だが、アガサ・クリスティの小説や映画で有名な「オリエント急行」(現在は定期運行廃止)がかつてパリとイスタンブールを結んでいた時代があった。今やロンドンとパリはドーバー海峡の地下を走るユーロスターでつながっているので、採算性はともかく理屈上は直通運転ができなくもない。

問題は東京とイスタンブール間だ。日本は島国だから海を越えて大陸に渡る必要がある。自然な成り行きとして対馬海峡を挟んで日韓が地下トンネルでつながることになる。福岡までの東海道新幹線を延伸して壱岐島と対馬を経由し、韓国の釜山をつなぐルートが順当だ。

課題はまだある。当然新幹線は韓国から北朝鮮を経由しなければならない。その先には中国がある。どこかでシベリア鉄道に連結する「北回りルート」もありうるが、新設の路線で最短距離を進もうと思えば、中国のチベットかタクラカマン砂漠あたりを突き進み、「世界の屋根」とも呼ばれるパミール高原、アフガニスタン、イランを横断してトルコに達するルートとなる。

なんともきな臭い場所が多いと思えば、「南回りルート」として中国南部からベトナムかミャンマーを通ってインドに達し、パキスタンとイランを走る路線もある。こちらも一筋縄ではないが。

妄想の類いかもしれないが、あながち非現実的ともいえない。ご存じの方も多いと思うが、戦前には「弾丸列車計画」として日本と大陸を結ぶ鉄道構想が真剣に議論されたことがあった。

昭和15年、当時の鉄道省が東京-下関間の鉄道幹線基準を設け、帝国議会も了承していた。これは東京と下関を「新幹線」で結ぶというもの。政府の正式な計画で、実際に用地買収や工事も進められた。さらに構想として、下関から釜山まで連絡船に車両を載せ、当時は日本だった朝鮮半島、満州国の首都・新京(現在の長春)を経由して中国・北京までつなぐ計画があった。

戦時状況の悪化などで計画は頓挫したが、東京-下関間の構想を引き継いで昭和39年、東京-新大阪間に開通したのが東海道新幹線であり、後に福岡まで山陽新幹線が開通した。

弾丸列車計画には荒唐無稽との批判もあったようだが、「新幹線を生んだ男」として知られる国鉄の技術者、島秀雄も計画に携わっていた。まさに積年の夢の一部を実現したわけだ。

弾丸列車計画に関連して別の構想もあった。「中央アジア横断鉄道計画」と呼ばれるものだ。これも昭和13年に鉄道省の役人が正式に計画を公表していた。

当時すでに開通していたソ連のシベリア鉄道に対抗し、中国西部の西安を起点に現在の新疆ウイグル自治区やタジキスタンのパミール高原を突っ切り、アフガニスタンに出てイラン、イラクを通り、イスタンブールに到達するというルートだ。

さすがにこれは未着手の構想で終わったが、安倍首相がトルコで語った夢とそっくりである。恐らく安倍首相か、あるいはスピーチを作ったスタッフには戦前の構想が念頭にあったに違いない。ちなみに弾丸列車計画の日本本土の終着点だった下関は安倍首相の地元でもある。

戦前の計画から70年がすぎ、想定されるルートの環境は激変した。対馬海峡を挟んだ隣国の韓国は相変わらず反日の嵐が吹き荒れる。北朝鮮と日本の関係は言わずもがなで、中国も共産党独裁を続ける。「中央ルート」と想定されるチベットや中央アジア、アフガニスタン、イランも、地理的、政情的に難所だ。本当に実現したら「アジア・欧州横断平和新幹線」とでも命名されるだろう。

それでも安倍首相は、あえて新幹線を走らせる構想を語った。式典のあいさつでは、先の日本人技術者が語ったという「諦めないことが成功への第一歩、そして最後の一歩だった」との言葉を紹介した。新幹線が結ぶ「積極的平和主義」の一環として、結構本気で語ったことなのかもしれない。


首相、トルコで予期せぬ「おもてなし」 地下鉄途中にサプライズ

2013.11.6 09:18

在トルコ大使館提供

安倍晋三首相が先月、トルコを訪問してボスポラス海峡を横断する地下鉄開通式典に出席した際、トルコ側からいかに日本を重視・厚遇しているかを示す予期せぬ「おもてなし」を受けていたことが5日、分かった。

首相は10月29日の開通式典で、同国のエルドアン首相やギュル大統領らと「一番列車」の先頭部分に乗りこんだ。すると列車は、海峡のアジアと欧州の中間地点で突如停車。首相が下車すると、そこにはエルドアン首相らトルコ首脳とともに外国首脳で唯一、安倍首相の名前と日本の国旗が記された銘板が掲げられていた。列車の車体は韓国製だが、韓国への言及はなかった。

中間地点での停止は日本側には事前に知らされておらず、安倍首相と別の車両に乗った同行筋も「どうして止まったのか分からなかった」という。トルコ側が極秘で用意した「友好の演出」だったようだ。

海底トンネルの工事は日本の大成建設とトルコの建設会社2社の共同事業体が請け負い、開通させた「国家プロジェクト」。安倍首相はエルドアン首相らと表示板のボルトを回して開通工事の締めくくりとし、喜びを分かち合ったという。


【主張】インフラ輸出 首脳外交で一層の弾みを
2013.11.07 東京朝刊 2頁 総合2面

新興国に向けた日本のインフラ輸出に弾みがついた。三菱重工業を含む企業連合により、トルコでの原発4基の建設が正式に決まったことだ。

安倍晋三首相が今年2回目の訪問で受注を後押しした。官民連携による成功例といえよう。

安倍政権の成長戦略は、2020年のインフラ受注額を現在の3倍、約30兆円に拡大する目標を掲げている。鉄道や空港、港湾などインフラの運営と整備をまとめて受注する「パッケージ型輸出」を目指し、その中で原発輸出を柱に位置付けているのは妥当だ。

国益を追求するため、訪問国も厳選する戦略的な首脳外交で、インフラ輸出を加速してほしい。

首相は「原発事故の経験と教訓を共有することで、世界の原子力安全の向上を図ることは日本の責務だ」と述べている。実際、福島第1原発の事故があったにもかかわらず、日本の原発技術に対する信頼は高い。同じ地震国トルコとの正式合意も日本の技術への評価だろう。

一方、日本国内では原発新設が当面、難しくなっている。原発輸出は技術、人材を維持していく上でも重要な意味を持つ。

何よりも、福島第1原発事故を収拾させ、安全を確保した停止中の原発の再稼働を図ることが急務である。それによって、本格的な原発輸出に対する内外の理解もさらに深まるだろう。

アジアでは今後20年間に原発が100基増え、世界の原発は2030年までに約430基から最大800基に増えるとの試算もある。高成長が見込まれる新興市場を開拓する好機である。

政府はトルコ以外にも、アラブ首長国連邦(UAE)との間で原発輸出の前提となる原子力協定を結び、インドとも協定の締結交渉を精力的に進めている。

一方、中国、ロシアなど実績を持つ国との受注競争も激しさを増す。中国製の原発はパキスタンで2基が稼働、2基が建設中だ。「世界一安全な原発技術」(安倍首相)について、官民挙げての対外発信が競争に勝つ鍵となる。

トルコでは、イスタンブールのアジア側と欧州側をつなぐ海峡地下鉄の建設も日本が受注し、完成させた。インフラ輸出は受注額が大きく、他の主要国首脳もトップセールスを展開している。日本の成長にも首脳外交は不可欠だ。


【一筆多論】長谷川秀行 脈々と築き続けた技術の底力
2013.12.14 東京朝刊 6頁 オピニオン (全1,271字) 

「トルコの父」を意味する「アタチュルク」は、1920年代にトルコ共和国建国を主導し、初代大統領に就いたムスタファ・ケマルに贈られた呼び名だ。今のエルドアン政権が、その英雄の名をわざわざトンネル掘削機の呼称として命名したことからも、この建設にかけた思いの強さがわかる。

大成建設が設計・施工を請け負ったイスタンブールのボスポラス海峡横断地下鉄工事のことだ。古くから栄えた歴史の街は、海峡をはさんでアジア側と欧州側に分かれる。それをつなぐ海底トンネル建設は国家の悲願であり、世界的な一大プロジェクトだった。

日本は円借款を供与し、10月末の開通記念式典には安倍晋三首相も出席した。インフラ輸出促進を成長戦略の柱に据える安倍政権にとって今後のモデルとなる事例だが、それ以上に特筆すべきことは、日本企業が世界に示した技術力の高さだったのではないか。

工事の難度は高かった。約1・4キロの海底トンネル建設で採用されたのは沈埋トンネル工法。海底に大きな溝を掘り、そこに巨大な箱形トンネルを次々に沈めて接合し、一本のトンネルにするやり方だ。日米欧では一般的な工法だが、ボスポラス海峡での施工には他とは違う難しさがあった。

ひとつは最深部で60メートルという深さだ。沈埋工法の世界最深度記録は約40メートルだった。その1・5倍の深さは未到の領域だ。もうひとつは速くて複雑な潮流である。沈埋工法は流れの緩やかな川での施工が多く、ボスポラス海峡のような場所は前例がなかった。

個々のトンネルは誤差10センチ以内で沈めないと、うまくつながらない。そのためには潮流の変化を正確に予測する必要があり、同社は海峡周辺の気象や水位、流速を1年半を費やして観測した。データは日本で解析され、連続36時間の潮流を予測できるシステムを開発した。すべての作業で誤差数センチの精度を実現できたのは、こうした取り組みの成果である。

ボスポラス海峡の工事は、困難な課題を乗り越えて成長してきた日本企業の良さを端的に示している。それを可能にしたのが、脈々と築いてきた技術の蓄積であることは言うまでもない。

実際、流れの速い場所での作業は、明石海峡大橋の橋脚工事などで培った経験が生きた。潮流予測システムの開発は、日本企業ならではの強みを発揮したものだ。世界のゼネコン業界では通常、開発や設計は外注である。社内に研究開発部門があるのは日本の大手の特徴で、技術的に難しい工事を独自の手法で解決できることこそが日本企業の優位性なのだ。

ゼネコン業界に限らず、日本企業は中国や韓国の企業との熾烈(しれつ)な競争にさらされている。中韓勢の強みは安さで、日本勢が価格で張り合っても勝ち目はない。頼りになるのは、やはり技術力である。

ボスポラス海峡工事は世界で反響を呼び、海外から「大成建設と一緒に仕事がしたい」とのオファーが相次いだそうだ。それが新たなビジネスにつながれば、成長への基盤は強まる。国内のライバルでさえ「あの工事はすごい」と認めた建設工事に日本企業の底力をみた思いがした。(論説委員)


大成建設、トルコ政府に未払い金督促状 トンネル工事で
2015年4月4日 20:06

大成建設はトルコ政府に対し、過去に手がけたボスポラス海峡のトンネル工事費用について、未払い金を支払うよう求める書簡を出したと明らかにした。未払い金は約2億ドルとみられる。大成は金額を「回答できない」としているが、業績への影響は軽微のようだ。

現地報道によると、山内隆司社長(現会長)が1月末、工事完成を急ぐため必要になった追加費用の支払いを求める書簡をエルドアン大統領などに送った。書簡で司法に仲裁を委ねることも言及した。トルコ運輸省は必要書類を「受け取り次第約束を果たす」という。

大成は「交渉中のため事実関係や詳細を答えられない」としている。

アルジェリアでも鹿島や大成などが高速道路の工事費用を巡り、現地政府に未払い金1千億円超への対応を求めている。

大手ゼネコンの業績は堅調だが、東京五輪関連の需要がなくなる2020年以降の成長戦略が不可欠。国内に比べリスクを抱える海外市場の開拓も必要になっている。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?