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インド、それはディズニーランド

初めまして、ナンヨウショウビンといいます。
満24歳男 大学院2年生です。
僕は、大学院に入学してすぐ、大学を1年間休学し世界一周に行ってきました。
世界一周で感じたことを文章にしました。

僕の駄文に付き合っていただければ、感謝感激雨あられです。


インド、それはディズニーランド

インドとディズニーランドの共通点は多い。異論は認める。

僕が、夢の国(インド)に入国して、まず出迎えてくれたのはミッキーだった(猫サイズのネズミ)。まるで、僕を待っていたかのようにタイミングで現れ、戦々恐々とするこちらを一瞥し雑踏の中に消えていった。

もちろん、共通点はミッキーだけではない。
ディズニーランド(インド)では、個性豊かなキャスト(インド人詐欺師)たちが、それこそ息つく暇もないくらい、観光客を楽しませてくれる(金をだましとろうとしてくる)。

彼らにとって、夢の国に踏み入れたばかりの人間など格好の餌食なのだ。


そして忘れてはならないのが、アトラクション(トラブル)である。
インド旅行では想定外の出来事がつきもので、客引きに付きまとわれる、大麻中毒者に絡まれる等、細かいものを入れるときりがない。

はあーつらい

しかし、ここまで、書き連ねたことを踏まえて、僕はインドが大好きだ。
すべてを包み込む懐の大きさと、何が起こるかわからない冒険感が大好きなのだ。

そんなインドで、僕が体験したアトラクションの一部を紹介しようと思う。


その日、インドの日本人宿(サンタナ)で知り合った、一つ年下の世界一周仲間とタージマハルに向かっていた。(彼を便宜上、K君とする)

タージマハルといえば、言わずと知れた観光地であり、この世で最も美しいお墓と称される世界遺産である。
K君と僕は、初めて訪れる大理石の楽園に心躍っていた。

この国での移動手段は主に鉄道で、今回も列車移動だった。
インドでは飛行機の運賃は高く、道路の整備が遅れているため、現代においても鉄道は重要な移動手段となっていて、地元民だけではなくバックパッカーの足としても頻繁に使われている。

お金もなかった僕たちは、5時間という短時間だったこともあり、一番安い3等車に乗り込むことにした。

当然座ることはできないし、写真でよく見る、ギチギチに人間が詰まった状態で、移動時間はきついものだった。

僕「早く着かないかな?」

K君「暇だね」

意味のない会話を、インド人に挟まれながらしていると、太鼓のリズムと民謡を歌いながら、女の子(12歳ぐらい)の二人組が車両を練り歩いて来た。

インドでは「裕福なものは、貧しいものに施しをする」という考え方が一般的であり、ストリートパフォーマーは頻繁に目撃する職業だ。

乗客からお金を集めながら、上手にギュウギュウの車内をすり抜けて来る。

僕が小銭を差し出すと彼女たちは嬉しそうにに受け取ってくれたので、こっちまで嬉しくなる。
人と人の隙間から景色を眺めることしかやることがなく、暇を持て余していたためか、ついつい多めにお金を出してしまった。

僕「さっきの女の子、歌上手かったよな」

K君「そうだったね、いつもより多めにお金渡しちゃったよ!」

さっきまで、ボツ・・ボツと途切れ途切れの会話しかしていなかったが、ここにきて言葉数が多くなってきた。
移動中に会話のネタを提供してくれるという点でも、ストリートパフォーマーはありがたい存在だ。

しかし、5時間を乗り越えるには足りない。
再度会話が少なくなってきたとき、前の車両から"やつ"は現れた。

それは、サリー(インドの女性民族衣装)を着たオカマで、しかも、180cmを超えるようなタッパを持つマッチョだった。

例えると、きらびやかな女性民族衣装とゴージャスなアクセサリーをまとったインド版ナジャ・グランティーバ。

違和感を通り越して、強烈な存在感を出している。

そして、インド人乗客たちは”彼女?”にお金を渡し始めた。
”彼女?”も差し出されることが当たり前のように受け取る。
ここで初めて、この人もストリートパフォーマーの一種なんだと理解した。先ほどの少女たちと同業他社ということになる。

僕「えっ・・なにあれ、怖い・・・なぜあんな格好でここにいるの?」

K君「わからん、こっち近づいてくる、知らないふりをしよう!!」

とりあえず、僕たちは”気づかなかった”ではカバーできないであろう、”やつ”の存在を意識の外に追いやることにした。

不思議なだったことは、インド人乗客のほとんどが彼女?にお金を渡していることだった。
しかも、僕たちと同じ作戦(気づかないふり)をしている人でさえも、彼女の手を叩く音に観念したのか、ポケットから小銭を出している。

「こっちに来るな」心の中でそう思っていたが、
そんな思い虚しく、エキゾチックなナジャ・グランティーバは腕力で乗客を押さえつけながら迫ってくる。

ついに、僕たちの番がやってきた。

”気づかないふり”を続けている日本人に彼女は笑うこともせず固い表情で手を差し出す。
「お金を私に献上しなさい」と言っているようだった。

しかし、無視を続ける・・

ここに、絶対にお金を貰いたいインド人と、絶対に渡したくない日本人の激突が始まった。

彼女?は激しく手を叩き、最後にはほっぺたをつねる等の攻撃を繰り広げてきたが、僕たちも負けるわけにはいかないと目線を窓に固定する。

くだらない意地の張り合いは5分間にもおよび、僕たちは、猛烈な攻撃に耐えきって車窓の景色を見続けることに成功した。
彼女?もあきらめて次の車両に移動していく、この手段でもうひと稼ぎするのだろう。

絶対にお金を貰いたいインド人と、絶対に渡したくない日本人の激突は僕たちの勝利に終わった。ついに勝利を収めたのだ。
しかし、あまりのも疑問が残ったため、隣のインド人男性に質問をしてみた。

僕「あいつは何者なんだ?」

インド人「わからない」

インド人ナジャ・グランティーバの襲来はインド人にも不可思議な出来事だったらしい。

インド、それはディズニーランド
僕がキャスト側に立つ日は、まだまだ先になりそうだ。


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